ホンモノに出会おう! GI産品
日本には、その地域ならではの自然環境や、生産方法より育まれてきた素晴らしい産品が数多くあります。番組では、その産品の名称を知的財産として保護するための「GI制度(地理的表示保護制度)」、そしてGI制度に登録された農林水産物や食品である「GI産品」を深掘り!GI産品の産地が持つ物語とは?そしてGI産品の目印「GIマーク」や、GI産品と企業がコラボレートした商品も紹介!

- ゲスト
- 農林水産省
輸出・国際局 知的財産課
松本 修一
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和5年(2023年)2月12日
- 時間
- 16分46秒
- 配信終了予定日
- 令和6年(2024年)2月11日
文字で読む
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青木 - 足立さん!「夕張メロン」「神戸ビーフ」「下関ふく」「越前がに」この4つの産品にどんな共通点があると思いますか?
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足立 - 全部、おいしい!(笑) あと、その地域に行ったら、必ず食べたい食べ物ですかね。
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青木 - 地域の名前も付いていますからね!でも、大切なことが抜けています。実は、この4つの産品は「GI産品」なんです。GIは、英語のGeographical Indicationの頭文字、日本語で地理的表示の意味です。
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足立 - 地理的表示…、なんだか難しそうですね。
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青木 - 簡単に説明しますと、日本の各地域には、その地域ならではの気候・風土といった自然条件、歴史・伝統ある生産方法により育まれてきた、素晴らしい産品が数多く存在します。このような産品の名称を知的財産として保護する制度が「GI制度(地理的表示保護制度)」であり、その「GI制度」に登録されている農林水産物や食品を、GI産品と言います。
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足立 - つまり、その地域でしか生産することができないものということですね。「GI制度」初めて聞きました。
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青木 - そういう方が多いと思いますが、この「GI制度」があることで、私たちは質の高い、「ホンモノ」の産品を選ぶことができるんです。ここからはスペシャリストと一緒に深掘りしていきましょう。農林水産省 輸出・国際局 知的財産課長 松本修一さんです。
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足立 - 松本さん、今日のテーマである、GI産品というのは「GI制度」により登録されている農林水産物や食品…ということですが、その「GI制度」に登録されるとどうなるんですか?
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松本 - はい。先ほど、青木さんからもお話があったとおり、GI制度は産品の名称を保護する制度です。なので、登録された産品だけがその名称を名乗ることができるようになります。
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足立 - つまり、勝手に「夕張メロン」とか「神戸ビーフ」と名乗って売ることができないということですね。
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松本 - はい。例え、同じ品種や材料、同じ製法で生産されたとしても、違う地域のものであれば名称を使うことができません。違反するものがあれば、行政が取り締まります。
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青木 - 時々、海外で不思議な名称の商品を見掛けたりしませんか?例えば、「スペイン産 神戸ビーフ」とか。
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足立 - 確かに、それは不思議だなと思っていました。でも、考えてみるとスペインで、神戸ビーフと同じ系統の牛に、同じ餌を与えて、同じように飼育をしたら、神戸ビーフという名称を使っちゃう人がいても不思議じゃない気がします。
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青木 - 確かに、そうなんですが。ヨーロッパには「テロワール」という考えがあるんです。テロワールはフランス語の「土地」を意味する言葉から派生した言葉で、「食品の品質は、生産される環境や、地域に伝承された技術によって決まる」という考えです。なので、例え、同じ材料を使い、同じ製造方法でワインやチーズを作っても、作った土地が違えば、それは「ホンモノ」ではないという考え方なんです。
一方で、ヨーロッパからアメリカやオーストラリアなどへ渡った移民は、同じ材料や同じ製法であれば、同じ品質のものが作れるとの考えの下、移り住んだ街で同じ材料、同じ製法でワインやチーズを製造しヨーロッパの産品と同じ名称を使用しました。
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足立 - なるほど。それは、元々の生産者にとっては、モヤモヤする状況ですね。それで同じ名称の商品が大量に出回ってしまうと、価格にも影響がでて、地域で守ってきた産品の価値が下がってしまいますよね。
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青木 - それに加えて、消費者側の立場に立っても産品を選びにくいですよね。松本さん。
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松本 - はい。こうした背景もあって、ヨーロッパが「オリジナルの生産者の利益を守るために、「ホンモノ」の名称を保護しよう」と作ったのがGI制度です。今では、世界100か国以上で導入されていて、日本でも2015年に導入されました。現在は、EUやイギリスとの間で、自国のGI産品と同様に、日本のGI産品も保護する約束が取り交わされています。
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足立 - ということは、「スペイン産 神戸ビーフ」は、ダメっていうことですね。つまりGI制度とは、「ホンモノ」と「そうでないもの」をしっかりと区別するようにした世界的な制度ということですか?
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松本 - はい。また、GI産品として登録される産品は、生産管理もしっかりされているものです。逆に言えば、しっかり管理されなくなれば、登録が取り消しになることもあります。日本では、そうしたGI産品に「ホンモノ」の証としてGIマークを付けることが認められています。ですから、消費者はGIマークを目印にすれば、高い品質やそれぞれの産品が持つ多彩な物語を有する「ホンモノ」を選べるということです。
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青木 - こちらがそのGIマークです。富士山と、日の丸を思わせる赤い丸に、大きくGIと書かれています。
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足立 - 分かりやすいですね!日本には、今、GI産品はどのくらいあるんですか?
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松本 - つい先日、4つの産品が追加されまして、現時点で121ほど登録されています。
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足立 - そんなにあるんですね!!思っていたよりも多いです。先ほど上がっていた夕張メロンや神戸ビーフ以外には、どんな産品がありますか?
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青木 - 足立さん、ここに、日本のGI産品の一部をまとめたリストがあります!
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足立 - いろいろありますね。近江牛に、くまもと県産い草?!
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青木 - くまもとあか牛とか、旅行で行ったときに食べたいなと思う物、多いですよね。くまもと県産い草や、伊予生糸のように、食品ではない物もありますし、後は、いぶりがっこのように加工品もありますね。
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足立 - 加工品もGI産品として登録されているんですね。
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松本 - はい。例えば、干し柿は現在6つも登録されています。
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青木 - 能登志賀ころ柿(石川県)、東出雲のまる畑ほし柿(島根県)、堂上蜂屋柿(岐阜県)、富山干柿(富山県)、市田柿(長野県)、伊達のあんぽ柿(福島県/宮城県)
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足立 - 干し柿でも、それぞれ、その土地の個性ある産品になっているということなんですね。
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青木 - そうなんです。例えば「市田柿」は、長野県 下伊那郡 高森町が発祥の、小ぶりで、特別に糖度の高い品種である市田柿のみを使用して作られます。
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足立 - 市田柿という品種で作る干柿だから、干柿の名称も「市田柿」。
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青木 - ただ、市田柿という品種で作った干柿ならば、全て「市田柿」という名称を使えるのかというと、先ほどお話したように、それはできないんですよね。
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松本 - そのとおりです。この地域一体には天竜川が流れ、柿の収穫期に当たる晩秋から初冬には、朝晩の冷え込みにより天竜川から霧が発生します。これにより、干柿の生産に絶好の温度と湿度が整うそうです。こうした環境に加えて、乾燥させた柿を丁寧に揉み込むことで、もっちりとした果肉になると同時に、果肉内から水分と共に染み出したブドウ糖の結晶である白い粉が柿の表面に現れて、干柿がまるでお化粧をしているかのような 美しい仕上がりになるんです。そのため、この地で作られた干し柿のみが「市田柿」なんです。軒先に吊るされた柿がオレンジ色のすだれの様に連なる情景が目に浮かびませんか?
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足立 - 良いですよね。実は、スタジオに市田柿があるんですが、青木さんが来る前に私、先に一つ食べちゃいました!とても甘くておいしかったです。
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青木 - 手元にある市田柿が一つ減っているんですよね。でも、今の松本さんの話を聞くと、場所や標高、気候、土とか、その地域の風土がなければ、育たないということですよね。
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足立 - そうですよね。その地域の環境に恵まれて育った、独自の製法で作られた産品だから、「市田柿」はおいしい。こうした物語があるGI産品が、全国に121ほどあるということには驚きました。今度、注意深くGIマークを探してみたくなりました。
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青木 - 是非、お気に入りのGI産品を探してください。ところで、松本さん、最近はGI産品と企業がコラボレートした商品もあるそうですね。
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松本 - はい、そうなんです。例えば、ある菓子メーカーはGI産品である北海道の「今金男しゃく」というじゃがいもを使って、ポテトチップスを毎年秋頃から期間限定で発売していますが、大好評だそうです。
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青木 - やっぱり北海道って、じゃがいものイメージがあるので、北海道産のじゃがいもを多く使っているお菓子は数多くありますが、中でもGI産品になっている「今金男しゃく」を使用するということは、それだけこだわっていることが分かりますよね。
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松本 - それから、宮城県の団体と鉄道会社のグループ企業が、GI産品である「みやぎサーモン」を使った押し寿司弁当を共同開発し、東京駅などで限定販売したところ、こちらも好評で、今でも継続して販売しています。
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青木 - こうしたコラボレート商品にも、GI産品を使っていることが分かるようにGIマークが使われていて、私たち消費者も選びやすくなっているんですよね。
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松本 - はい。また、これからは観光の分野でも広がりが期待されています。例えば、GI産品を育んだ土地を訪れ、GI産品を郷土料理として楽しんだり、収穫やものづくりなどの体験をしたり、地元の方に実際に産地の物語を聞く、そんな旅、GIツーリズムなどの構想もあるんです。
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足立 - そこでしか生産できないGI産品には、その産地に行かないと感じることのできない、奥深い世界がありそうですよね。
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青木 - 好きな食べ物の生産地を訪ねたいという欲求は多くの人にありますよね。シャンパン好きがフランスのシャンパーニュ地方へ観光で行くなんて話は良く聞きますから、GIツーリズムも期待できると思います。
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松本 - GI産品は日本が世界に誇る地域の逸品です。是非、多くの皆さんにGI産品について知っていただき、GIマークのある産品や商品を見掛けたら、その産品が持つ風土、匠の技、伝統、品質といった産地の物語にも関心を持っていただければと思います。農林水産省のホームページでは、GI産品のそれぞれの物語などを紹介しています。また、農林水産省では職員自らがYouTuberになって農林水産物や農林水産業の魅力を発信する「BUZZMAFF」(ばずまふ)という取組を行っています。この中で、GI産品の魅力を一人でも多くの人に知っていただきたい、という思いから、専用チャンネルを開設しています。そちらも是非、ご覧になってみてください。
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足立 - GI産品の「ホンモノ」の証として、GIマークを付けることが認められていますが、富士山と、日の丸を思わせる赤い丸に大きくGIと書かれている「GIマーク」が付いた物を探していきたいと思いました。出来る限りこういうものを選んで、高い品質の物を味わいたいという年齢にもなってきましたから。
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青木 - 地域の食文化を守ることにもつながりますからね!私が今日の話の中で印象に残ったのは、最近は、GI産品と企業がコラボした商品もあるということです。いろんな広がりを感じますし、特にGIツーリズム、そういったことがどんどん広がっていけば、もっともっと、日本の魅力が広がるん じゃないかなと思いました。
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