こどもの人生を豊かに! 読書のすすめ

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ラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection

皆さんは普段、読書をしていますか?およそ20年前と比較し、小中高のこどもの読書数は増加している一方、読書習慣のないこどもも多く、特に高校生では、月に1冊も本を読まない人も多くいます。番組では、読書によるこどもの成長への効果や、読書に親しんでもらうために家庭、地域、学校で行われている様々な読書活動の取組を深掘り!また、おすすめの本を時間内に紹介する「ビブリオバトル」に青木さんが挑戦!?

ゲスト

文部科学省 総合教育政策局
地域学習推進課長
黄地 吉隆

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和5年(2023年)4月23日
再生時間
18分58秒
配信終了予定日
令和6年(2024年)4月22日

文字で読む

青木
今日、4月23日は「子ども読書の日」です。足立さん、こどもの頃に夢中になった絵本や本は何ですか?
足立
小学生くらいの頃は「ミッケ!」や「かいけつゾロリ」を読んでいて、中学生になると、携帯小説が流行りましたね。青木さんは?
青木
私は歴史ものが好きで、偉人の伝記とかを読んでいました。今日は、「子ども読書の日」とご紹介しましたが、足立さん、この日を作ったのは誰だと思いますか?
足立
偉人ですかね?夏目漱石とか?もしくは、〇〇協会の方々が読書をする日を作ったとかでしょうか?
青木
そう思いますよね。でも実は「子ども読書の日」は、なんと、法律で定められているんです。2001年、平成13年に制定された「子どもの読書活動の推進に関する法律」には、このような一文があります。「国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めるため、子ども読書の日を設ける。」「子ども読書の日は、4月23日とする。」「国及び地方公共団体は、子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。」
足立
知らなかったです!でも、法律で制定するということは、やっぱり、こどもにとって読書は大切なことなんですよね。
青木
もちろん、そうです!法律では「子どもの読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」としています。調査によると、こどもの頃の読書量が多い人は、そうでない人よりも「言語能力」や「数学的能力」などといった「認知能力」と、コミュニケーション能力などといった「非認知能力」の両方が高い傾向にあるという結果が出ています。また、他の調査でも、「読書が好き」な小学生は、そうでない小学生よりも、国語や算数の正答率が高く、読書は「学力」に良い影響があると分析されています。
足立
読書がこどもの成長にとって良いっていうのは感覚として分かっていますけど、実際にデータで「学力」にも差が出ていると言われると、保護者の方はこどもに本を読ませたくなりますよね。
青木
そうですよね。ここからはスペシャリストと一緒に深掘りしていきましょう!文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課長の黄地吉隆さんです。
足立
黄地さん、読書はこどもの成長に良い影響を与えるということですが、最近のこどもたちの読書量はいかがですか?
黄地
2001年に法律が制定されてから図書館の数は増加していますし、1か月間の平均読書冊数も小・中・高、いずれの段階でも増えています。
青木
どれくらい増えているかというと、小学生の場合、21年前は1か月に6.2冊の読書冊数でしたが、これが昨年は13.2冊に。中学生は、2.1冊から4.7冊に。高校生は微増で1.1冊から1.6冊です。
足立
小学生は6冊から13冊ということは、2倍以上も増えているんですね。
黄地
そうなんです。ところが、1か月の間に本を1冊も読まない、これを不読率と言いますが、この不読率は長い目で見ると改善の傾向があるんですが、小中高、いずれの段階でも、まだまだ高いんです。平均の読書冊数は増えているのに不読率が高いということは、読む人はたくさん読むけれど、読まない人は全く読まないということが推察されます。
青木
特に、高校生の不読率が依然として高い傾向にあり、2022年の調査では、小学生は6.4パーセント、中学生は18.6パーセントなのに対して、高校生はなんと51.1パーセント、ほぼ半数の生徒が1か月に1冊も本を読まなかったことになるんです。
足立
うーん。でも、分かる気がします。高校生になると本よりネットやゲームってなりますかね。
青木
調査によると、高校生が本を読まない理由で最も多いのは「他の活動等で時間がなかったから」で、続いて「他にしたいことがあったから」「ふだんから本を読まないから」です。
足立
高校生になって世界が広がると、どうしても読書時間が減ってしまうのかもしれませんね。これは大人も同じですよね。やりたいことが他にあったり、仕事が忙しいと本を読む時間を確保するのが難しいですもんね。
青木
この調査結果をもう少し細かく見ていくと、もともと本が好きだった中学生も、高校生になり忙しくなると、読書活動の優先順位が下がってしまう、中学生までに読書習慣が身に付いていなかった高校生は、そもそも本が好きではない、そのような状況にあるようなんです。
黄地
そうなんです。ですので、多くのこどもたちに読書に親しんでもらうには、高校生になるまでに本を好きになってもらい、読書の習慣を身に付けてもらいたいと思っています。また、本は好きなんだけれど忙しいという高校生には、読書の大切さを再認識してもらい、限られた時間の中での優先順位を上げてもらうことも必要だと思っています。そんな「きっかけ作り」を進めていくには社会全体の協力が必要だと思っています。家庭、地域、学校などが中心となり、様々な読書活動の取組が進められているんです。
足立
どんな活動があるんですか?
青木
そこで、ここからは、こどもたちに読書に親しんでもらうために、全国の自治体や図書館をはじめ、企業やNPO法人、地域のボランティアの方々が実際に行なっている活動をご紹介していきます。黄地さん、まずは「ブックスタート」の活動からご紹介ください!
黄地
はい。「ブックスタート」は、赤ちゃんの幸せを願い、0歳児健診などの機会に、絵本を開く楽しい「体験」と「絵本」をセットでプレゼントする活動です。
青木
対象となるのは、事業を行なっている自治体に生まれた「全ての赤ちゃん」と保護者で、ただ絵本を配るのではなく、一組ずつの赤ちゃんと保護者に、読み聞かせの体験を通じ、絵本を開く時間の楽しさをその場で体験してもらうことで、家に帰ってからも絵本を開くきっかけになればと行われています。
足立
その活動を紹介する動画を拝見したんですけど、笑ってる赤ちゃんの顔とか、真剣な表情でページをめくるスピードに合わせて首が動く赤ちゃんがいて、「こうやって読み聞かせをするんだよ」とか「こうやってやるんだよ!」というのがお手本になって見られるからお母さんにとっても嬉しいだろうなと思いました。
青木
続いてご紹介するのは、「家読(うちどく)」です。家庭読書の略で「家で読む」の漢字二文字で「うちどく」と読みます。「ブックスタート」は自治体などが中心となる活動ですが、「家読」は家庭ですぐに始められる活動なんですよね、黄地さん。
黄地
はい、そうなんです。「家読」はこどもを中心に家族で同じ本を読み、読んだ本の感想を話し合うものなんです。読む本は自由ですが「絵本」なら、世代を問わず家族全員で、短時間で読めるのでお勧めされています。ページを開きながら感じたことを語り合うと、家族のコミュニケーションが生まれ、家族の絆を深めることができる、そんな読書運動です。
青木
ボランティア読書運動団体である「家読推進プロジェクト」の公式ホームページを見ると、「うちどくマニュアル」やお勧めの本なども紹介されていて、どのご家庭でも始めやすそうですね。
足立
家族のコミュニケーションにもなるので素敵な活動ですね!でも正直、こどもが小さいうちでないとできないかなと思うんですよね。中学生や高校生になってから急に「これから家読するよ」と言っても、スルーされそうですし。それこそ先ほど、高校生の不読率が高いというお話がありましたが、そうした高校生に読書に興味を持ってもらうための取組はありますか?
黄地
はい。例えば、地域の図書館では、こどもの要望を取り入れて、ライトノベルなど中高生向けのヤングアダルトコーナーを設置して、立ち寄りやすく、心地よい読書環境作りなどを進めています。また、デジタル社会に対応した読書環境の整備も進めていて、電子書籍貸出サービスやデジタル・アーカイブの充実、オンラインイベントの開催なども積極的に行うよう推進しています。最近では、電子書籍を読み上げる機能もあり、本を開けない状況でも聞くことが出来るので、本をあまり読まない高校生にもお勧めです。
足立
確かに、スマホ世代にとっては電子書籍の方が身近かもしれませんね。
青木
黄地さん、最近では「ビブリオバトル」も注目されていますよね。
足立
ビブリオバトル聞いたことあります!でも、詳しく知らないんですが、どういう活動なんですか?
黄地
ビブリオは書物などを意味するラテン語由来の言葉です。「ビブリオバトル」とは、まず、発表者が自分のお勧めする本を1冊、1人数分の持ち時間で紹介し、それを聞いた観客が一番読みたくなった本を投票し1位を決定します。学校や図書館などでも行われていて、全国規模の大会も開催されています。こうした取組は文部科学省も応援しています。
足立
ゲーム感覚で面白そうですね!
青木
本を読む習慣がない中高生も、同じ世代の若者が勧める本なら、学校や保護者から勧められるよりも興味が湧きそうですよね。そこで今日は、僭越ながら、私が、ここで1冊、お勧めの本を1分でビブリオバトル風にご紹介したいと思います。一般的なビブリオバトルのプレゼン時間は5分ほどですが、今日は1分で挑戦してみたいと思います。
足立
1分でいけますか!?
青木
では、青木源太 39歳 1分間のビブリオバトルに挑戦です!さぁ、今回は「未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること」という本をご紹介します。皆さん、未来予知って信じますか?人類はこれまでも様々な形で未来予知をしようとしてきました。ここでは予測と言い換えましょうか。正確に未来を予測することは難しいですよね。でも、一つだけある程度、確実に予測できることがあるんです。それは未来の人口です。10年後、20代の人が何人いるか。30代の人が何人いるか。これは今の日本の人口動態から導き出すことができるんです。つまり、人口の未来は予測ではなく、過去の出生状況の投影だと筆者の河合雅司さんは言います。そして、人口減少社会に突入した日本の未来を戦略的に縮むという面白いキーワードで読み解いていきます。実はこの本、これまでも4冊が出版されている大ヒットシリーズで、今作は、それを業界別に分析しているところが大きな特徴です。自分がいる業界、親がいる業界、はたまた自分のこどもに進ませたい業界はどこなのか!そんな業界が生き残るにはどうしたら良いのか?是非、この本を手に取ってみてください。」
足立
早口すごいですね。
青木
言いたいことをギュッとまとめました!こんな感じで、この本のポイントや面白いところを聞いている人に問い掛けながら、いかに、この本を読んでみたくなるのか、主眼を置きました。黄地さん、いかがでしたか?私のビブリオバトルは!
黄地
青木さんのビブリオバトルを聞いて、私もすごく読みたくなりました。
青木
今日ご紹介した取組はほんの一部で、全国には様々なこどもの読書活動の取組があるそうです。まずは近所の図書館に立ち寄っていただいても良いかもしれませんね。
黄地
はい。読書を通じて言葉に触れ、感性や表現力を磨き、想像力を働かせていくことは、人生をより豊かにしていく上で欠かすことのできない経験です。国では、3月にこどもの読書活動に関する新しい計画も策定し、様々な取組を進めていきます。是非、こどもに限らず大人も町の本屋さんや図書館に立ち寄って、本を親しむ機会を増やしてもらえたらと思います。そして、今日は「子どもの読書活動推進フォーラム」の開催日です。フォーラムの中では、書店や幼稚園など様々な組織とつながっていく図書館の取組や、こどもたちが主体となって学校と地域で活躍する事例など、各団体の発表が行われるほか、今年は能楽師の安田登さんたちが特別対談に登壇いたします。事例発表や対談の様子は、YouTubeでライブ配信、アーカイブ配信されます。詳しくは「国立青少年教育振興機構」のホームページをご確認ください。
足立
「ブックスタート」、「家読」、「ビブリオバトル」とご紹介しましたが、その中でも特に「家読」が気になりました。「家読」は、こどもを中心に家族で同じ本を読んで、読んだ本の感想を話し合うものですが、それこそ、ドラマやバラエティー、映画を見た後に、皆で話すことが結構、好きなんです。自分とは違う視点で見ている方も多いので、「その視点で見てるんだ!」と気付きが面白くて、今後、もし私がこどもを生んで育てる環境があったら「家読」というものをやってみたいなと思いました。
青木
こどもの読書の話でしたが、大人、おうちの人も含めてというお話でしたもんね。
足立
大人も本が読める、良い機会だなと思ったので、皆さんにも是非、試してみてほしいなと思いました。
青木
私が印象に残ったのは、今、足立さんが話した取組を経て、高校生の不読率が51.1パーセント。この数字が下がってほしいなと思いました。高校生ってやりたいことも多いでしょうし、やらないといけないこともきっと、多いんだと思います。でも、なるべく本を読んで活字に触れて、この不読率が下がってほしいなと改めて思いました。
子ども読書の日啓発ポスター(令和5年度版)
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