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特集「「高齢者の消費者トラブル」未然防止」

多様な勤務制度による資格取得、大学院進学の増加 福井県済生会病院

仕事と育児の両立支援で、企業イメージアップと優秀な人材確保を実現

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マタニティ・子育て用品を扱う有限会社シーエスピー(和歌山県岩出市)では、ネット販売への進出によって従業員の業務量が急激に増えた結果、長時間労働が慢性化して退職者が続出、人材不足に陥るという事態が生じました。そこで同社では、従業員の働き方を一から見直したことによって人材の定着を図っただけでなく、企業イメージの向上にもつながり入社希望者が増加するなど、さらなる優秀な人材確保も実現しています。

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女性を積極的に採用しても業務量増加で退職者が続出、慢性的な人材不足に

千畑博信社長

千畑博信社長

和歌山県岩出市にある有限会社シーエスピーは授乳服やベビー用品などの企画・製造・販売に携わっており、全従業員20名のうち約7割が女性です(平成25年3月現在)。

「当社は平成15年7月にインターネット上に出店し、1年間で売上が50倍にアップしました。そこで、それまで私を入れて4人しかいなかった従業員を増やすことにし、主力のマタニティ商品や授乳服の商品企画にママの声を反映させるため、特に育児経験のある女性を積極的に採用しました」と語るのは社長の千畑博信さん。

しかし、急成長した会社によくあるように、業務量が大幅に増える一方で従業員の採用が追いつかず、長時間労働が慢性化。「その結果、子育て中の従業員が子育ての時間がとれない、子育てのための制度はあっても使いづらい雰囲気がありました」(千畑さん)

そして、育児商品を扱う同社にとって貴重な子育て中の従業員から退職者が出るという深刻な状況に陥りました。

有限会社シーエスピーの新社屋

ショールームが併設された
有限会社シーエスピーの新社屋

そのような中、平成17年11月のショールームを併設した新社屋オープンを機会に、同社では、新たな企業理念の一つとして、"子育てをサポートする企業"を掲げることにしました。そして、いわゆる次世代法(※1)に基づく「一般事業主行動計画(行動計画)」(※2)という目標を策定することにしたのです。

「当時、行動計画の策定は、中小企業では義務ではありませんでしたが、積極的に取り組むことで、企業のイメージアップにもなると思いました。また、行動計画の枠組みがあったほうが具体的な子育て支援策も立てやすいということもありました」(千畑さん)。

行動計画の策定にあたっては、従業員を対象に事前アンケートを行い、その結果を踏まえて各部署の主任クラスからなる社内検討会で具体策を検討するなど、会社全体で取り組むとともに、支援策を社内規定に盛り込む際には、顧問の社会保険労務士によるアドバイスも受けました。「(行動計画は)実現可能な項目、身の丈にあったものを目標にしました」(千畑さん)。

こうして、主に妊娠中や産休復帰後の女性社員を対象とした「社内相談窓口の設置」や「短時間勤務制度の導入」など、子育てをする従業員たちが安心して仕事を続けられるような取り組みが進められました。

(※1)次世代法(次世代育成支援対策推進法):次代を担う子供を社会全体で支援するため、企業や自治体に子どもを育てやすい環境づくりの行動計画の策定を求めた法律。

(※2)一般事業主行動計画(行動計画):次世代法に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境整備や、多様な労働条件の整備などに取り組むに当たり、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるもの。従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知を義務付け。

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取組(1)「子育てアドバイザー」の資格を取得した従業員による社内相談窓口を設置

浅田美紀さん

浅田美紀さん

同社では、育児休暇や短時間勤務といった社内制度の利用、妊娠や子育て全般の悩みなどについて、相談を受け付ける窓口を社内に設けています。相談に応じるのは「NPO法人日本子育てアドバイザー協会」が認定する「子育てアドバイザー」(※)の資格を取得した従業員です。資格取得のための費用は会社が負担。従業員が子育てアドバイザーになることで、いつでも気軽に相談することができます。

「仕事の状況や会社の制度などについても熟知している人に相談できるのでとても心強く感じました。育休を2 度取りましたが、働くママに優しい会社なので、いずれもスムーズに復帰できました。」(同社従業員の浅田美紀さん)。

育休取得後に復職した同社従業員は浅田さん含めて計4人。うち2人は男性で、その1人である左近幸秀さんは、浅田さんと同じく2度の育休経験者です。「男性も育児参加しやすい環境作りに、会社を挙げて取り組んでいます。会社全体で僕らイクメンを応援してくれていますね」(左近さん)。

(※)「子育てアドバイザー」:NPO法人日本子育てアドバイザー協会が認定。「妊娠期から思春期まで子育てに不安な親にアドバイスできる人」として、養成講座を通して子育てアドバイザーとして身につけるべき知識や心理技法を習得し、上級修了試験に合格すれば認定される。

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取組(2)勤務実態に合わせた短時間勤務制度の導入、ノー残業デーの設定

左近幸秀さん

左近幸秀さん

同社の支援策のうち最も利用されているのは短時間勤務制度です。これは、小学校就学前の子どもがいる従業員は、男女問わず、通常18時30分の終業時刻を1時間繰り上げることができるというものです。対象となる従業員の勤務実態を事前に調べたうえで、実情に沿った形で導入されました。

この制度を利用している浅田さんは「子どもたちといると、今しかない一瞬一瞬を大事にしたいと思うようになりました。だから、子育ての時間は集中して愛情を注いでいます」と話します。

同じく利用者の左近さんも「子育て中の従業員が多いので、『困ったときはお互い様』です。子どもの急な発熱といった事態にも皆で協力しあってすぐに対応できる環境を整えています」と言います。

また、独身の従業員も含め、長時間労働を減らし、ワーク・ライフ・バランスの実現を図るため、行動計画を策定した翌年に「毎月第3木曜日のノー残業デー」を導入しました。その際には、残業時間の実態を把握した上で制度の中身を検討し、制度実施時には文書の回覧や掲示物によって従業員に周知しました。

「これらの取組によって、従業員が仕事の効率化を図るようになりました。ノー残業デーをさらに増やすのが今後の目標の一つです」(千畑さん)

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取組(3)小さい子どもを職場へ連れてきても、安心して仕事ができる環境作り

ショールームに設けられた授乳コーナー

ショールームに設けられた授乳コーナー

同社では、乳児がいる従業員も安心して働けるように、子どもを職場に連れてきて勤務ができる部屋を社内に設けました。また、新社屋に併設のショールームには、主な訪問客である妊産婦向けの授乳コーナーや乳幼児と一緒に利用できるトイレを設置し、訪問客の満足度を高めています。それらを同社の従業員も使えるようにし、従業員の満足度も向上しました。

「制度面の充実と、この新社屋完成による設備面での改善とで、従業員にとっても、ここで働くことにプライドを持てる、良い職場になったと思います」(千畑さん)。

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成果(1)従業員一人ひとりの仕事への意欲が高まり、勤続年数も長期化

サークル事業の様子

サークル事業の様子

これらの取り組みによって、「妊娠・出産や子育てを経験して、顧客への適切なアドバイスや深い共感ができるようになった」と、従業員の意識が向上し、出産や育児経験者がマーケティングや商品開発に様々な意見を出すようになりました。

「従業員からのアイディアで、週一回、当社のショールームで地域のママさんや妊婦さんたちが学び、情報共有できるサークルを開く事業を平成24年から始め、好評を得ています」(千畑さん)。

「授乳期間は自分がお客様の立場になれる貴重な時間でした。今後も、この経験を大切にしながら、お店作りを進めていきたいと思います」という浅田さんは、母子で同社の広告モデルも務めるという活躍ぶりです。

また、従業員一人ひとりが育児の都合に合わせて「働きやすい」と感じられるとともに、自分たちに相応しい「働き方」を選択できることによって従業員の意識向上や勤続年数の長期化につながり、当初の目的であった人材の定着に成功しました。

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成果(2)厚生労働省の「くるみん」認定によって企業イメージが向上し、入社希望者も増加

同社は、平成20年2月に厚生労働省から税制優遇制度の対象となる「子育てサポート企業」の認定を受け 「くるみん」マークを取得しました。

同社では、「くるみん」マークを、主にウェブサイトや商品広告、求人広告で活用しています。

「取引先のデパートやメーカーにも『くるみん』をご存じな方がいて、当社の商品を改めて評価してくれました」(千畑さん)。

なお、求人広告に「くるみん」マークを載せて以降、応募者が増えて募集人数の10倍以上となることも。「応募者の質も向上して、意欲や能力の高い人を採用できるようになりました。人材不足に悩む中小企業は多いと思いますが、従業員の仕事と育児の両立支援、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組むことは、会社側にも優秀な人材の確保というメリットがあるのです」(千畑さん)。

従業員の皆さん

従業員の皆さん

有限会社シーエスピーは、従業員の子育て支援のための行動計画によって平成20年2月に厚生労働省から次世代法に基づく認定を受け 、"次世代認定マーク"「くるみん」を取得しました。

「くるみん」は、事業主が、従業員の子育て支援のための行動計画を策定・実施し、その結果が一定の要件を満たす場合に、厚生労働大臣の認定によって受けることができるものです。

有限会社シーエスピーの行動計画(平成18年1月1日~翌年12月末の計2年間)に掲げた目標
  1. 妊娠中や産休明け復帰後の女性社員のための相談窓口を設置
  2. 小学校就学前の子を育てる社員が利用できる短時間勤務制度を導入
  3. 乳児の世話をしながら勤務できる施設を設置
  4. 育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境を整備するための窓口を設置し、社内検討会を実施
  5. 所定外労働を削減するため、ノー残業デーを設定
  6. 新社屋の来客スペース部に授乳コーナーや乳幼児と一緒に従業員も利用できるトイレを設置

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