ACTION 04 [避難生活] 避難所での生活ルール

不安やストレスが多い避難所生活を、少しでも円滑にするために。お互いが気持ちよく過ごすための基本的なルールから、女性やこどものケアなど、特に配慮が必要な視点を確認しましょう。

1 避難所でのルールとマナー

避難所でのルールとマナー

避難所運営や避難所生活では、ルールを守ることが重要。避難者同士の助け合い・協力が不可欠で、要配慮者への心配りも必要。避難所により、ルールは異なるので注意する。ほかの人の居住スペースへの立ち入り・のぞき、周りに迷惑な大声での会話、決められた場所以外での喫煙等、マナー違反にも配慮する。

避難所での生活環境への配慮

避難所の環境は、朝・昼・晩の時間や避難所にいる人々の生活リズム、ペットの有無等で常に変化している。生活環境の指標として、温度、湿度、光、臭い、音量、振動、空気のきれいさ等に配慮する。避難所では、トイレ、温かい食事、ベッド等を確保した上で、耳栓やアイマスクでの安眠環境の確保、防塵マスクや消臭・衛生用品で清潔で心地よい生活環境の確保等に努める。

プライバシーの確保(テント・パーティションの設置)

避難所ではテント・パーティション等でプライバシーを確保する。防犯の面からも、外部からの出入りや他人の立ち入りを制限する。要介護者や女性には特に配慮する。

テント・パーティションは、就寝以外にも、物資の受取りや情報交換時のプライベート空間の確保にも活用できる。女性のための着替えや授乳スペース、こどものためのおもちゃや本を置いてある居場所等の安心・安全なスペース確保としても有用。

睡眠時の消灯への配慮

ふだんは気にならない就寝時間などの生活スタイルの違いは、突然の共同生活となる避難所ではストレスの原因となることがある。不慣れなことも多い避難生活では、睡眠不足になって体調を崩してしまうことも。明るいと眠れない人、暗いと眠れない人もいるので、日替わりで消灯するなどの配慮を行う。

土足に注意

ふだんは室内では靴を脱ぐのが一般的だが、災害後の避難所は、不特定多数が出入りする特殊な環境となるので、混乱の中、土足で居住スペースを歩き回る人が出てくることもある。
避難所でも、安心できる衛生環境づくりのために、生活エリアから十分に離れたところに、「土足禁止ライン」を明示する。家では当たり前のことも、話し合いでルール化する。

避難所での物資の配給

物資を受け取るときは、われ先にと焦らず、落ち着いて自分の順番を待つ。
列に並べない要配慮者への思いやりと、手助けが必要かの声掛けも意識する。物資状況により、少ない食料や物資を複数人で分け合うこともある。

避難所での暑さ対策

  • 避難所の日中は高温になるため、温度計・湿度計で室内状況を定期的に測定
  • 早い時期(5月)からエアコンを設置。建物の構造上エアコンの設置が難しい場合は、仮設休憩所として隣接する部屋等にエアコンを設置
  • 扇風機、網戸、氷柱の設置、避難所建物周辺に打ち水を行う等の涼しさ対策
  • 輻射熱を防ぐための遮熱・断熱塗料の塗装、遮光フィルム・カーテンの設置
  • 冷却ジェルシート、飲料の配布

避難所での寒さ対策

災害時は停電で冷暖房設備が使えない。また、自宅から毛布や衣類、暖房器具などを持ち込んでも、電気容量の問題や火災の危険性もあることから使用できない器具もある。

  • 床にマットや畳を敷く(段ボールでも効果あり)
  • 隙間風にガムテープ活用で建物の機密性を確保
  • 施設内の通気性を考慮し、間仕切りを撤去する
  • 備蓄している毛布やストーブ等を活用
  • 冬山用の断熱マットや保温性の高いシートを活用

避難所での私物管理策

避難所での共同生活では、地域が違う人も一緒になると誰かお互いわからない状況になることも。印鑑・通帳・カード類等の家から持ち出してきた貴重品の保管場所を確保する必要がある。
部屋ごとに無人にならないように相互に見張って不審者が入ってこないようにする。可能であれば監視カメラのついた貴重品ロッカーを設置する。

避難所での防犯対策

避難所内での盗難、性犯罪、住宅リフォーム詐欺、偽ボランティアなどの犯罪事例は多数。

  • 避難所への人の出入りの管理体制を準備
  • 「貴重品は必ず身につける」「信頼ある業者以外とは商談しない」など心構えを醸成。学習会の開催も効果的
  • 定期的に複数の管理者などで見回り。防犯体制の整備をアピール(のぞきなど性犯罪対策)
  • 女性等への防犯ブザーの配布

食中毒・感染症の予防

食中毒の対策として、食事の前やトイレの後は、流水で必ずよく手洗いをする。調理者は手指の消毒を心がける。水が十分に確保できない場合には、ウェットティッシュ等を活用する。また、調理器具は使用後にできるだけ洗浄を行う。
風邪、インフルエンザ等の感染症対策として、こまめな手洗い・うがいや、消毒用エタノールがある。体力の衰えやビタミン不足、多くの人が集まる場所での空気感染に注意。

2 避難所での女性の視点

女性への物資供給での配慮

避難所での生理用品や下着等の女性用品の供給では、女性の担当者からの配布、女性専用スペースや女性トイレでの常備等、配布方法に配慮する。
また、避難所は、緊急物資の集積場所になり、在宅避難者が必要な物資を受け取りに来る場所としての役割もあるため、避難者のほか、避難所に避難していない被災者や指定避難所以外に避難している被災者に対しても、女性用品、乳幼児用品等の物資の提供を行うようにする。

女性に対して高まる危険性の認識

避難所内でのセクシュアルハラスメントや性暴力の被害に遭うリスクが高まるなど、女性への心身の負担がより大きくなる事例が指摘されている。相談窓口の設置や、女性用更衣室や授乳室など女性専用のスペースに、女性向けの相談窓口の案内や暴力・性暴力に注意するよう啓発するポスターを貼るなどして、情報の周知を図る。

女性の意思決定への参画

避難所運営や被災後の復興方針について、各種対策を進める時に、女性の意見や声が正しく反映されるよう、意思決定への参画を促すように配慮する。その際には、男女のニーズの違いに十分配慮して、避難所での避難者への対応や、役割分担などが画一的にならないよう、女性の視点を反映させた避難所運営に努める。

3 要配慮者への配慮

妊産婦・授乳への配慮

妊産婦への配慮

妊産婦は精神的不安と同時に、塩分の多い食生活や重いものを持たざるをえない生活で腰痛や下肢のだるさ・冷え等、身体にも負担がかかる。避難所では早期に妊産婦を把握して優しく声掛けしながら、生活用品・育児用品等の物資や健診他の情報の提供、母親学級によるママ同士の繋がり作りや母乳の援助など、安心できる生活環境作り等に配慮する。

災害時の授乳の環境を整える

災害時の母乳育児は、安全な水や物資が不足する災害時でも衛生的に栄養を与え、母乳中の免疫物質が災害など非常事態で流行する可能性のある下痢や呼吸器感染症から赤ちゃんを守り、母子の心理的安定をもたらすので、授乳環境の確保に配慮する。

  • 母親に食事が行きわたるようにする。
  • 授乳ができる女性専用のコーナーを作る。
  • 母親同士の仲間作りをする。

高齢者・障害者への配慮

視覚が不自由なかたへの配慮

視力だけでなく、視野(見える範囲)、光覚(光を感じる)、色覚(色彩が分かる)への配慮も必要。音声や手で触れることで情報を入手しているので、緊急事態の察知が難しい場合もある。ふだんは問題なくても、災害時は倒壊や破損により家や避難路などの状況が一変して安全に行動することが難しく、その場から動けなくなり、自力で災害対応が難しくなることもある。白杖を上にあげているのは、SOSのサイン。「何かお手伝いしましょうか。」と声かけをし、手助けを。誰が声をかけているか分かるように、正面から声をかけ、肩や手などの体の一部に触れる。

聴覚が不自由なかたへの配慮

聴覚障害者は、いろいろな障害の人がいるので、話すときは近くでまっすぐ顔を向け、口をはっきり動かして話す。文字情報の提供(紙とペン、手のひらに指先で字を書く筆談)、またはボランティアによる手話対応が必要な場合もある。あらかじめ障害者である旨を災害時に周囲に伝えられる準備もしておく。

肢体が不自由なかたへの配慮

車椅子での階段での移動は、必ず2人以上で援助する。上がる時は前向きに、下がる時は後ろ向きにして恐怖感を与えないように注意する。脱出や避難の時で2人以上の救援者がいない場合は、紐で結んで背負うなどして要救援者の両手の自由がきくようにして臨機応変に対処する。

補助犬への理解

多様な人が共同生活をする避難所では、聴導犬や盲導犬等への理解が少ない。補助犬は必要な人にとって身体の一部である点、補助犬介護犬に関する簡単な知識の普及が重要。聴導犬、盲導犬の同伴が、障害者と伝達する方法にもなる。

4 こどものケア

こどもへの配慮

① 大切な人と一緒にいる

  • 家族と一緒にいられるように、離ればなれになったままにしないようにする
  • 保護者と一緒でない場合は、児童福祉機関等につないで一人にしておかない
  • 児童福祉機関へのつなぎが難しい場合は、世話のできる家族に連絡を取る

② 安全の確保

  • こどもが動揺するような惨状に直面しないように守る
  • 起きた出来事について詳細な話を耳にして動揺しないようにする
  • 支援者でない部外者からの接触やマスコミの取材から守る

③ 聞き、話し、遊ぶ

  • 穏やかに話しかけて、優しく対応する
  • わかりやすい言葉でこどもの目線で話す
  • こどもの世話をしている保護者を支える
  • 年齢に応じた遊びや関心のあるお話を一緒にする

乳児のケア

  • 暖かくして安心できる環境にする
  • 大きな音や混乱した状況から遠ざける
  • 優しく抱きしめる
  • 決まった時間に食事・睡眠をとる
  • 穏やかに話しかける

幼児や児童へのケア

  • 時間をかけて接する
  • 「安全だ」と何度も言う
  • 「悪いことは自分のせいではない」と伝える
  • こどもを大切な人から引き離さない
  • いつも通りの生活時間を守る
  • 何が起きたか簡単に説明し細かく話さない
  • こどもの傍にいてあげる
  • 赤ちゃん返りをしている時は見守る
  • 遊んだりのんびりしたりする時間を確保する

児童や思春期の若者へのケア

  • 話をする時間を作る
  • 普段の生活ができるように手助けする
  • 事実を伝え、現状を説明する
  • 悲しんでいるのを認めて我慢させない
  • 先入観を持たないでこどもの話を聞く
  • ルールを明確にして守るようにする
  • 支援への参加機会をつくる
提供:+ソナエ・プロジェクト
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