2024年の祝日は?知ってそうで知らない「国民の祝日」とその趣旨や経緯
日本の祝日がいくつあるのか、ご存じですか?現在、法律によって年間16日の「国民の祝日」が設けられており、その日は休日になります。令和6年(2024年)の祝日はいつなのか、また、それぞれの祝日の趣旨や経緯について紹介します。
1「国民の祝日」とは?
祝日は、「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号。以下「祝日法」という。)という法律で定められており、その第1条では、その意義を次のように規定しています。
“自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。”
この法律で、祝日は「休日とする」とされています。これは、祝日が「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」であることを踏まえ、一人ひとりの国民が、祝日の意義を考え、平常の勤務を離れて、それにふさわしい一日を過ごすことができるようにするためといえます。
現在、祝日は1年間で16日あり、1月1日の「元日」、2月11日の「建国記念の日」のように日にちが固定されているものもあれば、「成人の日」や「海の日」のように、「○月の第○月曜日」と定められ、毎年連休になるように定められているものもあります。また、「春分の日」と「秋分の日」は、法律に具体的な月日は定められておらず、天文学上の言葉である「春分日」と「秋分日」とされています。これについては、国立天文台が毎年2月に公表する暦要項において、翌年の「春分の日」と「秋分の日」の日付が記載され、日にちが確定します。
2令和6年(2024年)の「国民の祝日」はいつ?
令和6年(2024年)の祝日は、次のとおりです。
令和6年(2024年)の「国民の祝日」(祝日一覧)
元日 | 1月1日 | 年のはじめを祝う。 |
---|---|---|
成人の日 | 1月8日 ※1月の第2月曜日 |
おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。 |
建国記念の日 | 2月11日 ※政令で定める日 |
建国をしのび、国を愛する心を養う。 |
天皇誕生日 | 2月23日 | 天皇の誕生日を祝う。 |
春分の日 | 3月20日 春分日 |
自然をたたえ、生物をいつくしむ。 |
昭和の日 | 4月29日 | 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。 |
憲法記念日 | 5月3日 | 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。 |
みどりの日 | 5月4日 | 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。 |
こどもの日 | 5月5日 | こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。 |
海の日 | 7月15日 ※7月の第3月曜日 |
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。 |
山の日 | 8月11日 | 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。 |
敬老の日 | 9月16日 ※9月の第3月曜日 |
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。 |
秋分の日 | 9月22日 ※秋分日 |
祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。 |
スポーツの日 | 10月14日 ※10月の第2月曜日 |
スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。 |
文化の日 | 11月3日 | 自由と平和を愛し、文化をすすめる。 |
勤労感謝の日 | 11月23日 | 勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。 |
コラム1
令和6年(2024年)の連休カレンダー
祝日には、祝日にちなんだ各地の行事・イベント等に足を運ぶ方々や、旅行などを計画する方々も多いことでしょう。令和6年(2024年)は、三つの祝日が続く5月3日から5月5日は、振替休日と合わせれば4連休。そのほか土日を合わせて3連休となる祝日が11回あります。
仕事上の休日は各職場で定められていますので、土日・祝日がお休みかどうかは様々ではありますが、休暇の計画を立てる上で参考にしてください。
3それぞれの「国民の祝日」の趣旨や経緯は?
祝日を定める祝日法は、戦後間もない昭和23年に制定された法律です。その前年には、日本国憲法が施行され、それまでの祝祭日についても再検討が必要とされました。国会では、「新憲法の趣旨に副(そ)うべきこと」等の観点から、約7か月にわたって検討が行われ、九つの祝日が選定されました。
「国民の祝日」という名称としたことについては、国会での説明では、「従来は皇室の祭典が行われる日がいわゆる祭日で、国及び国民一般の恒例の祝い日がいわゆる祝日である」とされていたのに対し、「祝日の一本建てとし、しかも、それはほかならぬ国民の祝い日であるところから、わざわざ「国民の」という三字をかむらせまして、国民の祝日といたした次第であります」とされています。
その後、祝日法は、主に議員立法により改正が重ねられ、祝日の追加等が行われてきました。その結果、今日では16の祝日が定められています。
祝日法には、それぞれの祝日の趣旨が定められています。
祝日を迎える際には、祝日が「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」であることを踏まえ、各家庭、学校、職場、地域などで、その趣旨について話し合ってみてはいかがでしょうか。
元日 (1月1日)
年のはじめを祝う。
「元日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
新年には、古くから様々な形でお祝いの行事が行われてきました。祝日法の制定に当たっても、新年の祝日を設けることは、当時の世論も含め、広く支持されました。
成人の日 (1月の第2月曜日)
おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
「成人の日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
祝日法の制定に当たって新たに「成人の日」が設けられたのは、「特に次の時代の人々に大きな期待をかけているから」とされています。この日には、青年男女に国家社会のため、さらには世界人類のために尽くそうとする自覚を持ってもらいたいとの願いが込められています。
「成人の日」は、平成10年の祝日法改正によって、平成12年から、それまでの1月15日から1月の第2月曜日に変更されました。
建国記念の日 (2月11日)
建国をしのび、国を愛する心を養う。
「建国記念の日」は、昭和41年の祝日法改正により設けられた国民の祝日です。
「建国記念の日」は、建国をしのび、国を愛し、国の発展を期するという国民がひとしく抱いている感情を尊重して、国民の祝日とされました。日付は、政令で定めることとされており、審議会での審議・答申を経て、同年12月の政令で2月11日となりました。その際、内閣総理大臣から、この日が「遠く我が国の成り立ちをしのび、先人の文化遺産の恩恵を思い、国を愛し、国の発展を願う心を養う大きなよすがともなりますことを、国民の皆様と共に心から期待するものであります」などとする談話が発出されています。
天皇誕生日 (2月23日)
天皇の誕生日を祝う。
「天皇誕生日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
制定当初の「天皇誕生日」は、昭和天皇の誕生日である4月29日でした。皇位継承に伴い、平成元年2月に祝日法が改正され、12月23日に改められました。また、先のお代替わりの際には、天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)の附則によって祝日法が改正され、現在の2月23日になりました。
春分の日 (春分日)
自然をたたえ、生物をいつくしむ。
「春分の日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
祝日法の制定時には、昼夜の長さが等しく、「自然のあらゆる生命が若々しく盛り上がる時」であるため、異議なく採用されたとされています。
昭和の日 (4月29日)
激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
「昭和の日」は、平成17年の祝日法改正により設けられた国民の祝日です。
60年余りに及ぶ昭和の時代は、未曽有の激動と変革、苦難と復興の時代でした。今日の日本は、このような時代の礎の上に築かれたものであり、昭和の時代を顧み、歴史的教訓を酌み取ることによって、平和国家、日本のあり方に思いをいたし、未来への指針を学び取ることは、我が国の将来にとって極めて意義深いことです。こうした観点から、昭和の時代に天皇誕生日として広く国民に親しまれ、この時代を象徴する4月29日を「昭和の日」とすることとされました。
憲法記念日 (5月3日)
日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
「憲法記念日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
日本国憲法は、昭和21年11月3日に公布され、半年後の昭和22年5月3日に施行されました。「憲法記念日」は、その施行日を記念したものです。
みどりの日 (5月4日)
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
「みどりの日」は、平成元年の祝日法改正により設けられた祝日です。
平成元年の法改正では、我が国は緑豊かな自然を持った国であることにかんがみ、この自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむことを願い、それまで天皇誕生日であった4月29日が「みどりの日」とされました。
また、平成17年の祝日法改正により、平成19年から、4月29日は「昭和の日」とされるとともに、「みどりの日」は5月4日に変更されました。これは、「みどりの日」の意義にかんがみ、祝日の増加による影響にも配慮しつつ、青葉若葉の時節であり、ゴールデンウイーク中の一日である5月4日を「みどりの日」とすることとされたものです。
なお、それ以前は、5月4日は、祝日(憲法記念日)と祝日(こどもの日)の間の日に当たることから、祝日法の規定により休日とされていました。
こどもの日 (5月5日)
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
「こどもの日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
祝日法の制定に当たって新たに「こどもの日」が設けられたのは、「成人の日」と同様に、「特に次の時代の人々に大きな期待をかけているから」とされています。また、「いわゆるリーガル・ホリデーとしては世界に例のないことであり、如何にも新しい日本の国にふさわしい祝日である」との説明もなされています。
海の日 (7月の第3月曜日)
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
「海の日」は、平成7年の祝日法改正により、平成8年から設けられた祝日です。
我が国は、四面を海に囲まれ、世界でも最も海の恩恵を受けている国のひとつです。我々は、古くから海に生活の多くを依存するとともに、海を交通の手段に活用して文化等の交流を図り、海と親しみながら今日の日本を築き上げてきました。
さらに、海の環境を保全することと海洋資源の開発は、人類の更なる発展の礎ともなる重要なものです。
このような観点から、海の恩恵に感謝し、海を大切にする心を育てることを目的に、「海の日」は祝日とされました。また、当初「海の日」とされた7月20日は、長年にわたり「海の記念日」として国民に親しまれていた日でもありました。
その後、平成13年の祝日法改正により、平成15年から、現在の7月の第3月曜日となりました。
山の日 (8月11日)
山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
「山の日」は、平成26年の祝日法改正により、平成28年から設けられた最も新しい国民の祝日です。
我が国の国土の大半は山であり、我々は、日々多くの山の恩恵を受けて生活しています。大自然の根本たる山と向き合い、その恩恵に感謝し、山との共存、共生を図ることは極めて有意義なことです。
このような観点から、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを目的に、「山の日」は祝日とされました。また、多くの国民がお盆休み、夏休みでもあるこの期間に、大人も子供も、こぞって山に親しみ、山を考える日となるものと考えられました。
敬老の日 (9月の第3月曜日)
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
「敬老の日」は、昭和41年の祝日法改正により設けられた国民の祝日です。
「敬老の日」は、多年にわたり社会に尽くしてこられたお年寄りの方々に感謝するとともに、老後の精神的な安定を願うため、祝日とされたものです。この日は、平成14年以前は9月15日とされていました。これは、昭和26年以来十数年にわたり「としよりの日」として全国各地で関係行事が行われ、また、老人福祉法において「老人の日」とされるなど、この日が広く国民の間に浸透していたからです。
「敬老の日」は、平成13年の祝日法改正により、平成15年から、9月の第3月曜日となりました。
秋分の日 (秋分日)
祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。
「秋分の日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
祝日法の制定時には、春分の日と同様に、昼夜の長さが等しい日であり、季節上の一つの区切りになるという意味で、春分の日に対応するものとして採用されたとされています。
スポーツの日 (10月の第2月曜日)
スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。
「スポーツの日」は、昭和41年の祝日法改正により、「体育の日」として設けられた国民の祝日です。
「スポーツの日」(旧「体育の日」)は、国民がスポーツに親しみ、その精神を通じて健康な心身を培って、明るく住みよい社会を建設することを願い、祝日とされました。この日は、当初「体育の日」という名称で、10月10日とされていました。これは、昭和36年に制定されたスポーツ振興法において10月の第1土曜日が「スポーツの日」とされていたことを尊重し、あわせて昭和39年のオリンピック東京大会を記念し、その開会式の日が選ばれたものです。
体育の日は、平成10年の祝日法改正により、平成12年から、10月の第2月曜日となりました。
また、平成30年の祝日法改正により、令和2年から、名称が「スポーツの日」に改められ、その趣旨についても、「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」から「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」とされました。
文化の日 (11月3日)
自由と平和を愛し、文化をすすめる。
「文化の日」は、昭和23年の祝日法制定当初から設けられている国民の祝日です。
祝日法の制定前、11月3日は、明治天皇の誕生日であったことから祝日の「明治節」として休日とされていました。祝日法の制定に当たっては、この日が、昭和21年に日本国憲法が公布された日であり、憲法において戦争放棄という重大な宣言をし、国際的にも文化的意義を持つ重要な日であることから、平和を図り、文化を進める意味で「文化の日」と名付けたと説明されています。
勤労感謝の日 (11月23日)
勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
「勤労感謝の日」は、昭和23年の祝日法の制定当初から設けられている国民の祝日です。
祝日法の制定前、11月23日は、祭日の「新嘗祭」として休日とされており、国民の生活の中でも、新穀に感謝する日でした。「勤労感謝の日」は、いにしえからの収穫感謝の風習を生かしつつ、新しく設けられた感謝の日であるといえます。
祝日法の制定時の資料では、この「感謝」について、「国民が毎日生活を続けていられるのは、お互いがお互いを助け合っているからである。従って、ここにいう感謝というのは、すべての人がすべての生産とすべての働きとに感謝し合うのでなければならない。この感謝の心もちは、今日のような世相のけわしいときには最も必要なものであるが、世の中が落ち着いたときにも常に大切なものである」と説明されています。
コラム2
「振替休日」とは?
祝日法第3条第2項は、いわゆる「振替休日」を次のように定めています。
「『国民の祝日』が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い『国民の祝日』でない日を休日とする。」
この規定は、昭和48年の祝日法改正により設けられました。
国民の祝日は、「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」とされており、同時に休日とするとされています。したがって、祝日を休日としているのは、それぞれの祝日の意義を考え、平常の勤務を離れて、それにふさわしい一日を過ごすことができるようにという趣旨と考えられます。「振替休日」の規定は、祝日、日曜ともに、それぞれ平常の勤務を離れた日として確保できるようにするためのものです。
「振替休日」は、通常は翌日の月曜日に振り替えられますが、5月3日から5日までは祝日が連続しているため、5月3日から6日のいずれかが日曜日に当たるときは、この4日間が連続して休日となります。
なお、祝日が土曜日に当たる場合に、振替休日となるわけではありません。
コラム3
将来の春分の日・秋分の日は?
将来の「春分日」と「秋分日」については、国立天文台において、地球の運行状態などが現在と変わらないと仮定して予想した将来の日付けをホームページに掲載しています。ただし、地球の運行状態は常に変化しているために、将来観測した結果が必ずしもこの計算結果のとおりになるとは限りませんので、あくまで参考としてご使用ください。
※参考:国立天文台「よくある質問」
(取材協力:内閣府 文責:政府広報オンライン)