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Highlighting JAPAN

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特集日本の「おもてなし」

国際会議や見本市の誘致(仮訳)

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日本は国際的な会議や見本市の誘致に力を入れている。河崎美穂が報告する。

日本政府は2009年に、「MICE推進アクションプラン」を取りまとめた。MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業が行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関や学会が行う国際会議(Convention)、文化やスポーツのイベント・見本市(Event/Exhibition)の頭文字をとったものだ。

MICE開催のメリットは、同じ業界や同じ専門分野を持つ人々が多くの国から集まり友好関係を深められるだけでなく、開催地側には、会場となるホテルや周辺の飲食業などの需要増から経済活性化のメリットがあり、かつ、開催地の住民の国際感覚醸成などの効果もある。

日本ではこれまで、1979年以来、5回の先進国首脳会議、1997年には、京都議定書が採択された気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)、そして直近では、2010年10月に愛知県名古屋市で生物多様性条約締約国会議(COP10)、11月に神奈川県横浜市でAPECなど、大規模な国際会議が開催されてきている。

こうした、マスメディアでも大きな注目を集めるような国際会議だけではなく、毎年、数多くのMICEが日本で開催されている。

国際団体連合(UIA)の統計によれば、日本の国際会議の開催件数は2003年には世界で12位であったが、2009年には世界5位(538件)、アジアでもシンガポールに次ぐ2位となった。

観光庁のMICE推進担当参事官付観光渉外官の竹原勇一氏は「日本はどこの国にも負けない治安の良さと、発達した交通網、設備のレベルの高さなどの強みがあります。日本の場合は、会議の会場となる施設の設備そのものに加えて開催地の歴史的な背景や文化についても伝えるようにしています。開催地の多彩な食の魅力や、地元の方のあたたかいサービスも外国の方には喜ばれているようです。」と話す。

観光庁で2010年3月に各国のMICE関係者を対象に調査を行ったところ、日本のMICEブランドは「高い」「やや高い」をあわせて76.5%と高く評価されていることが分かった。また、開催地としての日本の魅力については64.7%が「文化施設の充実」、58.8%が「サービスの質が高い」をあげていた。

日本で開催された「国際温泉会議」の成功

日本で開催されたユニークな国際会議の例の1つが、社団法人日本温泉協会が2009年11月、神奈川県横浜市と箱根町で5日間にわたって開催された、国際温泉会議ならびに国際温泉気候連合大会だ。会議には、ヨーロッパやアジアなど12の国と地域から、温泉事業者。温泉医学や地質学の研究者など温泉の専門家が300名ほど参加した。横浜での各国温泉事情に関する講演や学術発表の後、県内の温泉地である箱根に会場を移してセレモニーが行われ、さらに会議日程終了後には、群馬県の草津温泉へのオプショナル視察ツアーも組まれた。

「協会員や開催地の人々による手作り感あふれる心のこもったもてなしが出来たと思います」日本温泉協会の寺田徹専務理事は言う。

「横浜市は、国際会議の開催に慣れていることもあり、市民ボランティアの方に、参加者の案内などで大変協力していただきました。また、箱根でのレセプションでは、会議の参加者にも、日本の温泉地でしばしば着用される浴衣を着て頂いて参加してもらったり、草津では、50℃以上の熱いお湯を長い板で湯をかき混ぜることで、水を加えずに温度を下げるという『湯もみ』の体験をしてもらったりと、日本の温泉を知って頂く良い機会になったのではないかと考えています」

地元の人々との交流

一方、日本泌尿器科学会は、2011年9月に開催される「第32回国際泌尿器科学会」を福岡に誘致することに成功した。

「開催地決定に影響力を持つ有力者が視察に来た際、地元の中洲川端商店街の活気ある雰囲気に興味を持ったようで、『ここで夜のイベント(2500人規模のパーティー)をやりたい』と打診されました」誘致の担当者はこう振り返る。「我々は、福岡ドームなど新しい名所に案内することを想定していたのですが、海外の人は自分の国にはない日本的なもの、地域の人と交流できる場を求めていることが分かりました。地域の魅力を伝えたい私どもと、地域との交流を求める主催者の希望が一致したことが、誘致の決め手につながったと思います」

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