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平成20年8月掲載

 


インターネットを悪用した人権侵害をなくすために

インターネットは、知りたい情報を、だれでも簡単に、すぐに手に入れられる情報メディアとして、今の私たちの生活にはなくてはならない存在となっています。しかし、そのインターネットを悪用して他人の人権を侵害する事件が後を絶ちません。国では、インターネットの節度ある利用を呼びかけています。

 

急増するインターネットを利用した人権侵犯事件

近年、インターネットを利用した人権侵犯事件が急速に増えています。平成19年中に法務省の人権擁護機関が新規に救済手続を開始したインターネットを利用した人権侵犯事件の数は、前年比48.2%増の418件となりました。このうち、名誉毀損(きそん)事案が154件、プライバシー侵害事案が181件となっており、この二つの事案だけで全体の約8割を占めています。

 

インターネットに関する人権侵犯事件の推移(単位:件)

インターネットに関する人権侵犯事件の推移

 

インターネットは決して“仮想世界”ではない

インターネットの環境の中では、自分の名前や顔を知られることなく発言することができます。このため、面と向かっては言えないような悪口を平気で掲示板などに書き込むケースが後を絶ちません。最近では、中高生や卒業生などが自主的に運営する学校非公式サイト、いわゆる「学校裏サイト」において、同級生や先生などの実名を挙げて誹謗(ひぼう)中傷する事件が多発しています。

インターネットでは、だれでも簡単に情報を得ることができるため、掲示板などに書き込みを行うと、その内容がすぐに広まってしまいます。事実無根の誹謗中傷、他人に知られたくない事実が不特定多数の人々の目にさらされ、そのような情報を書き込まれた人は、尊厳を傷つけられ、社会的評価をおとしめられるなど、回復困難なほど重大な損害を被る危険があります。実際、学校裏サイトでの書き込みを苦に自殺を図った青少年も現れています。

インターネットを見ているのは現実の人であるということを忘れてはいけません。

 

被害者はプロバイダに人権侵害情報の削除依頼を

インターネット上に自分の名誉を毀損したり、プライバシーを侵害したりする記事が掲載されても、発信者がだれか分からないため、被害者が独力で損害を回復するのは困難です。 そこで、「プロバイダ責任制限法」により、被害者は、プロバイダ等に対し、人権侵害情報の発信者(掲示板等に書き込んだ人)の情報の開示を請求したり、人権侵害情報の削除を依頼したりすることができるようになっています。

開示請求や削除依頼は、証拠として保存するために、メールや文書で行うようにしましょう。ただし、掲示板などに削除依頼を書き込むことはなるべく避けましょう。無視されたり、関係のない議論に巻き込まれたりすることがあります。

プロバイダ責任制限法

 

「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)の概要

1.発信者情報の開示

プロバイダ等に対し、人権侵害情報の発信者(掲示板等に書き込んだ人)の氏名、メールアドレス、住所等の情報の開示を請求することができます(第4条1項)。また、発信者に対して民事訴訟を起こしたり、刑事告発したりすることも可能です。

2.被害者による削除依頼

被害者はプロバイダ等に対し、人権侵害情報の削除依頼を行うことができます(第3条2項2号)。

3.プロバイダ等の責任の制限等

プロバイダ等は、インターネット上で人権侵害が行われていることを知っていた場合または知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合には、被害者に対し損害賠償責任を負うことがあります(第3条1項)。
また、インターネット上の情報を削除した場合に、その情報が人権侵害にあたると信じるに足りる相当の理由があったときには、必要な限度の範囲内で削除したことについて発信者から責任を問われることはありません(第3条2項)。

 

プロバイダが応じない場合は法務省の人権擁護機関に相談

削除依頼しても、プロバイダがそれに応じなかったり、削除する代わりに何らかの要求をしてきたりすることがあります。個人で解決できない場合は行政機関の窓口に相談しましょう。

法務省の人権擁護機関である全国の法務局・地方法務局では、インターネット上で人権侵害を受けた被害者からの相談を受け付け、プロバイダ等への発信者情報の開示請求や人権侵害情報の削除依頼の仕方について助言を行っているほか、調査の結果、名誉毀損やプライバシー侵害の被害が生じており、個人で被害を回復するのが困難な事情があると認められる場合には、「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」に基づきプロバイダ等への削除依頼も行っています。

前述の平成19年の人権侵犯事件418件中、法務省の人権擁護機関がプロバイダ等に対し削除依頼を行ったものは51件ありました。

全国の法務局・地方法務局の相談窓口は法務省ホームページに掲載されています。

また、インターネットでも相談を受け付けています。

 

「お役立ち記事」では、国の行政施策の中から暮らしにかかわりの深いテーマ、暮らしに役立つ情報をピックアップし、分かりやすくまとめて提供しています。


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