B型・C型ウイルス性肝炎治療のための医療費助成制度をご存じですか

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日本国内でB型・C型肝炎ウイルスの感染者数は200万人を超えると推定されています。放っておけば肝硬変や肝がんなどに進行する危険がありますが、早期発見と適切な治療で重い病気への進行を防ぐことができます。そのため、厚生労働省は平成20年度から「肝炎総合対策」を推進し、肝炎ウイルス検査の受検を促進するとともに、B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝炎について、医療費助成を行っています。

1肝炎は早期発見と適切な治療が重要

B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎は、血液などを介して、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染することによって発症する病気です。日本国内には、肝炎ウイルスの感染経路が判明する以前に、輸血などによって、B型肝炎やC型肝炎に感染した可能性のある人が多くいると推定されています。
肝臓は沈黙の臓器とも言われており、肝炎ウイルスに感染しても、これといった自覚症状が現れないことが多いのが特徴です。そのため、長い間、感染に気が付かないまま病気が進行し、症状が現れたときには、肝硬変や肝がんなどの重い病気に至っているケースも少なくありません。
しかし、B型肝炎・C型肝炎ウイルスに感染しても、なるべく早期の段階で発見し、適切な治療を受けることで、重症化を予防することが可能です。
B型肝炎・C型肝炎を克服するためにも、「肝炎ウイルス検査」で早期にウイルスを発見し、必要な治療を受けられるようにすることが大事です。

B型肝炎、C型肝炎とはどんな病気?

B型肝炎

B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって発症する肝炎。HBVは血液や体液を介して感染します。感染の原因は、輸血や注射針の使い回し、性行為による感染やHBVを体内にもっている母親から生まれた子どもへの母子感染などです。日本のB型肝炎ウイルスの感染者は110万人~120万人いると推定されています。

C型肝炎

C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって発症する肝炎。C型肝炎ウイルスの患者や感染者の血液に接することによって感染します。日本のC型肝炎ウイルスの感染者は90万人~130万人いると推定されています。また肝硬変や肝がんに移行する率が高く、現在、肝がん患者の約60%はC型肝炎が原因となっています。

2肝炎治療に効果的なインターフェロンフリー治療や核酸アナログ製剤治療

肝炎ウイルスに感染しても、ずっと症状が出ないまま終わる場合もあり、すぐに治療が必要ではない場合もあるため、治療は症状と体の状態に合わせて選びます。

C型肝炎治療では、平成26年度から飲み薬だけの「インターフェロンフリー」(※1)治療が始まり、主流となっています。慢性肝炎から代償性肝硬変までの初回治療の場合、95%以上の人がウイルスを体内からなくすことが可能となっています。しかも、副作用が少なく、短期間で安全に治療ができます。それでも、それぞれの薬剤には特徴があり、合併する病気のために使えない薬や一緒に飲めない薬がありますので、どの治療法を選ぶかは患者さんの状態に合わせて肝臓専門の先生とよく相談することが重要です。
核酸アナログ製剤(※2)は、大きな副作用はありませんが、一旦内服を開始すると長期にわたって服用を継続する必要があります。

※1:インターフェロンフリー
インターフェロンを使わない薬剤。インターフェロンには強い副作用(発熱や頭痛、筋肉痛、脱毛、めまい、不眠など)を伴うことが多かったですが、インターフェロンフリー治療が始まったことで、これまで様々の合併症でインターフェロンが使えなかった患者さんでも治療ができるようになりました。

※2:核酸アナログ製剤
ウイルスが増殖する過程を阻止することによって、増殖を抑制する薬剤。B型肝炎の治療で用いられており、高いウイルス抑制効果が期待できます。現時点では、エンテカビル、ラミブジン、アデホビル、テノホビルが保険適用となっています。内服を開始すると長期にわたって服用が必要になることから、治療にあたっては専門の医師とよく相談することが必要です。

3インターフェロンフリー治療や核酸アナログ製剤治療などには医療費を助成

国と都道府県では、患者さんの医療費の負担を軽くし、これらの治療を受けやすくするため、平成20年度からB型・C型肝炎のインターフェロン治療に対して、平成22年度からB型肝炎に対する核酸アナログ製剤治療に対して、平成26年度からC型肝炎のインターフェロンフリー治療に対して、医療費の助成を行っています。
この助成制度は、B型・C型肝炎に対するインターフェロン治療やB型肝炎に対する核酸アナログ製剤治療、C型肝炎のインターフェロンフリー治療を受けるために、患者さんが負担する医療費の自己負担限度月額を定め、自己負担限度月額を超えた部分を国と都道府県で助成するというものです。この助成制度を活用すれば、患者さんは自己負担限度月額以上を負担する必要はありません。
より多くの患者さんがこの制度を利用し、肝炎治療を受けられるようにするため、順次制度が改正され、助成期間の延長や自己負担限度月額の引下げ、助成対象となる治療の追加などが行われ、より利用しやすい制度となっています。

自己負担限度月額 世帯の市町村民税(所得割)課税年額が
235,000円未満の場合:1万円
235,000円以上の場合:2万円
対象となる治療 B型肝炎に対する治療 (1)インターフェロン(α、β)単剤
リバビリンとの併用療法
(2)ペグインターフェロン単剤
リバビリンとの併用療法
(3)核酸アナログ製剤
C型肝炎に対する治療 (1)インターフェロン(α、β)
単剤
リバビリンとの併用療法
(2)ペグインターフェロン
単剤
リバビリンとの併用療法
リバビリンとプロテアーゼ阻害剤との併用療法
(注)病状などにより助成の対象にならない場合もありますので、医療費の助成を申請される場合は、専門医または主治医とよくご相談ください。

4一定の要件を満たせば、助成期間の延長や2回目以降の利用も可能

インターフェロン治療の医療費助成を受けられる期間は、原則として、1年以内とされていますが、平成21年4月からの制度の運用変更により、一定の要件を満たし、インターフェロン治療で72週投与が必要な患者さんには、助成期間の延長が認められるようになっています。
また、この助成制度を利用は、以前は1人につき1回のみとされていましたが、インターフェロン治療については、平成22年度の改正により、医学的にインターフェロンの再治療の効果が高いと認められる一定の条件を満たす患者さんについては、2回目の肝炎医療費助成制度の利用が認められるようになりました。
さらに、平成26年度の改正により、プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用療法などの、新たに薬事承認・保険適用された治療法が助成対象に追加されました。
インターフェロンフリー治療についても、平成26年度の改正により、C型慢性肝炎又は一部のC型代償性肝硬変に対しては、肝臓専門医によって他のインターフェロンフリー治療薬を用いた再治療を行うことが適切であると判断される場合は2回目以降も助成制度を利用することができるようになりました。
B型肝炎、C型肝炎の治療のためにインターフェロン治療やインターフェロンフリー治療、核酸アナログ製剤治療を受けている方、これから受けようとしている方は、ぜひ、この医療費助成をご利用ください。
インターフェロン治療やインターフェロンフリー治療、核酸アナログ製剤の医療費助成を受けるためには、お住まいの都道府県への申請が必要です。申請方法など詳しい情報については、お住まいの都道府県窓口にお問い合わせください。

5ウイルス性肝炎の検査は無料で受けられます

B型肝炎・C型肝炎の検査は、血液検査で行うことができます。多くの市区町村・保健所では、無料で肝炎ウイルス検査を受けられるようになっています。また、病院や診療所、会社や自治体の健康診断でも検査を受けられるところが多くなっています。
早期に病気を発見できれば、適切な治療を行うことができますので、積極的に検査を受けましょう。ウイルス性肝炎について不安のある方は、かかりつけ医や保健所などにご相談ください。

(取材協力:厚生労働省  文責 政府広報オンライン)

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