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Highlighting JAPAN

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特集日本の「おもてなし」

冒険を安全に愉しめる国、日本(仮訳)

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小山薫堂氏は、世界各国で放映されているテレビ番組「料理の鉄人」や、ラジオの話題作を数々生み出してきた放送作家だ。エッセー、小説の著作も多く、2008年度アカデミー賞「外国語映画賞」を受賞した「おくりびと」の脚本家としても知られる。また、日本各地で、ホテル、レストラン、自治体など様々な組織のコンサルタント業務にも携わっている。2010年には、観光庁の観光アドバイザーに就任した。小山氏が日本の旅行の楽しみ方を語る。

日本を旅行する楽しみの一つは食事です。価格が高くても安くても、満足できる食事を味わえます。例えば、京都嵐山の吉兆は非常に高いですが、芸術作品を観賞するように料理を堪能できます。部屋、おもてなしも含め、日本文化の良さが凝縮しています。

その一方で、ごくありふれた町の中にも安くて美味しい店もたくさんあります。先日、東京都墨田区の商店街にある小さな揚げ物屋に行きました。そこは、お客さんが注文してから、具を揚げ始め、出来上がると紙の切れ端で包んで出してくれるような庶民的な店です。一個90円でのコロッケを食べたのですが、これが素晴らしく美味しかった。

日本の神社には、他の国にはない独特の雰囲気があります。三重県の伊勢神宮や島根県の出雲大社の、木々に囲まれた参道を歩いているだけで、自分が浄化されるような気持ちとなります。これはどの国の人でも同じように感じることができるのではないでしょうか。

また、普通の人が普通に暮らしている場所にも素晴らしい風景がたくさんあります。例えば、私の故郷である九州の熊本県の天草に、崎津という古い天主堂が建つ小さな港町があります。そこの、みなとや旅館別館という、主に釣り客が泊まる小さな旅館に駐日フランス大使が宿泊したところ、そこからの眺めが素晴らしいと絶賛していました。実際、私も行って泊まったのですが、朝もやの中に浮かぶ、小さな漁村とその中に建つ天主堂のシルエットは、非常に美しかったです。

日本人は英語が話せないからということがネックになって、日本に来ないという方も多いかと思います。確かに、日本で英語は十分に通じないかもしれませんが、日本中どこでも、日本人の多くは例え言葉が通じなくても一生懸命に外国人をもてなそうとしますので、それほど不便なことは起こらないでしょう。その上で、「冒険」をしてほしいです。日本ほど、安全に、そして、ミステリアスな冒険を出来る国は他にないと思います。知られた観光地だけでなく、普通の人々の暮らしの中にも、心に残る発見や出会いがあると思います。

例えば、京都に行ったら、旅館もいいですが、カプセルホテルに泊まってみるのもおすすめします。京都には 寺町にあるnine hoursのような非常に安くて、かっこいいカプセルホテルが何軒もあります。泊まったら、ホテルのシャワーを浴びるのではなくて銭湯に行って欲しいですね。すると、観光地ではない本当の京都の姿を見ることが出来ます。銭湯の後には、近くの小料理屋や居酒屋に寄って下さい。そこには必ず気の良い常連客が飲んでいますので、その人がきっと話しかけてきてくれます。互いにボディーランゲージを使って、楽しく過ごせるでしょう。そして、2軒目は、その人のおすすめのお店に連れて行ってもらいましょう。きっと地元の人しか知らない、いいお店を教えてもらえるでしょう。そのような冒険を日本でしてほしいと思います。

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