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Highlighting JAPAN

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特集環境と都市の成長

低炭素観光地(仮訳)

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北アルプスのふもと富山県の黒部市に、宇奈月温泉はある。黒部峡谷の観光拠点としても知られ、峡谷沿いに走るトロッコ列車からながめる大自然の景観は特に人気だ。また、富山湾からも近く、味覚の面では海の幸、山の幸双方を楽しめる。

宇奈月温泉は、2010年4月、低炭素型観光地をめざして「でんき宇奈月プロジェクト」を開始した。山岳リゾートとして世界的に人気があるスイスのマッターホルン山麓の町、ツェルマットをモデルとして、環境にやさしい街づくりを、集客の起爆剤にしようという考えだ。ガソリン車の乗り入れを原則禁止するなどのツェルマットの先進的な環境保全の取り組みを調査してきた富山国際大学の上坂博亨教授の提案をきっかけに、地域の観光業者、建設業者らが集まってこのプロジェクトを立ち上げることになったのだ。

まず温泉街と周辺の観光用に電気自動車3台、電動アシスト自転車20台のレンタルを開始した。電気自動車が走れるのは100キロ程度で、周辺の観光地をゆっくりと1日かけて観てまわるのに十分だ。また12月からは、電気自動車の充電に使用するために、温泉街を流れる防火用水を利用した小水力発電装置の実証実験をスタートさせた。

でんき宇奈月プロジェクト実行委員長の大橋聡司氏によると「多くのお客様に『乗りたい』と感じてもらえるようオープンカータイプや、可愛いデザインの電気自動車を揃えました。最近では、電気自動車に乗るために訪れるお客様も増えています」と、すでに新しい観光客の開拓にもつながっているようだ。

宇奈月温泉を流れる黒部川の上流には日本を代表する水力発電所があり、クリーンエネルギーに対する地域の人々の関心の高さもプロジェクトを後押ししたという。

「現在、宇奈月駅から各旅館への送迎用の電動バスを開発中です。また、最近では中国や台湾などアジアからのお客様が増えてきました。今後も世界中のお客様に、クリーンエネルギーによる観光と、大自然を満喫してもらえるよう、これからも努力を続けたいと思います」

12月中旬からは電気自動車レンタルは冬期休業に入っており、春から再開予定だ。

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