Home > Highlighting JAPAN > Highlighting JAPAN 2011年2月号 > CO2フリーの自然エネルギーによる生活(仮訳)

Highlighting JAPAN

前へ次へ

特集環境と都市の成長

CO2フリーの自然エネルギーによる生活(仮訳)

English

風力、太陽光などの自然エネルギーによる発電は、気象条件などによって発電量が左右されることが普及への課題とされてきた。こうした課題を克服するための実証実験が、青森県の太平洋側に面した六ヶ所村で2010年9月から行われている。

六ヶ所村は、年間を通じて強風に恵まれ、国内最大規模の風力発電が行われている。また、年間気温の寒暖の差が大きく、さまざまな地域の環境を想定した実験が可能になることから、今回近未来の環境都市モデルの実証実験の場として選ばれたのだ。

この実証実験には、電力の供給元として風力発電を日本風力開発株式会社が、地域内のもう一つの電力供給源としての太陽光発電システムを日立製作所が、電力供給システムの構築・管理の担当として日立製作所と日本風力開発株式会社が、また電力の需要側として、パナソニック電工株式会社、トヨタ自動車株式会社、イオスエナジーマネジメント株式会社(日本風力開発グループ)がHEMS、家電、プラグインハイブリッド自動車などを提供している。

実証実験が行われる「尾駮レイクタウン北地区」の敷地には、太陽光発電パネル、家庭用蓄電池、ヒートポンプ式給湯器等を備え、家庭内の使用エネルギーの情報を詳細に管理できる「スマートハウス」6軒が建設された。スマートハウスには、プロジェクト参加企業の社員の家族たちが住み、通常通りの生活を行っている。国内最大規模の51,000kWの風車と34,000kWの超大型のNAS蓄電池を備えた日本風力開発グループの「六ヶ所村二又風力発電所」からスマートハウスのある敷地までは、約8kmの専用送電線が敷設され、外部から独立した電力需給の実験環境が構築された。さらに、日立は100kWの太陽光発電システムを提供している。

「自然エネルギーだけを使う閉鎖された空間を設定し、環境技術を包括的に備えた住宅で、実際に生活しながら実験するという試みは、世界でも例がありません。また、風力発電所に併設した、日本が独自に開発した超大型のNAS電池で、出力する電力を需要に合せて制御する技術も海外にはないものです」と参加企業の調整役を勤めるイオスエナジーマネジメント株式会社の大塚篤史氏は語る。

今回の実証実験により、時間ごと季節ごとの電力使用量の変化や、家族構成による電力使用の傾向などを調査し、効率的に電力の需要と供給のバランスをとるシステムを構築していく。

「実際に家族が生活する中で、電力供給側の要請に各家庭の電気の使用状況の変化が起きるのかも調査テーマのひとつです。例えば、電気料金の変化によって、各家庭が使う電力量の変化などについても調べていきます。また、今後はスマートハウス同士で、蓄電した電気の取引を行う可能性も探ってみたいと考えています」と大塚氏は言う。

前へ次へ