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Highlighting JAPAN

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特集環境と都市の成長

エコなオフィス(仮訳)

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東京駅の駅前は日本を代表するオフィス街である。そこに建つ「新丸ビル」の10階に、周辺地域の企業が設立した一般社団法人「エコッツェリア協会」が運営する環境情報発信拠点「エコッツェリア」がある。約420平方メートルの広さを持つエコッツェリア内には同協会の事務室がある他、環境問題への関心を高めるための様々な展示が行われている。また環境に関するセミナーや会議を開催できるスペースもある。

事務室には、働く人が、各自の机上のパソコンと照度計を使って、自分の好みや体調に合わせた照明の照度と色に変えられるLED知的照明システムが導入されている。これにより、平均照度が均一になっている従来のオフィスに比べ、電力消費量は概ね半減している。

さらに、冷温水パイプを取り付けた輻射パネルを壁面や天井に設置して室内の温度を制御する輻射空調システムも導入し、同じ室内でも送風口からの距離により室内の温度に差が出るという既存の空調の問題点を改善した。熱効率がよくなったため、空調設備のファンとポンプの動力の消費電力も従来に比べ、約4分の1に削減できた。

エコッツェリアの床や扉には、2007年に新丸ビルが建て替えられる前の、古いビルの基礎に使われていた松杭が再利用されている。その他、廃材を使った椅子やテーブル、新聞紙を使ったベンチなど、内装は3R(リユース、リデュース、リサイクル)が徹底されている。

エコッツェリア協会の環境イベントディレクター、井上奈香さんは「当初は自分で照明を調整するのは面倒だと感じていたのですが、照度や色を変更してみるとパソコンを長時間使用しても目が楽になりました。空調システムも好評で、冷え性や肩こりが軽減されたという女性スタッフが多いです」と語る。まずは働く人が快適に感じ、生産性も向上できるようなオフィスをつくった上で、温暖化防止などの環境面にも配慮できれば、企業にとって理想的だ。

「エコッツェリア」は誰でも自由に見学できる。協会は、実際に見学者に効果を確認してもらうことで、エコなオフィスを導入する企業の拡大を目指している。井上さんは「世界有数のビジネスセンターであるこの地域から情報発信する意義は大きいと思います」と話していた。

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