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Highlighting JAPAN

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特集一人一人が一人一人を幸せにする国際協力

スポーツで国際協力(仮訳)

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「スマイルアフリカプロジェクト」は、経済的な理由などから靴を履けないアフリカの子どもたちに、日本の子どもたちが成長して履けなくなったシューズを届けるプロジェクトである。このプロジェクトの中心メンバーの一人が、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんだ。

スマイルアフリカプロジェクトは2009年にはじまっている。ソウル五輪男子マラソン銀メダリストで、日本の実業団でも活躍していたケニア人のダグラス・ワキウリ氏が、以前から親交のあった月刊誌「ソトコト」編集長の小黒一三氏に、ケニアの首都ナイロビにあるスラム街の支援策について相談したのがきっかけだった。

プロジェクトを進める上でもっとも重要なのは、日本側で靴をどう集めるか。そこで白羽の矢が立ったのが高橋尚子さんだった。事務局サイドから声がかかった時、高橋さんは引退直後で忙しい時期だったが「ずっと社会貢献活動に関心があったが、具体的に何をしていいのか分からなかった。ぜひ、やらせてほしい」と快諾したという。

2009年5月には、集まった靴を持って高橋さん自身がケニアのスラム街を訪問した。高橋さんは、家畜のふんも放置されているような場所で、裸足で生活し、足の傷口から細菌に感染して指を切断することになった子どもがいることにショックを受けたという。

「シューズさえ履いていれば防げたことです。しかも、私のライバルがたくさんいたケニアの子供たちがそのような生活環境に置かれているということに驚きました」と高橋さんは言う。「マラソンランナーだった私にとってシューズは走るための“武器”でしたが、ここの子どもたちにとっては“命を守るもの”なんです」

帰国後はゲストとして参加する市民マラソンでは必ずスマイルアフリカプロジェクトについて説明している。また、プロジェクトに参加する小学校を訪問してケニアの状況を伝えシューズの提供を呼び掛けることもある。

高橋さんには、このプロジェクトを通じて日本の子どもたちにも伝えたいことがある。「小さいころは成長に応じて靴を買い替えていきます。それに対して何の疑問を持ったこともありませんでしたが、世界には買い替えるどころか満足に一足のシューズも買えず裸足で生活している人もいます。当たり前のことを当たり前に終わらせずに感謝する気持ち、そしてモノを大切にする気持ちを知ってほしいのです」

スマイルアフリカプロジェクトを通じて、2011年1月末までに24464足のシューズがアフリカに届けられている。

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