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Highlighting JAPAN

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特集日本のテーマパークを支えるハードとソフト

楽園の復興(仮訳)

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福島県いわき市のリゾート施設「スパリゾートハワインアンズ」が、東日本大震災による修復を終え、営業を再開した。松原敏雄が報告する。

福島県いわき市にあるスパリゾートハワインアンズは、大露天風呂、屋外や屋内の大型温泉プールや、プールサイドのステージ行われるフラガールのショーが人気を集めるリゾート施設だ。東日本大震災によって大型温泉プールに被害が生じて休館が続いていたが、10月1日より被害の少なかった一部施設の修復を終えて7カ月ぶりに営業を再開、全館オープンも2012年1月に控えている。

スパリゾートハワインアンズの前身である常磐ハワイアンセンターは1966年に誕生した。いわきは炭鉱の町として栄えていたが、輸入石炭との競合と石油へのエネルギー転換によって需要が激減し、炭鉱労働者の新たな雇用の場を生み出すために設立された。集客力を高めるために炭鉱夫の娘たちを特訓してフラダンスのショーを開いたのが際立った特徴で、その誕生から成功までの実話を描いた映画“フラガール”が2006年に日本で上映され大ヒット、2007年日本アカデミー最優秀作品賞を受賞した。それまでは単にハワイアンズのダンサーと呼ばれていた彼女たちもフラガールと称されるようになり、一躍全国的に知られるようになる。

このフラガールたちは、地元いわきの観光を盛り上げ、いわきの元気な姿を全国に発信しようと、5月3日から5カ月間にわたって全28名を3グループに分けて全国キャラバンを続けてきた。東日本大震災の被災者が避難している地元いわき市内の避難所への慰問公演を皮切りに26都道府県124箇所を巡回し、9月、韓国での“日韓交流おまつり2011”への出演も含めて全246回に及ぶ公演を繰り広げた。その模様を、メンバーを従えて一人で踊ることを許されハワイアンネームを冠された“ソロダンサー”の一人「ティアレるりか」さんはこのように語る。

「フラダンスは笑顔で踊るんですが、避難所でニコニコ笑っていいものか、当初はものすごく戸惑いました。でも、みなさん温かく迎えてくださって、ありがとうと涙を流されたり励ましのお言葉を一杯いただいたりと、逆に私たちの方が元気をいただきました。そうして培ってきた絆を、これからはステージでさらに深めていきたいと思っています」

彼女たちのショーは優雅なフラダンスからリズミカルなタヒチアンダンスまで4種類のダンスを組み合わせ、見る者を虜にして止まない。神奈川県から年120日は見に来るという葛貫辰男さんは、その魅力をこんな風に語りながら目を細めた。

「私は、以前大きな病気を患いましたが、ここに来て彼女たちのダンスを見ると、エネルギーをもらうことができます。ここに来たい一心で日々体調管理に気を付けています。毎回本当に楽しみです」


アクセス
・東京から車で常磐自動車道を通って約1時間50分(スパリゾートハワインアンズのホテル宿泊者は無料送迎バスあり)
・ JR上野駅から湯本駅まで特急スーパーひたちで約2時間。駅から無料バスまたはタクシーで約10分

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