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連載|やまとなでしこ

由布院のおもてなし(仮訳)

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九州にある大分県の由布院は、年間380万人の観光客が訪れる日本を代表する温泉地である。その由布院の多く温泉旅館の中で、おもてなしの素晴らしさや、庭の美しさ、食事の美味しさで高い人気を誇るのが、1953年創業の「由布院玉の湯」だ。玉の湯の社長であり、由布院温泉観光協会会長を務める桑野和泉氏にジャパンジャーナルの澤地治が話を聞いた。

──由布院の特徴は何でしょうか。

桑野和泉氏:日本の温泉町はホテル、旅館、土産物屋が中心の町も多いのですが、由布院には、普通の人々の生活する家、田んぼや畑、個性豊かなカフェやギャラリーが数多くあります。町が非常にコンパクトにまとまっていて、どこにでも歩いて行くことができます。自然も豊かで、町を見下ろす由布岳と田園風景が織りなす景色は本当に美しいです。映画祭やアート、音楽といった文化的イベントも一年を通じて数多く開催されます。

韓国や中国を中心に海外からも観光客がいらっしゃいますが、訪れた外国人は由布院を「チャーミングな町」としばしば評しています。中には2度、3度と訪れるリピーターもいらっしゃいます。

──玉の湯では、どのようなことに気を配って宿泊客をおもてなししているのでしょうか。

お客様に由布院の季節感を感じて頂くということが、おもてなしの一つと考えています。館内に、その季節の行事の飾りをする、あるいは地元の旬の食材を使った料理を出すということです。例えば、近くの農家で栽培されている野菜、大分の近海で捕れる魚、大分県で生産されている豊後牛などです。珍しい食材としては秋に採れる「ササナバ」というキノコです。これは、トリュフのように、非常に香り豊かで貴重なものです。

また、私どものスタッフは、お客様が安心できる「距離感」を保つようにしております。私どもから、食事や庭についての説明を積極的にすることはありませんが、お客様から何か尋ねられれば、直ぐにお答え出来るようにしています。例えば、お客様からしばしば庭の花について尋ねられますので、スタッフは皆、花について、図鑑で勉強しています。

海外からのお客様も、玉の湯の庭の緑や花に一番感激しています。庭を見ながら食事をする、あるいはバーでお酒を楽しむということを非常に楽しんでいます。

──桑野社長は、2003年、お父様から社長を受け継ぎましたが、女性という視点から、玉の湯を変えた点を教えて下さい。

父は玉の湯の敷地内にたくさんの木を植え、雑木林を作りましたが、私は花をたくさん植えました。先に申しあげたように、お客様に花で季節を感じ頂ければと思っているのです。また、私はお酒をたしなむことが大好きなのですが、女性が一人でも安心して飲めるバーを作りました。それから、私自身家庭では「母」であり、子どもも泊まれる宿にしたかったのです。そのために、例えば、談話室に子どもの絵本を充実させるといったことをしています。

──玉の湯を今後、どのようにしていきたいと思っていますか。

玉の湯は今、10,000平方メートルの敷地に17の客室がありますが、数年以内には、客室を2部屋ぐらい減らして、もっと緑を増やしたいです。そして、その中に、音楽を聴いたり、本を読んだり、お茶を飲んだりなど、人々が集まり、由布院ならではの文化を感じられる空間を作りたいと思っています。

また、健康に対する人々の関心が非常に高いので、お客様の健康維持のお手伝いをしたいです。例えば、健康に良い食の提案や、由布院の病院と連携し、予防医学のための滞在を支援するといったことを、今後進めていきたいと考えています。

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