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Highlighting JAPAN

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グローバリゼーション

日本武道館

日本の武道魂が世界と出会う場(仮訳)



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「日本武道館の歴史は国際交流の歴史そのものです」と語るのは、理事事務局長の三藤芳生氏である。1964年の東京オリンピックに向けた施設として同年に竣工した日本武道館の設計にはいくつかの特徴的な要素が組み込まれている。屋根は富士山の形状を反映しており、建物を内部で支える4本の柱は伝統スポーツである相撲の土俵の構造を模したものである。

日本武道館設立の主たる目的は、日本における若年層の健全な育成に加えて、「武道を通して国際交流を促進する場を提供すること」である。その一つの例は、日本武道館研修センターと国際武道大学において毎年開催されており、本年に第25回を迎えた国際武道文化セミナーである。4日間のコースは日本に住む外国人武道修行者を対象としており、武道の歴史と理論に関する講義に加えて、弓道合気道剣道空手道少林寺拳法、相撲、柔なぎなた、杖道など各種武道の実技体験を参加者全員に行っている。

さらに、70名程度の優れた指導者からなる日本武道代表団が毎年海外1カ国を訪問し、演武披露を行なうとともに国際親善と国際理解の促進を図っている。2012年11月には、インドのニューデリーで演武披露が行なわれ、6,300人もの観客を魅了した。2013年7月には、カンボジアと日本の国交樹立60周年記念行事として、日本武道館で両国の武道家が共同で演武を披露した。

三藤氏は、“自身にも攻撃者にも大きなケガを負わせることなく、いかにして身を守るか”という問題の答えという実利もあるため、武道修行は国際的にも大いに必要とされていると考えている。しかし武道はそれだけに留まらない。それは、言葉を使うことなく伝えることのできる規範、三藤氏の表現によれば普遍的な「身体言語」なのである。ただし当然ながら武道の内面的教義を伝える際に言葉が必要となる場合はある。武道家は、修行の重要な要素である瞑想によって、心の乱れ、即ち雑念から精神を解放して重要な事柄に集中することができる。瞑想呼吸訓練によってストレスを解消し感情を発散させる能力は、現代社会では大いに役に立つ場合があるだろう。

三藤氏は、「学校では共に学ぶことではなく正しい答えを教えることにあまりにも重点を置きすぎていますが、物事にグループで取り組み一緒に解を見出すことこそが人生において大いなる成功をもたらしうるのです。武道には無数の道があります。『正しい』道というものはなく、人それぞれの道を正しく歩むのです。そして自分だけの目標を見つけるのです」と語る。

日本には500万人、そして世界にはさらに5,000万人を超す武道家がおり、国内的にも国際的にも武道の未来は明るいだろう。より健康で充実した生活を求め、他者と楽しく過ごしたいならば、近くの道場を訪ねてみたらどうだろう。日本武道館のような組織が、現在では文化交流、相互理解、そして平和を強く推進する活動を国際的に行なっていることは非常にすばらしいことである。



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