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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

岩手県

久慈と遠野の訪問(仮訳)



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久慈市(北三陸町という架空の地名)を舞台にするNHKの朝ドラ『あまちゃん』のおかげで、岩手県は最近のニュースで盛んに取り上げられている。『あまちゃん』の主人公を探しに、東京から二戸への新幹線に乗った。二戸からはローカルバスで久慈駅へと続いている。バスの中からは森林地帯と綺麗に刈り取られた田んぼ、そして急な崖と岩に散在していた渓流の景観が次々と目に入ってきた。

建築的にも魅力のある新しい施設「土風館」に、久慈市の観光案内所がある。市の9月のお祭りで使われる巨大な山車や久慈の有名な伝統的陶磁器である小久慈焼の展示や、地元の物産を販売しているお店もある。

土風館の隣にある歴通路(レトロ)広場で、新鮮な魚や地元産の米などの昼食を食べた後、市街地や海までの素晴らしい景色を見るために、巽山公園へ向かった。

久慈周辺の旅行に役に立つコツの一つは、タクシーの運転手に頼むことだ。わずかな料金で、時間制のコースを提案してくれる。このサービスのお蔭で、海女センターにある小袖海岸に速く着くことができた。途中にリアス式海岸の素晴らしい景色が見える、なかでも風化した釣鐘堂は特筆すべき見どころである。

海女の潜り場は、夫婦岩に隣接している。夫婦岩は、夫と妻を象徴し、神聖なしめ縄によってつながっている。海女は特徴的な青いチュニックとショーツ、シュノーケル、ヤッカリ(網)を身に付け、ソエガキを手にして、岩の隙間を潜り、ウニやその他の貝を探して拾い、網に入れる。

久慈市内に戻ると、市内には久慈の地質学史、琥珀の展示、そして以前の琥珀の鉱脈を見ることのできる久慈琥珀博物館がある。地元の採石場を訪ねたり、琥珀を自分で掘ったりすることも可能だ。

日本の民俗文化に興味がある人には、久慈市より南にある遠野市を訪れることをおすすめする。遠野は1910年に出版された柳田邦男の『遠野物語』によって日本の民間伝承が伝わる有名な土地の一つとして一般の人々に知られている。

遠野には行く価値のある見どころが多くあるが、今回は代表的な「河童淵」(かっぱぶち)と千葉家曲がり家の二ヶ所を中心に訪れることにした。自転車を借りて、河童淵のある常堅寺に向って出発した。

この寺は、早池峰山古道の入り口に隣接した田舎道にある。寺の庭を歩くと、小さな木造の橋がかかったなだらかにまがりくねった清々しい水の流れがあり、ここが河童淵の入り口だ。砂利道は池への流れに続いている。実際、池は流れが広がる分岐点になっている。水の泡音を聞き、河道に沿って急に姿を現す魚を見て楽しみながら、キュウリ(河童の好物)の取り付けられた竹竿を使って河童の姿を探すのも面白いだろう。

伝統的南部建築の宝である千葉家の曲り家は、街の中心部から8km離れた西部にある。曲り家は日本語の「magaru」すなわち曲りが由来だが、これはL字の型をした特徴的な設計のことである。昔は馬小屋がこのL字の短い側にあって、L字の長い側にはせり上った生活空間があった。台所や主な作業場として使われていた、床が土からできた土間という部屋が馬小屋と生活空間の間に挟まれていた。曲り家は、構造的に小さな城と似ており、曲がり屋からは昔からあまり変わっていない周りの丘の素晴らしい光景が見える。

岩手には、すばらしい国立公園や世界遺産、伝統的な民衆文化がある。加えて岩手の人々の正直さや暖かさを考えると、全ての旅人に岩手に滞在することを心からおすすめする。



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