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Highlighting JAPAN

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クリエイティブルーツ

新播州企画(仮訳)

世界を夢中にさせる兵庫の伝統織物

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パリ・コレクションといえば、まさに世界のファッションイベントの頂点の中の一つ。そして、2014年1月、フランス人のオートクチュールデザイナー、ジャン・デュセ氏が発表したウェディングドレスが観客を沸かせた。このドレスに使われていたのは、兵庫県西脇市に本社を置く「オザワ繊維」の光沢のあるパーリーコットンである。

地元の伝統綿織物「播州織」である綿100%にも関わらずシルクのような光沢を持つパーリーコットンは加古川の水で洗われ、時間をかけてゆっくりと職人の技で織られた綿織物は、繊細な織りとソフトな肌触りが特徴である。

オザワ繊維社長の小澤國秀氏によると、同社は6年ほど前からルイ・ヴィトンやシャネルなど海外の一流ブランドに生地を紹介し、小規模ながらオーダーが入り始めたという。2012年にデュセ氏が同社を訪問した際、パーリーコットンに惚れ込み、ショーの最後を飾るドレスに使いたいと依頼があったという。

パーリーコットンは値段が高く、日本のマーケットではあまり浸透していなかったが、デュセ氏やフランスのトップブランドに認められたことで、小澤氏はパーリーコットンを製品として大事に育てていかなければならないと確信した。

2013年7月、播州織をはじめ地元産業のブランド化を目指すためにオザワ繊維は兵庫の伝統工芸企業と組み、「新播州企画」(SBK)を作った。その中心的存在のオザワ繊維と播州織にどのような変化があったのだろうか。

パリコレでは「オザワ繊維」のパーリーコットンのドレスと共に、兵庫県の皮革産業と播州織が組み、デュセ氏がデザインしたバッグをモデルたちが持ち、丹波市の花農園「株式会社大地農園」がパリコレのランウェイを彩るプリザーブドフラワーと、そのデザインまでを手掛けた。その洗練されたセンスは、地元メディアにも取り上げられるほど話題になった。

「オペラ座のパリコレといえば、ファッション界では間違いなく最高の名声。そこで、織物、皮革、プリザーブドフラワーなど、いくつもの地元産業のクオリティが高い評価を受けたということは非常に誇らしく、作り手たちのモチベーションにつながりました」と小澤氏は言う。

言うまでもなく、ヨーロッパは織物、皮革の分野で長い歴史と高い品質という評判を維持している。そのようないわば保守的な激戦区で、今後さらに日本の製品の人気を高めることはできるのだろうか。

小澤氏によれば「ヨーロッパにとって、日本はまだまだ本当に遠い国。文化も言語も違い、時差もあり、関税も高い。取引を始めようにも、越えなければならないハードルが高すぎると感じさせてしまう」という。彼はそうしたハードルを下げるよう努力すると同時に、それを乗り越えてでも欲しいと思わせるくらい良いものを提供することが必要だと考えている。

オザワ繊維は生地を売る会社だが、革製品やインテリア雑貨など生地以外の日本製品を紹介すると「日本のものって本当にすごい!」と感心されることが多々あるという。彼は「実感として、日本の製品は世界に通用する」と確信している。

 



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