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Highlighting JAPAN

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キッズ・コーナー

花見(仮訳)

桜を愛でる



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淡いピンクの花びらがひとつ、ふたつと舞い散る。春の青い空の下、やさしく散る花びらはかすかな風にもまた舞い上がり、踊りながらゆっくりと時間をかけて地面に降りてくる。その淡い色あいは、ちょっと見ただけでは白に見えてしまっても仕方がありません。でも白い雲と照らし合わせて見ると、桜の花は本当にかすかなピンクだということがわかります。

もちろん桜の花も種類によって、クリームがかった白から濃いピンク色まで様々ですが、桜の花が咲き始めると日本中が夢中になります。この時期、他のどんな季節よりも、国中が足を止めて自然の美しさと命の移ろいに思いを馳せるのです。

桜の花を愛でる習慣は「花見」と呼ばれています。文字通り「花を見ること」です。「花見」の仕方でいちばん一般的なのは桜の木の下でピクニックをすること。どんな桜の木でもよいのですが、何百本、時には何千本の桜の木がある有名な公園や城などもあります。特に知られている場所には、青森県の「弘前城」や東京の「新宿御苑」、京都の「嵐山」、熊本県の「熊本城」などがあります。でも、日本にいる限り、どこにいても桜の木から遠くなることはありません。

「花見」の季節には、お花見のパーティーに参加する機会もあることでしょう。一度は家族で楽しみ、別の機会には学校の友達と、それから会社の同僚と、さらにはスポーツ仲間や趣味の仲間と。

ピクニック用のブランケットやシートを広げれば、さぁ、飲んだり食べたりする時間です!大人たちは日本酒やビールを飲み、皆でおいしいお弁当を食べるのです。コンビニで食べ物を調達する人もいますが、うるし塗りのきれいな木製の弁当箱を重ねた中に、「いなりずし」(甘く味付けした油揚げでくるんだすし飯) や「たまご焼き」(巻いたオムレツ)、「おにぎり」など、頬が落ちそうなごちそうが入っていればまた格別です。桜の葉や花びら自体も食べることができます。人気のある食べ方はお餅を桜の葉で包んだ「桜餅」や花びらの漬け物です。ピンク色に染まる桜の木の下でくつろぎながら、きれいな模様のついたお弁当箱からおいしいごちそうを食べるなんて、なんて楽しいんでしょう!

「花見」の歴史は古く、古代において農村では春の訪れと農耕の開始期を知る手段でもあり、その年の稲作の出来を花の散り方で占い、桜を囲んで神酒を供えたといわれています。千年以上前の宮廷では花見にかかわる詩を詠むことを楽しみました。

今でも人々は花見の季節がいつ頃から始まるのか、とても楽しみにしていて、テレビのニュース番組ではどこで桜が咲き始めたのか、それぞれの地域ではいつ頃咲くのかは特別なニュースとして報道されます。中には桜の花を追いかけて、1月に咲く南の端の沖縄から5月に咲く北の端の北海道まで旅をする人もいます。

「花見」はきれいですが、その時期は短くもあります。木を淡いピンクに染め上げた桜の花はわずか一週間ほどで散り、地面を覆うピンクのじゅうたんになります。そしてそれからさらに一週間経つと桜の木は緑に包まれ、ピンクの雪のようだった花びらは風に飛ばされ、春の雨に流され、記憶の彼方に消えて行きます。美しいものは儚いという教訓だけを私たちに残して。



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