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Highlighting JAPAN

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海外で活躍する日本人

レースクイーンからレースの女王へ

FIA 世界耐久選手権レースドライバー 井原慶子(仮訳)

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1997年の学生時代に井原慶子氏はレースクイーンとしてモータースポーツの世界に入った。レースクイーンとはレースのピットクルーの一員で宣伝を担当するモデルのことである。そこで知った真摯な姿勢、情熱、車の運転、チームワークがいつまでも消えない感動を残し、すぐに運転免許を取得した。また、彼女はパートタイムで自動車学校のインストラクターを務め、自動車の制御についてさらに詳しく学んだ。

井原氏は25歳でFIA公認フェラーリ・チャレンジでレースデビュー。日本シリーズを席捲し、MVP of The Yearを受賞、最終的には世界ファイナルで2位という成績を残した。この経験により自信を得た彼女は、イギリス・フォーミュラ・ルノー2.0シリーズに出場する機会を得た。

「フェラーリ・チャレンジでの経験から、レースドライバーになることはそれほど難しいことではないと思いました」と彼女は当時を振り返る。「イギリスに行き、キミ・ライコネンやフェリペ・マッサの後ろに自分がいることを自覚した時、レースをすることがどれほど大変なことなのかに気付きました。」

その思いが、井原氏を運転に対し一層厳しく取り組ませた。その後の数年間で彼女はフォーミュラをはじめとする数々のシリーズを戦い抜いた。こうして井原氏はOAKレーシング モーガン・ジャッド LMP2レーシングチーム、そして世界耐久選手権(WEC)の2014年シリーズ唯一の女性ドライバーという現在の地位に辿り着くために必要な経験を得ていったのである。最近行われたル・マン 24時間レースでは、井原氏は日本人女性初で完走し、LMP2クラスで9位に入賞した。彼女は現在プロの耐久レースに出場する唯一の女性ドライバーであり、女性としてWEC世界耐久選手権ドライバーランキング世界最高位の22位を2013年に獲得している。

より優れたスタミナや体力、また時には20年近い経験の差を持つような男性優位の世界で、競争力を維持するためには、井原氏は絶えず厳しい訓練を続けなければならなかった。そして、自分の車やチーム、仲間のドライバー達から最大限の能力を引き出すためにはチームワークとコミュニケーションが重要であると彼女は強調する。また、瞬時に反応できるよう精神を研ぎ澄ませておくこと、戦略、24時間のレースに必要な精神的耐久力も重要であることを彼女は忘れない。

それにもちろん、体力も維持しなければならない。しかし、他の多くの活動でトレーニングの時間が取られてしまう。ジョギング20キロ、水泳100往復、そしてジムトレーニングを毎日行うのが理想です」と彼女は言う。「でも残念ながら、いつも時間があるわけではないのです。」

彼女はFIAウーマン・イン・モータースポーツ評議会のアジア代表である。このグループは女性達がモータースポーツを、ドライバー、エンジニア、あるいはオフィシャルとして自分が参加できる分野として見ることができるようになるようその奨励に務めている。多様性のためではなく、それぞれの技術と能力に応じて対等であるために、という目標を掲げている。

また、井原氏は、教員資格を持つ教師でもあり、名古屋の小学校でパートタイムとして、これまでに世界70ヶ国を訪れた経験を活かし、英語を教えている。「英語やその他の言語で互いにコミュニケーションを取り合えるようになり世界の国々の距離がますます縮まりました。そのお陰で日本人も他の文化を学び、心を開いて体験できる機会が増えています」と井原氏は言う。「グローバルな心を持つ人々がもっと日本から海外に出て行ってくれたら素晴らしいと思います。」

彼女は最近、将来自動車やモータースポーツの分野で活躍することを目指す学生達のいる日本の大学や高校でセミナーを行うようになった。これらは通常彼女の「井原慶子ダイバーシティプログラム」に基づいて行われる。

 



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