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Highlighting JAPAN

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日本で働く外国人

世界中の社員でユニクロカルチャーを共有する(仮訳)




1984年に誕生し、フリースやヒートテック、ウルトラライトダウンなどの大ヒット商品の数々を生み出し、今や日本を代表するアパレルブランドの一つとなったユニクロ。2001年に英国ロンドンに海外1号店をオープンしたのを皮切りに、現在ではアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど、世界16の国と地域に店舗を構えている。

ユニクロを運営する株式会社 ファーストリテイリングは、積極的なグローバル戦略で成長を遂げ、アパレル小売業界において日本国内ではダントツの売り上げトップ、世界でも4
位に入る。グループ全体での従業員数は約9万人にも上り、日本人従業員5万人に対して外国人従業員は4万人程度と半分近くを占める。

外国人従業員のほとんどは現地採用の海外店舗スタッフだが、日本国内でも全国のユニクロ店舗で約2000人が販売スタッフとして働いているほか、ファーストリテイリンググループのグローバル本部でも100人以上の外国人が働いている。さらに、米国ニューヨークにあるデザイン拠点のリーダー、各海外拠点の経営者教育を行う部門の責任者、グローバルマーケティングの責任者など、経営幹部の中でも外国人社員が多数活躍している。世界的にユニクロのブランドイメージが高まり、世界中から優秀な人材が集まるようになったためだ。

ファーストリテイリングで人材戦略などを担当するグループ上席執行役員の横濱潤氏は「ユニクロというブランドの良さを世界中に伝えるためにはグローバル化は当然」としたうえで、真にグローバルな組織の実現には難しさもあると話す。「ユニクロでは、売り場作りに求める水準が高く、商品の並べ方や品揃え、ディスプレイの分かりやすさなど、店舗スタッフにはかなり高いレベルを要求します。外国人の多くは、そのレベルの高さにビックリするのです。こうした売り場作りに代表されるユニクロの徹底した顧客サービスへのこだわりは、日本独自の文化や美意識に裏うちされたものですが、そうした背景を共有していない外国人には理解しづらいものでもあります。必要なローカライズはしつつも、世界中で同じ水準の売り場、サービスを実現するためには、スタッフ間の密なコミュニケーションや研修が重要です」。

もう一つ、外国人スタッフに理解されにくいのが、日本的な仕事の仕方だ。たとえば、欧米の企業ほど個々の役割が明確に定義されていない日本企業の組織のありかたは、外国人スタッフにとっては責任の所在が不明になりがちだと感じることがあると横濱氏はいう。「日本的なチームワークは重視しつつも改善すべきところは改め、異なる文化を持つ従業員同士が互いにコミュニケーションを取りながら、全員が試行錯誤を重ねながら改革を進めているところです」。

横濱氏は「異なるバックグラウンドを持つ者同士のコミュニケーションは、ときに行き違いが生じることもあります。互いの立場や意見を明確にし、粘り強くやり取りを重ねることが重要」と話す。海外と日本の違いを理解し、世界に向けて発信することの大切さを自覚する良い機会になっている。同社内では日本人同士の会話ややりとりについては日本語でOKだが、将来を見据えて英語を勉強中の社員も多く、世界を視野に入れた仕事をしている様子がうかがえる。

グローバルビジネスを推進するときには、世界のビジネスルールに迎合することばかりを考えがちだが、ファーストリテイリングのケースを見ると、ビジネスにおけるグローバルスタンダードを踏まえながらも日本発のブランドとして日本の文化や価値観を理解してもらうことでより良くグローバル化を進められることがわかる。日本で働く外国人社員に日本の良さを伝えるためにも、日本人自身が日本について理解を深め、海外文化との違いを考慮しながらコミュニケーションを重ねる努力をしていくことが重要である。



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