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Highlighting JAPAN

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日本で働く外国人

金融業からインテリア界へ

セオドア・ジェニングス氏、サラリーマンから起業家へ転身(仮訳)




外から見ると、セオドア・ジェニングス氏の自宅兼事務所は、特に変わったところのない一般的な日本のマンションである。けれどその玄関は、別世界への入り口である。黒大理石の装飾、鮮やかなカーテン、華やかなアート。そして、側面にまで伸びるラップアラウンドのベランダに目を引かれる (ここはジェニングス氏個人のショールームでもある)。踏み石を進むと、鯉がいる浅い池の向こうに、豪華な屋外ソファーがあり、鉢植えのヤシの木を脇に置いたバースツールには、ゆっくりと一杯飲みながら、近くの新宿超高層ビル群から発せられる光からなる夜景を楽しんだりする人々が集まってくる。

テキサス出身の彼のビジネスポイントは、「型にはまらない考え」に尽きる。東京の小さなバルコニーをリゾート風装飾で変身させる会社「バケーション・ベランダ」の創設者兼CEOである彼は、シンプルでありながらも目を奪われるデザインアイデアを提供している。「自宅のベランダで、いつでも、リゾート気分を味わうことが目的。それにより、東京の街をよりよい環境に変えることができるのです」と説明する。創設4年の会社はまだ発展途上だが、既に多数の不動産保有者が顧客になっており、さらには東京の顧客の中には駐日大使までも含まれている。

ジェニングス氏は大学で日本語を専攻し、自分は語学の能力に長けていると見出し、京都にある大学の留学プログラムに参加したことによって日本で働くことに興味がわき、2000年、東京にある金融機関に就職するため日本に引っ越した。そこで慌しく働いているうちに、「バケーション・ベランダ」の発想が生まれた。

起業を思い立ってから2010年実際に起業に至るまでに、2年の月日が流れていた。「その間、多くの時間をただ椅子に座って思案することに使い、やっと起業することを決めた」と彼は胸の内を語った。しかし、決意した後は、在日米国商工会議所主催のイベントなどで、積極的に外国人起業家からアドバイスを求めた。

2011年、ジェニングス氏は、日比谷公園ガーデニングショーのライフスタイルガーデン部門で銀賞を受賞した。「市場が認めてくれたみたいで最高だった」と誇らしげに話す。建造と設置は5人のスタッフに任せているものの、新事業の開発に取り組んでいない時には、今でもデザインの大半を手掛けている。

滞日16年のジェニングス氏は、外国人というのは利点でもあるがネックでもあると考えている。ビジネスでの決定において、日本人の間には時々、外国人を信用するのに迷いがあるということに気付いた。日本人のセールスマネージャーと共に働き、会社として日本人の顔を出すことで、こういった問題を緩和してきた。

それとは逆に、ジェニングス氏は次のようにも加えた。「自分が外国人だという紛れもない事実は、自分には他の人とは違うアイデアがあることを意味し、それが功を奏した」。規則や手続きが多い日本の企業よりもスピーディかつ柔軟にことを進めることができるとジェニングス氏は話す。

バケーション・ベランダのコンセプトは、日本人の間で人気が出始め、特に実際のデザインや装飾されたベランダを顧客が目にしたことで、さらに好感が上がったとジェニングス氏は考えている。彼曰く、ここ過去数年は、未来のビジネスへ向けての種まきの時期であったとのことだ。

さらに、バケーション・ベランダは、日本以外の潜在顧客からの注文を受けるようになってきており、すでにバンコクでプロジェクトが1つ進行中である。「東京の会社だと話すと、とても信用の証明になる。将来的には、この信用度を活用しようと思う。中国、シンガポール、ブラジル、そしてアメリカに進出するつもりです」とジェニングス氏。アメリカ人デザイナーとしてのセンスを生かし、東京に暮らす人々の毎日をバケーションへと変えてきた彼の信頼と実績は、今後世界中にファンをもたらすに違いない。



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