Home > Highlighting JAPAN >Highlighting Japan October 2014>>47の物語

Highlighting JAPAN

previous

連載 47の物語

滋賀

自然な魅力(仮訳)




ちょっと見ただけでは眼前に見えるものが何かを理解するのは難しい。この青く広がるもの、これは海なのだろうか? 地と空の境界は霞んでそこに実在するのか幻なのかも定かではない。

それは琵琶湖といい、滋賀県の中ほどに位置し、670平方キロメートルという面積を誇る日本最大の淡水湖なのだ。この湖は古い時代の和歌にたびたび詠まれており、隣接する地域の人々の生活をその豊富な水資源と古都京都への近さで支えてきた。

琵琶湖は今も滋賀県のシンボルであり、湖自体で県の面積の6分の1を占めており、かつ湖周辺は自然公園となっているため滋賀県における自然公園の面積は占有率が37%にも達し、日本で最も高い比率となっている。この湖は関西地域の1,500万人に飲み水を提供し、沿岸の町にとっては風光明媚な背景であり、またこの地方の漁業や織物業、真珠産業のよりどころであり、さらに地元住民にとっても観光客にとってもレジャーを楽しむワンダーランドになっている。

琵琶湖の素晴らしさについてもっと詳しく知りたくなっただろうか? ならばウォーターボールに挑戦してみよう。この空気で膨らませるビニール製の球体を使った遊びを日本に最初に持ち込んだ御舩泰秀氏によれば、直径2.5メートルの透明な球体の中で湖に浮かぶという夢心地の体験ができるという。球体の中からは360度の眺めが楽しめ、中にいる人は周囲の景色を楽しむことも、水中の生き物を観察することも自由にできる。

びわ湖バレイでは、日本最高速のロープウェイを利用して1,100メートルの高さまで昇り、そこからの湖の眺めを楽しむことができる。ここではまた、ハイキングや川歩き、そして冬季にはスキーなどもリクリエーションとして用意されているが、中でもジップラインという、山を滑り降りる遊びの楽しさは格別だ。身体をハーネスで固定し、長くて丈夫な金属製ワイヤーにカラビナと緊急用のブレーキラインをかけると、あとは勇気を振り絞ってプラットフォームからワイヤーを使い宙に身体を蹴りだすだけで、眼下に湖と森が飛び去る絶景を体験できる。ジップラインガイドの村田ジュンジ氏は、「どなたも最初は怖く感じますが、すぐ慣れて景色を楽しめるようになり、『また来たい』とおっしゃいます」と語る。

山腹を降りたところに、針江の町がある。結束の強いこのコミュニティでは、二百年以上に渡って使われてきた素晴らしい水供給システムを見ることができる。湧水が山から流れ下って町に入ると道路に沿った開放型の水路を通るようになり、その清らかな流れには多くの魚や蟹が生息しており、水生植物も花を咲かせている。

この地区の家には、水小屋(すなわちポンプを備えた屋外の小屋)があり、野菜など腐りやすい食材を冷たい水に保管しているが、そこで飼育している鯉が食材のくずやその他の残飯なども食べて掃除してくれる。ほとんどの家庭ではあらゆることに湧水を利用しており、湧水ではない市の水道の利用は洗車など暮らしの一部に限られる。住民はおいしい水とそれを皆が利用できるように清潔で安全に保つ地域社会の努力を誇りとしている。

湖の対岸の彦根市に目をやると、堂々たる彦根城がそびえる。この城は、二重の堀、純白の壁、印象的な黒瓦の屋根を特徴とし、筑城後四百年以上経過するが、日本において築城時の建築形状が保存されているわずか12の城の1つである。天守閣を取り囲む壁に使われている大きくて荒削りの石を見ると、この城を守る人たちが城内への敵の進入をどのように防いだのかが想像できるだろう。中に入ると、往時の君主から今日の好奇心旺盛な歴史ファンに至るまで、何百年もの間使われて磨かれた板の間は、靴下を履いて歩くと足が滑るほどである。

滋賀県は京都からも近く、琵琶湖およびその周辺地域は清らかで瑞々しく、その歴史の香り漂う自然な魅力は、ゆったりした雰囲気での休暇を過ごしたい観光客を惹きつけるだろう。

 



previous