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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

埼玉

陽光きらめく地の驚くべき光景 (仮訳)




東京都心から北へわずか一時間ほどのところにある埼玉県には、関東地方における農業の中心地として、また首都で働く膨大な数の通勤者の「ベッドタウン」としての歴史がある。埼玉は東京から郊外へと変わっていく一帯に位置し、観光客にとっては現代技術がもたらす驚きと盛んな伝統芸術の舞台であり、また一年の快晴日数が全国の中で最も多い県の一つであるという特徴がある。

埼玉県で最も大きな駅である大宮からわずか2分ほど電車に乗ったところに、威容を誇る鉄道博物館がある。これは2007年に開館したもので、日本における鉄道の歴史に関する膨大な展示がされている。展示場には、日本において最初に運行された蒸気機関車から、かつて日本の皇族の旅行に使われた豪華な専用列車に至るまで、多くの列車が並ぶ。

しかし鉄道ファンにとってのこの博物館の最大の呼び物は、日本の鉄道システムのさまざまな仕組みをここで実体験できることだ。例えば、本物と同じ技術を使ったミニチュアの列車を信号まで備わっている線路上で運転することができる。また、シミュレーターでは本物と同じ大きさの列車を運転する体験もできる上に、ここでは新幹線や世界唯一の蒸気機関車シミュレーターもあり、それらを実物大の運転席で操縦できるのだ。

鉄道博物館から少し離れたところに盆栽村がある。言うまでもないが、盆栽とは小型に木を栽培して枝ぶりや葉姿を楽しむ日本の伝統的な芸術である。盆栽村には、ゆったりとした大宮盆栽美術館もあるが、これは世界初の公設の盆栽美術館である。展示は細部まで行き届いており、実に様々な樹影がある盆栽の上品な美しさの見極め方を分かりやすく解説している。完成した商品のみが並べられる他の展示会とは異なり、屋外にある素朴な盆栽園では伝統の技術を見学できるという特徴がある。世界的に有名な盆栽もここに展示されていて、専門家にも気楽に観賞したい人にも鮮烈な印象を与えることは間違いない。

大宮から30分ほど電車に乗ったところに位置する春日部市では、都市の町並みが広がる先の郊外に首都圏外郭放水路がある。地上の目立たない入口からは、この圧倒的な地下巨大構造物の片鱗も窺えない。この放水路は、周辺地域における洪水被害を軽減するために造られ、自由の女神を楽に収容できるほど巨大な5基の立坑やサッカーフィールド2面に相当する大きさの調圧水槽を備え、これらすべてを長さが6.3キロメートルのトンネルで結んでいる。調圧水槽には、イスタンブール地下宮殿を思わせる59本の巨大な柱が立ち並び、まるで寺院のような様相であり、テレビや映画でも100回近く取り上げられている。この放水路の途方もない大きさは日本の技術が結実した例として鮮烈な印象を与えており、実際に訪れて初めてその巨大さが理解できる。

ここは東京に近いために、晴れ渡った埼玉の魅力も時に隠れてしまうこともあるが、日本の現代技術および伝統文化の両方に関連した特別な体験ができることから、この県を訪れることは欠かせないことだと言って良い。



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