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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

静岡

富士山のふところで気分を盛り上げてくれる体験(仮訳)




静岡県は東京から新幹線でわずか1時間半だが、大都市の喧騒から離れた世界のように見える。駿河湾を囲む静岡にはたくさんの宝がある。東の伊豆半島は静かな砂浜と目を見張るような断崖、数えきれないほどの温泉。西には県内の商業の中心地とのどかな日本茶の生産地。そして北には至宝富士山が、女王のようにそびえ立っている。

伊豆半島の清水から土肥へ渡る駿河湾フェリーは県の端から端を旅するのに楽しく快適な方法だ。絹の衣のような朝霧をまとった富士がはるかに見える。乗客が居心地のいい椅子に座り、飲み物でも飲みながら窓の外を見ている間に船は三保の松原の前を行く。広重の浮世絵にもなった7キロに渡る松林の砂浜だ。カモメは船の通った跡に飛び込んで朝食を求め、運が良ければ沖の方でイルカの姿も見える。また、このフェリーの航路は2013年に県道223号として公式に認められ、日本で唯一の海にある県「道」となった。また、交通渋滞がないのも日本唯一である。

駿河湾で最も深い水深2500メートルの駿河トラフの上をフェリーが横切ると、薄霧は晴れ、富士山が全容を現す。雲が少し山の中腹あたりにまるでスカートのようにたなびく。見る角度や季節、天候によってこの象徴的な山の表情は大きく変化するが、ここからの眺めはもっともすばらしい姿のひとつであることは確かだ。

伊豆の西岸にある土肥は半島の砂浜を訪ねたり、スキューバダイビングやシュノーケリングを体験できる。古い金鉱の街でもある土肥は少しゆっくり滞在して観光することも楽しい。地元の温泉に浸かったりして富士を背にした岩の多い海岸を眺めるのもいいだろう。ここには世界最大の花時計があり、外側には小石の道があり、滑らかなものから尖った石が置かれている。

清水では、「エスパルスドリームプラザ」に行けば、観覧車に乗って富士山を一望できる。また、和食を代表する寿司の博物館と寿司店8軒のレストランエリア「清水すしミュージアム/清水すし横丁」があり、マグロ、桜えび、しらすなど地元特産品を中心に提供している。

日本で消費されるマグロの約半分、冷凍マグロの水揚げのほとんどが清水港で水揚げされる。しらすは3月中旬から1月中旬まで行われる。桜えびは日本では駿河湾、東京湾、相模湾だけに生息し、漁が行われるのはここだけである。これらの海の幸は地元のレストランで食べることができ、エスパルスドリームプラザ内のショップでも購入できる。静岡の海の幸を楽しむには絶好の場所である。またここには地元出身の漫画家さくらももこ氏のアニメ『ちびまる子ちゃん』の国内唯一のミュージアム「ちびまる子ちゃんランド」もある。

静岡出身で、静岡県観光振興課で働く小林直樹氏は、富士山のふもとの街、富士宮市に住んでいる。「毎日おいしい魚介類を食べられて、富士山を見ながら暮らしています。この街での暮らしはいいですよ」と言う。「素朴かもしれないですが、幸せです。」小林氏のように、旅人もまた静岡の魅力に繰り返し足を運ぶようになることだろう。

 



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