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Highlighting JAPAN

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なぜここに外国人

漢字の達人、

ブレット・メイヤー氏(仮訳)


漢字(日本語を書く時に用いられる中国由来の文字)を極めることは、日本語を母国語とする日本人にとっても決して容易ではない。2012年にブレット・メイヤー氏が「日本漢字能力検定」の最上級に合格した際、大きなニュースになったのはそのためで、漢字が使われる東アジア圏出身ではない外国人の合格は初めてだった。

日本の文部科学省は常用漢字 (一般の社会生活で用いられる漢字)として2,136字を定めている。それらに加え、多くの日本人は名前に関連する1000字の漢字に親しみがあるとされる。ところが、日本漢字能力検定1級に合格するには、書き順、音読み、訓読みなど、6,300字を完全に理解していることが求められる。1級は最難関で合格率は約11%だ。これまでに満点で合格した受験者はいない。

メイヤー氏は静岡県浜松市在住のアメリカ人で、日本のアニメによって日本語への興味がかきたてられたという。そして高校時代には独学で日本語の勉強を始め、日本語の音節文字体系である平仮名、カタカナに加え、多少の漢字も学習した。大学では日本語を専攻し、交換留学生として1年間の日本滞在を経験し、2004年に米国のゲティスバーグ大学を卒業した。その後、日本語を真剣に勉強するために2008年に再び来日した。

現在32歳のメイヤー氏はその年に小学生ばかりの試験会場の小さな部屋で8級から受験を開始した。1級まで来ると受験者層が大きく変わった。仲間の受験者について、「会社を退職した人、漢字マニア、たまに天才児なんかもいました」と語る。

1級はかなりハードルの高い試験だった。メイヤー氏は打ち明ける。「初めて1級を受験した時は、200点中7点しか正解できませんでした」。だが、諦めの気持ちを抱くことはなく、おかげで1級の試験に対する神秘性が消えたという。1日最低3時間の勉強を開始し、試験日が近づくと勉強時間を6時間に増やした。そして2012年10月、5回目の挑戦でついに1級に合格した。自宅には並々ならぬ努力の跡が残っている。準1級と1級だけでも、60冊を超えるノートに漢字、読み方、意味がびっしりと書き込まれている。

メイヤー氏にとって漢字を書くことはアートであり、それぞれの漢字が語るストーリーに魅了されるという。好きな漢字は「魁 」(さきがけ: 先駆者、草分けの意)で、まだ誰もやっていないことに挑戦するという彼自身の信条を表している。「みんなからそんなに1級にこだわらなくてもいいと絶えず言われていました。そんなもの必要ないと。だからこそ挑戦したかったのです」とメイヤー氏は語る。

メイヤー氏は、日本人も外国人も漢字の魅力に気づくことを願っている。毎週、静岡のラジオ番組に出演して漢字やその読み方について語るほか、面白い漢字を紹介する短いテレビ番組を作ることを大変楽しみにしている。「ずっとこんなことをやりたいと思っていました」とメイヤー氏は語る。また、メイヤー氏は日本漢字能力検定協会が認定する漢字教育サポーターでもあり、これまでにおそらく500人以上に指導、講義を行なったという。

日本をあちこち旅する際は常に珍しい漢字に目を向けるほか、日本のことわざ検定の勉強も進めている。また、漢字能力検定を別のアプローチから受験している。「次の目標は満点を取ることです」。現在までに10級、9級、8級に1問のミスもなく合格しており、1級に満点で合格して再び話題になるのは時間の問題かもしれない。

 



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