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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

和歌山

高野山で体験する豊かな日本文化(仮訳)




大阪の難波駅から南へ2時間。和歌山県北部に高野山は位置する。標高1000メートル前後の山々からなる高野山は、日本の仏教である真言宗を弘法大師空海によって1200年前に修行の場として開創されたと言われ、その一部である金剛峯寺、壇上伽藍などが「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産として2004年7月にユネスコ世界遺産に登録された。

山上に辿りつくとまず気づくのが、寺院と僧侶の多さである。高野山を網羅する道はどれも寺院に囲まれており、歩道には法衣を纏った僧侶が行き交いしている。117ヶ寺もの寺院がある高野山の人口は4000人と推定されているが、中でもおよそ1000人が僧侶であるらしい。そんな高野山は、まさしく修行にうってつけであり、威容を誇りたちそびえる山々と標高1000mから近く感じる広大な空に囲まれている。

高野山真言宗の総本山である金剛峯寺の前に立つと、正門の堂々としたスケール感に圧倒されてしまう。本殿の中には2300平方メートル以上という日本一の広さを誇る石庭に雲海がきれいに表されている。その雄大な建物から石庭の繊細な芸術までの日本らしい幅広いこだわりに誰もが心を動かされるだろう。

総本山金剛峯寺から100m程離れたところに、壇上伽藍がある。ここは弘法大師が高野山で最初に開いた場所であり、高野山における聖地であるという。中でも目を惹き付けるのが空に向かいそびえ立つ朱色の高さ48.5mの根本大塔だ。

壇上伽藍から高野山の反対側へ一本道をまっすぐいくと、樹齢数百年に及ぶ杉の木々がそびえ立っている。手前には、小さな石橋が弘法大師の御廟がある「奥之院」への入り口に向かってかかっている。御廟まで約2kmの道のりには、伝統的なランタンである燈籠が一本道を挟んで並んでいて、その周りには20万基を超えるお墓や祈念碑などが点在している。

高野山の117ある寺のうち、52の寺は泊まったり、精進料理を食べたり、勤行参加をしたりできる宿坊寺院となっている。そのうちの一つである「蓮華定院」は、英語での対応に定評であり海外観光客に人気がある。滞在者になるべく挨拶をしているという住職の添田隆昭氏によると、日本の多様で受け入れる精神に満ちた包容力のある文化は優しさと寛容さを重んじている弘法大師の教えに通じるものがあるという。

都会から離れた山奥にある高野山は、時が止まったかのような静穏な世界観を醸し出している。日本の達観した寛容な文化に触れたい人たちは日本仏教の聖地でその文化を目で確かめるといいかもしれない。



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