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Highlighting JAPAN

日本への徹底投資

外資系企業コミュニティは日本で上昇気運にある。それを牽引しているのは、高度な教育を受けた有能な日本の働き手やコーポレートガバナンスの向上、健全な法的・規制的環境、安定した政治体制、強靭な交通インフラ、そして市場自体の大きな価値だ。

在日外国商工会議所による景況感に関する調査 (日本経済の成長力とビジネスチャンスに対する意識調査を目的に2002年より開始) の2015年10月版によると、回答した各国の在日商工会議所の参加企業のうち約75%が日本における将来の自社の成長を見込んでいるという。

外資系企業や投資家たちが日本に確固とした基盤を見出す理由は数多く存在すると在日米国商工会議所 (ACCJ) のジェイ・ポナゼッキ前会頭は話す。ACCJは、日米の経済関係のさらなる進展などを目的に1948年に設立された。日本で最も影響力の強い外国経済団体のひとつとして考えられており、40カ国以上からなる3,000人を超える会員と、1,000社以上のメンバー企業を代表し、海外直接投資 (FDI) やコーポレートガバナンス、雇用流動性、ヘルスケア、その他規制に関する問題などに注力している。

「昨年の米日間の貿易額は2,000億ドル以上に達し、私たちのメンバー企業は日本で年間数十億ドル単位の取引を行っています」とポナゼッキ氏は語る。「日本は世界でトップ3に入る重要なマーケットのひとつであり、競争も熾烈です。トレンドや新製品は、通常、日本で始まり、その後アジアで紹介されます。そのため、日本で成功すればアジアのどこでも成功できるといった感覚なのです」。

米国政府代表者の訪日回数は飛躍的に増えており、7月以降、日本へ来る企業派遣団の数も増加したとポナゼッキ氏は話す。何が彼らを惹きつけているのだろうか。

「その最たる理由は、高度な教育を受け、勤勉で有能な日本の働き手です」とポナゼッキ氏は答える。「優れたエンジニアリングスキルと特許ポートフォリオは、日本企業との提携や、テクノロジーの商品化の支援などの確かな機会をもたらします」。

「また別の要因として、金融・投資市場の成熟が挙げられます」と彼女は続ける。「健全な法的・規制的環境など、投資家たちにとって予測が立てやすいのも重要です。日本の交通インフラと、優れたインターナショナルスクールや食文化といったソフト面も大きな要因です。また、日本は世界で最も安全な場所のひとつです。2019年のラグビーワールドカップ、そして2020年の東京オリンピックとパラリンピックによって、今後数年間にわたって日本により多くの視線が集まることになるのではないでしょうか」。

安倍晋三総理大臣の存在もまた、大きな原動力となっているとポナゼッキ氏は語る。「日本は安定した信頼できるパートナーであり、民主主義や法の支配、人権、自由市場といった価値観を共有してきた相手でもあります」。

2015年10月に大筋合意に至ったTPP(環太平洋パートナーシップ)協定も海外からの注目を集めている。「アベノミクスは、農業改革やコーポレートガバナンス、“ウィメノミクス”、法人税率などの主要分野で前進しています」とポナゼッキ氏は話す。「FDIの観点からすれば、法人税率とコーポレートガバナンスは大変重要です」。

ACCJは、主要な政策提言活動を通じて日米両国に意見を届けており、『Charting a New Course for Growth』(ACCJの成長戦略に関する政策白書)と呼ばれる2010年の白書では、日本に対していくつかの提言を提供した。特に注目すべきが新たに確立されたコーポレートガバナンス・コードだ。

「M&A取引は、どの国でもFDIの累積ベースにおける純増減の大きな要因となります」と、この試みの最前線にいるニコラス・ベネシュ氏は話す。ベネシュ氏は、日本に拠点を置くM&Aアドバイザリー機関や会社役員育成機構を運営し、国会議員の方々や金融庁に対してコーポレートガバナンス・コードの提案を行った後、助言を行った。「優れたコーポレートガバナンスは業界再編やスピンオフを促し、国内においても海外に対しても非主力事業や非中核部門の売上げを促進します。それにより、国内でより多くのM&Aの機会が生まれます」。

ポナゼッキ氏によると、注目分野となるのはサービス業界や金融サービス、ヘルスケア (医療機器や医薬品、再生医療を含む)、観光業、そして情報通信技術、サイバーセキュリティ、インターネット・エコノミーに関連した産業だという。

「日本にはポジティブなエネルギーが溢れています」とポナゼッキ氏は語る。「日本の国内経済が順調に成長すれば、海外の商品やサービスに対する需要が上昇し、日本における投資機会の増加に寄与すると共に、海外における事業の拡大や雇用機会の創出につながる好循環が生まれるでしょう」。