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Highlighting JAPAN

外国人を歓迎する街

国家戦略特区として「グローバル創業・雇用創出特区」に指定された福岡市。新たな施策の一つとして、外国人起業家とその家族が快適に暮らせる都市づくりを掲げ、さまざまな生活の場での細やかなサポートを積極的に進めている。

アジア大陸に近く、古くから国際的な商業都市として大陸との交流によって発展を遂げてきた福岡市は、少子高齢化、人口減少が進む日本において例外的に人口が伸び続けている。大学が多く、若者人口比が高いことも特徴だ。

その理由はアクセスの利便性や充実した生活環境が挙げられる。福岡国際空港から都市部までは約10分と国内随一の好アクセス。都市の中心部から海や山への距離が近く、レジャー、食、カルチャーといった生活を豊かにする要素が充実している。英国MONOCLE誌でも「世界で最も住みやすい都市ランキング」の12位(2015年)に選ばれた。

そんな福岡市が目指しているのが「グローバル創業都市」。海外からも優秀な人材・企業を呼びこむことで、新しい価値と世界で通用するソリューションを生み出し、日本のマーケットを変革するため、国家戦略特区を活用した取り組みを行っているのだ。

外国人起業家がサポートを受けられる具体的な創業支援としては「スタートアップカフェ」と「スタートアップビザ」が挙げられる。スタートアップカフェは市内の書店内に設けられたシェアスペースで、外国語対応が可能なコンシェルジュが常駐して起業に関する無料相談を受け付けている。スタートアップビザは創業計画の審査を要件に、「経営・管理」の在留資格基準を緩和するものだ。また、 国家戦略特区における創業企業に対する法人税の軽減措置「スタートアップ法人減税」も新たに創設される見通しとなっている。

さらに、外国人が訪れやすい環境整備にも注力している。外国人起業家が福岡市に移住した場合、その家族にも快適な生活環境が提供できるよう、福岡市では医療、教育、また日常の生活全般において言語や文化に慣れていない外国人が不安を感じず生活できるような支援を行っている。地下鉄は券売機や音声案内などが英語、中国語、韓国語に対応し、国際的な展示会や学会も年間を通し数多く開催されている。

市外から転入する外国人に無料配布される多言語対応のウェルカムキットには、生活便利帳や防災ハンドブック、医療サポートセンター、日本語教室、インターナショナルスクールの資料など、子供がいる外国人家族に必要な情報も網羅されている。公立の小・中・特別支援学校では、市内23人の担当教員と、派遣支援員が、すべての対象児童生徒に日本語指導のサポートを行っている。また、生徒の保護者が三者面談や学校行事で困ることのないよう、必要に応じで語学ボランティアが派遣されるといった家族全体への細やかな配慮が徹底されている。

また、「ふくおか医療通訳サービス」は、医療機関からの依頼があれば医師・患者・通訳の三者間にて電話での言語サービス、もしくは医療通訳ボランティアの派遣を行っており、外国人からの問い合わせに対して適切な医療機関を案内する電話サービスとともに、外国人が安心して医療を受けるために活用されている。

「福岡市は1987年からアジアに注目した国際都市化への取り組みを行ってきました。日本語がわからない外国人とその家族みんなに優しいサポートとはどのようなものなのかと具体的に考え実現してきたことが、現在の国際的で活力にあふれる福岡市を作っていると思います」と福岡市総務企画局の高木陽介氏はいう。

高木氏の主張には証拠がある。福岡市は25年前には9千人だった外国人数が、現在は2万9千人にまで増加しているのだ。立地の優位性に加え、外国人でも起業しやすく住みやすい環境が整っているこの街には、今後ますます世界中からイノベイティブな人々が集まってくるであろう。