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Highlighting JAPAN

海外が求めるオタクカルチャーとは

Tokyo Otaku Mode創業者CEO 亀井智英氏インタビュー


日本のポップカルチャーを世界へ発信するTokyo Otaku Mode(TOM)。Facebookページの海外ファン数は1800万以上に上り、ECサイトのTokyo Otaku Mode Premium Shopではアニメキャラクターのフィギュアやぬいぐるみなどに海外からの注文が殺到している。

近年、海外から熱い注目を浴びる日本のサブカルチャーやオタク文化の魅力について、TOM創業者CEO の亀井智英氏に話をうかがった。

日本のサブカルチャーにはどのような特徴や傾向がありますか。

日本が島国でありあまり外圧を受けなかったことで、独自の文化が育つ土壌があった。例えばアニメは興行規模では欧米のほうが大きいですが、米国のヒーローは初めから圧倒的に強くたくましいのに対し、日本のヒーローは弱い者が苦悩してやがて強くなる成長譚としての要素が強く、そこに海外のファンから共感が寄せられています。いまハリウッドなどで活躍するクリエイターには、こういった深い物語性を備えた日本のコンテンツのファンが多く、作品にも反映されています。

アニメや漫画に限らず、食や建築、伝統工芸、新幹線などの先端技術にも海外ニーズがあります。戦災や天災で古いものを失うたびに新しい技術や発想を必要とした日本ならではの地理的・歴史的背景が、現在の独自性へと発展を導いたのではないでしょうか。

海外の人々からはどのようなコンテンツが求められていますか。また、それは世界にどのような影響を与えているのでしょうか。

日本のアニメや漫画は、海外のエキスポで数万人以上の集客があるほど需要が高い。一方で、ファッションやお弁当、アートなど潜在的な文化への関心の高さも感じます。例えば、TOMのECサイトでは日本人の間ではあまり知られていなかった、巻くと寿司の形になる靴下「寿司ソックス」が飛ぶように売れました。日本では発信に対して消極的になっている春画も、フランスをはじめとする欧州ではアートとしての爆発的な人気を博しています。日本人が意外に思うような場所で外国人観光客が大喜びで写真を撮っているのを見ると、「外国人から見た日本」に面白さを再発見することができます。

オタクという言葉は、かつての「アニメや漫画の内向きなマニア」という、否定的な意味だった時代を経て、いまや女子高生が「私、化粧オタクだから」などと日常会話で口にするほど、男女問わず自己表現のスタイルの一つになりました。漫画、アニメ、ゲームにファッション、音楽も巻き込んで「日本のかっこよくて面白い文化そのもの」と広義に捉えられ、かつ肯定的に再定義されつつあります。海外のクリエイターに日本のコンテンツファンが多いと話したように、オタク文化は感度の高い人々に好まれ、ライフスタイルへと浸透しています。

今後はどのような成長や展開が見込まれますか。
インターネットの普及で、現代は違法アップロードや海賊版などの著作権の問題も多く、ニーズのある場所を正確に捉えて正規のコンテンツや商品を積極的に発信する必要があります。

一方で、今後は日本に期待されるオリジナルな姿をなるべく保ちつつ、海外のニーズに合わせて修正する工夫も必要です。例えば訪日客に人気がある食も、言語の問題や、味付けや食材などの文化的な齟齬が生じているケースも多い。外国人にも様々な文化的背景やニーズがあることを日本側が学び、需要に応じたサービスを提供する態勢を作ることで、ビジネスチャンスにつなげることができるでしょう。