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Highlighting JAPAN

 

 

道の駅のイベントから地域全体へ、おもてなしが広がる

日本には1,145の「道の駅」がある(2018年4月時点)。その中で年間100回以上もイベントを行って人気がある「道の駅日光 日光街道ニコニコ本陣」の施設責任者で、駅長の加藤加代子さんに同施設の魅力を聞いた。

道の駅は24時間無料で利用できる駐車場やトイレを備え、周辺の交通情報や観光情報を提供する施設で、特産物の販売店、飲食店なども置かれ、地域のにぎわいを生み出す役割も期待されている。その中でも道の駅日光 日光街道ニコニコ本陣は、西に向かえば日光東照宮や中禅寺湖、北には鬼怒川温泉と観光地への道が交差する今市地区(日光市)の市街地にあり、休日は朝から車がひっきりなしに訪れるほどの人気となっている。

同施設の年間来場者数は100万人近くで、地域活性化の目的もあり、作品発表会、カラオケ大会、趣味の教室など地域の人々にも利用される。今では休憩目的より、特産品・土産物の購入、地元ならではの食事、イベントへの参加などを楽しみに訪れる人が圧倒的に多いと加藤さんは言う。

「近隣で採れる新鮮な野菜や果物、近くにある造り酒屋の日本酒、市内各地の土産物などを販売し、地元産そば粉で打たれたそば、地元食材を使ったジェラート、日光の山奥で凍った天然氷で作るかき氷も食べられます。このように日光市内のおいしいものを集めて観光の参考にしてもらうほか、施設内で作ったできたてのお菓子など、ここでしか味わえない特別な商品も提供しています」

また敷地内には日本を代表する演歌の作曲家である船村徹さんの記念館も建てられ、これが目当てという観光客も非常に多いそうだ。

「記念館は展示を見るだけでなく、自分たちがカラオケで歌ったり、その様子をビデオ撮影してDVDにして持ち帰ったりする有料サービスも人気で、自前のステージ衣装を持ち込む方までいます。このように当施設は物を売るだけでなく、体験して楽しむ企画も重視しています」

その代表例が年間100回以上開催されるイベントで、施設開設当時は施設主催が多かったが、最近は半分以上が地域の個人・団体主催になり、内容も幅広いと加藤さんは言う。

「施設主催では毎月第4土・日曜日に、地元の有名店の料理や県内の特産品を試食・販売するイベントのほか、船村先生にちなんで音楽に関係した企画を数多く用意しています。これに地域の皆さんの主催イベント、例えば地元産のビール・日本酒や伝統料理を楽しむ会、伝統の『屋台まつり』と一緒に行う催し、若者に人気の歌手が選んだ映画の無料上映会、380席を持つ多目的ホールでの展示会や講演会など様々なイベントが加わります。こうして多様なエンターテイメントを提供するのは、観光地はもちろん、道の駅でも旅の思い出をたくさん持ち帰ってもらい、『日光はいつ行っても楽しい』と感じて、何度も訪れてほしいからです」

さらに来場者に施設の外にも興味を持ってもらうため、施設案内のパンフレットに地元食材や歴史をテーマに周囲を案内するプランも掲載するなど、情報提供に努めている。また施設の完成前から地元の若者たちが団体を作り、市街地の飲食店や見所を文章やイラストで紹介したガイドマップを制作して配布している。加えて今市地区をよく知らない人でも気軽に店に入り、食べ歩き・飲み歩きができるイベントを定期的に開催するなど、「町を楽しむ」という新たなエンターテイメントを提供している。

「当施設への来場者が増えたことで、地域の皆さんも今市地区の魅力を再認識し、それを活用して多くの人をもてなしたいという気持ちが強くなったと感じています」

有名な観光地はもう訪れたという観光客にも、今市地区で住民と一緒に食や文化を楽しんでもらうことで、日光の新たな魅力を伝えていけるだろう。