Home > Highlighting JAPAN > Highlighting Japan December 2018 >Policy-Related News

Highlighting JAPAN

 

 

忘れないで、日本の出入国時の「動物検疫」

海外では口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザなど「越境性動物疾病」が継続的に発生している。日本の動物検疫はこれらの病原体を日本に持ち込ませない、併せて、日本から海外へ安全な肉製品を持ち出すための体制を設け注意喚起をしている。

日本は島国であり、元々防疫は行いやすい上、OIE(国際獣疫事務局)からは5段階評価で5の評価を受けるなど、世界でも高レベルの防疫体制を敷く国である。事実、1958年以来狂犬病が発生していない世界でも数少ない清浄国であることがそれを裏付けている。

しかし、農林水産省動物検疫所の伊藤和夫所長はこう警鐘を鳴らす。「今年、海外特に近隣国で口蹄疫、アフリカ豚コレラが発生していることから、警戒を強めています。」

そこで動物検疫所では徹底した防疫体制を築いている。伊藤所長は「現在、お土産や個人消費用であっても、口蹄疫、アフリカ豚コレラ、鳥インフルエンザなど特定の動物疾病が発生している国からの畜産物の輸入は禁止され、清浄な国からでも輸出国の政府機関が発行する日本向け検査証明書のない肉、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの肉製品は持ち込むことができません。許可なく持ち込んだ場合は処罰の対象になる場合があります。そこで主要空港等に検疫探知犬29頭を配置し、2017年には43,968件の持ち込み禁止畜産物を摘発しました」と話す。

併せて、注意喚起の多言語ポスター掲示やパンフレット配布、機内アナウンス、入国者への口頭質問、国際空海港66か所以上で靴底消毒用マット設置するなど様々な対策も並行している。加えてホームページやYouTubeなどの多言語案内、旅行者向けスマホアプリへの案内の掲載などの広報活動や、海外の航空会社の出国カウンターでの注意喚起も行っている。

さらに、国だけでなく都道府県との連携も進め、より厳重な防疫を行っている。「越境性動物疾病発生地域からの航空便を対象にした検疫探知犬の検査や、クルーズ船検査の強化も実施しています」と伊藤所長は話す。

それでも伊藤所長は「2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、今後、日本を訪れる外国人はさらに増加するでしょう。また、経済のグローバル化、産業構造の変化に伴い、家畜の病気の病原菌の侵入経路や機会は増えていくだけに、我々は一層厳格に水際での防疫に臨む構えです。これから訪日される方で、肉製品を持ち込みたい、ペットを連れて来日したい、出国直前に自国で家畜との接触があった、といった場合、必ず事前に日本の空海港にある動物検疫所に御相談ください。特に犬、猫は狂犬病予防の点から、入国7か月前からマイクロチップ装備や予防接種、抗体検査、180日間以上の待機期間を経て証明書を取得する必要があります。こうした条件を満たしていない場合、最長180日間の係留検査が必要になる場合がありますので注意が必要です」と強調する。

同時に、日本を出国する旅行客に対しての取組も行われている。伊藤所長は「羽田空港や中部空港などのお土産販売店では検疫済のシンガポール向け肉製品販売が始まっていますし、動物検疫カウンターで肉製品持ち出しの手続の確認などもできます。事前の調整や内容確認に時間を要することがありますので、お早めに御相談ください」と付け加えた。