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Highlighting JAPAN

 

 

賓客をもてなしてきた外交の舞台、迎賓館で非日常を愉しむ

外国の賓客をもてなす日本の代表的な施設といえば「迎賓館」である。東京と京都2ヵ所にあり、いずれも通年公開されている。迎賓館の役割や歴史、東京と京都、各館の見所などを紹介する。

迎賓館は世界各国から国公賓が訪れ、歓迎式典や首脳会談、晩餐会の開催、宿泊、先進国首脳会議などの重要な国際会議、署名式などの場として活用されている国の施設である。我が国の外交を担う最前線の舞台であり、東京と京都、2ヵ所に設けられている。

そんな東京と京都の迎賓館が2016年から通年公開され、国内外の観光客の人気を集めている。迎賓館運営課運営係の神郡卓史さんは「政府により我が国の歴史や文化、芸術が集積する公的施設を国内外に公開し、日本が更なる観光先進国となるための呼び水とすることが決定されたため、一般公開を実施しています。通常の参観に加えて、東京の迎賓館赤坂離宮では、夜間ライトアップ、季節の花の植え替え、訪日観光客向け多言語対応のイヤフォンガイド貸出、英語のガイドツアーなども実施しており、国内外のお客様に迎賓館の魅力を具体的に知っていただけるサービスを用意しております」と説明する。

さらに同課同係の課長補佐・武石毅さんは「迎賓館が他の観光施設と違うのは、開館から今に至るまで外国の賓客をもてなし続けている、現役の迎賓施設であることです。来館者には我が国の歴史・芸術文化的側面に加えて、長年にわたって日本外交を支えてきた舞台ならではの臨場感を味わっていただければと思います」と話す。

では、東京と京都各迎賓館の見所を紹介しよう。まずは東京の「迎賓館赤坂離宮」である。元々は1909年に東宮御所(皇太子の居所)として建設され、日本と国際社会の関係が活発になる中、1974年に外国の賓客を接遇する施設として新たな歩みを始めました。2009年には本館、正門、噴水などが明治期以降の建物では初の国宝に指定されている。本館では、和と洋の花と鳥が描かれた30枚の七宝や油彩画が飾られた花鳥の間、かつて舞踏室と呼ばれ、演奏会が行われることもある羽衣の間、日本刀とサーベル、かぶとなど和洋を対比させたレリーフも眼目の彩鸞(さいらん)の間、朝日の間(2019年3月末まで改修中)、正面玄関ホール、2階大ホールなどを参観できる。また、幅125mもある日本唯一のネオ・バロック様式の本館を一望できる前庭、創建時からの噴水と本館の融合が美しい主庭では写真撮影が可能である。さらに日本の家と庭が持つ美を活かし、孟宗竹や京都の白川砂など和の意匠と純日本のおもてなしで接遇する和風別館「游心亭」(事前予約ガイドツアーのみ)も必見である。この別館は、日本建築や庭園を象徴する美しい紅白梅と光が縁側に反射し、ゆらぎを映し出す池によりその美しさを高めている。

一方、京都迎賓館は2005年に開館した接遇施設で、日本建築が継承してきた伝統の粋と美しさを現代の建築技術と融合させる「現代和風」の創造を目指して設計された。広大な池が建物と一体化する庭園、日本画のつづれ織りの織物の壁面装飾や、日本の伝統技能者の技を活用した舞台扉(きり金)が見ものの藤の間、全長12m、漆の一枚仕上げの座卓が印象的な桐の間のほか、樹齢700年のけやきの一枚板で賓客を迎える正面玄関、さらに夕映の間、聚楽の間などがある。京都迎賓館の建設には11種類の伝統技能者の技が活用され、館内に配置の調度品には14種類の伝統技能が活用されている。多数の寺社仏閣が集まり、日本の歴史、文化を象徴する都市・京都において、ここもまた見逃せない施設である。