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  • 「民族共生象徴空間」(ウポポイ)。本画像はイメージです。
  • 国立アイヌ民族博物館
  • 国立アイヌ民族博物館では、狩猟の道具、伝統工芸品など約800点が展示されている。
  • 体験交流ホールで上演されるアイヌの伝統芸能
  • 国立民族共生公園に再現されている伝統的なアイヌのチセ(家屋)群

December 2020

民族共生の地

「民族共生象徴空間」(ウポポイ)。本画像はイメージです。

2020年7月、北海道白老(しらおい)町にアイヌ文化の復興・発展のための拠点となるナショナルセンターとして「民族共生象徴空間」(愛称:ウポポイ)がオープンした。

国立アイヌ民族博物館

アイヌ民族は、北海道を主とする日本列島北部周辺の先住民族であり、固有の文化を発展させてきた。独自の言語である「アイヌ語」を始め、自然界のありとあらゆるものに魂が宿るとされる「宗教観」、様々な行事の際に披露される「古式舞踊」、独特の「文様」を施した刺繍、木彫りの工芸など、豊かな文化を持っている。

アイヌ民族(「アイヌ」はアイヌ語で「人間」の意味)の歴史について、国立アイヌ民族博物館のホームページでは「アイヌ民族の歴史の始まりは、北海道に人類がやってきた3万年前頃にまで遡ることができます。7世紀頃から、これまでの狩猟採集や漁撈(ぎょろう)に雑穀農耕が加わり、海を越える交易を盛んに行って、特色ある文化が形成されていきます(※ホームページ記載のままとする)」とされている。

しかし17世紀以降、アイヌの社会は、和人の経済社会に取り込まれていった。

19世紀頃までのアイヌ民族は、北海道や周辺の島々、東北地方の北部など広く住んでいた。現在でも多くの人々が北海道に居住しているが、北海道を離れ、関東圏などの日本国内、そして国外に居住している人もいる。

国立アイヌ民族博物館では、狩猟の道具、伝統工芸品など約800点が展示されている。

しかし、近年、アイヌ文化は、伝承者の減少、アイヌ語や伝統工芸など存立の危機にあることや、未だなおアイヌの歴史や文化等について日本国内においても十分な理解が得られていないといった状況に直面していることから、その振興や普及啓発が課題となっている。

このような背景を踏まえ、2009年7月、政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」において、アイヌの人々が先住民族であるとの認識に基づきアイヌ政策の要として提言されたのが、民族共生の象徴となる空間の整備である。アイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味するウポポイは、貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化を復興・発展させる拠点として、また、将来に向けて先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として位置づけられた。

2020年7月にオープンしたウポポイは、北海道南西部、太平洋に面した白老町(しらおいちょう)にある。特急電車に乗ると新千歳空港から約40分、札幌からは約1時間の白老町は、アイヌ民族によってその基礎が築かれた町で、美しい大自然の中に、アイヌの伝統と文化を伝える施設が数多くある。

体験交流ホールで上演されるアイヌの伝統芸能

ウポポイの施設内にある「国立アイヌ民族博物館」では、約1万点の収蔵物の中から、6つの大テーマに沿った約700点が展示されている。例えば、「私たちのことば」のエリアでは、アイヌ語や物語、地名や現在の取組を紹介している。アイヌ語での語りを聞くことができるコーナーや、アイヌ語の仕組みや発音についてゲームを通して知ることができるコンテンツ、地名や会話についての映像がある。また、「私たちの世界」のエリアでは、アイヌ文化の中で重要な位置を占める精神文化について紹介している。ありとあらゆるものに宿るラマッ(霊魂)の世界観が広がるアイヌの精神世界についてグラフィックを交えて説明されている。

フィールドミュージアム「国立民族共生公園」では、舞踊、食、伝統工芸品などを通じて、アイヌ文化を感じることができる。例えば、「ウエカリ チセ(体験交流ホール)」では、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「アイヌ古式舞踊」やムックリ(口琴)の楽器演奏など、アイヌの伝統芸能を上演している。また、「ヤイハノッカㇻ チセ(体験学習館)」では、アイヌ料理の調理や試食、伝統楽器ムックリの演奏体験などを楽しむことができる。

国立民族共生公園に再現されている伝統的なアイヌのチセ(家屋)群

「木彫や刺繍、調理などの体験はお客様から大変ご好評をいただいています。新型コロナ感染症対策を行いつつ、多くの方々にアイヌ文化を体験する機会をご提供していきたいです」と担当者は話す。

注記: 本記事はウポポイの了解に基づき、ウポポイの公表資料に基づく記載があります。