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  • 横手市増田まんが美術館
  • 「釣りキチ三平の里」体験学習館
  • 館内で展示されている漫画
  • 横手の雪まつりの「かまくら」
  • 美術館の大型タッチパネルでは、スキャンされた原画を見ることができる。
  • 釣りキチ三平

December 2020

豊かな自然と伝統に育まれたマンガの町

館内で展示されている漫画

秋田県横手市は、伝統行事の「かまくら」や、横手やきそばで有名であるが、近年は、マンガをテーマにした先駆的な美術館も、注目を集めている。

横手市増田まんが美術館

秋田県横手市は、山々に囲まれた盆地にあり、豊かな自然と共に、全国有数の豪雪地帯ならではの伝統文化が受け継がれている町でもある。中でも、450年以上の歴史を持つ伝統行事「かまくら」は有名である。雪を固めて作った小さな家のような「かまくら」に水神様を祀り、その中で子供たちが餅を焼いて食べたり、甘酒を飲んだりしながら遊ぶ行事で、2月中旬に開催される「雪まつり」時には毎年、市内に多くの大小の「かまくら」が作られ、多くの観光客が訪れている。祭りでは、「かまくら」に入って、餅や甘酒を楽しむことができる。雪まつりを訪れることができなければ、横手市中心街にある「横手市ふれあいセンターかまくら館」では、約マイナス10℃の部屋に本物の雪で作った「かまくら」が保存されており、年間を通じて見学できる。

横手の雪まつりの「かまくら」

横手市増田町は、江戸時代以降、米、葉タバコ、生糸などの商品が集積する商業地として発展してきた歴史を持つ。町には19世紀中頃から20世紀中頃に作られた住居や蔵が建つ町並みが残された地区があり、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

その増田町で1995年に開館したのが横手市増田まんが美術館である。コロナ感染症の影響が及ぶ前の2019年までは、国内外から年10万人以上訪れていた美術館は、文化観光拠点施設として文化庁から認定され、地域の文化観光振興の中核も担っている。

美術館がオープンしたのは、2020年11月に亡くなるまで、『釣りキチ三平』など数々の作品を生み出してきた人気漫画家で、同市出身の矢口高雄氏の業績を記念しようとしたことがきっかけであった。『釣りキチ三平』は三平という名の少年が日本や世界で釣りに挑戦する物語で、1973年から1983年までの約10年間、少年週刊漫画雑誌に連載され、日本中に釣りブームを巻き起こした。

美術館の大型タッチパネルでは、スキャンされた原画を見ることができる。

「当初、地元出身である矢口さんの作品を展示する記念館にする予定だったのですが、ご本人から、日本の漫画文化の素晴らしさを広く世界に発信してはどうかという提案があり、現在の美術館を目指すことになったのです」と横手市まちづくり推進部の柴田敏範さんは言う。

美術館は、自由に読み放題の漫画本が約25,000冊あるだけでなく、膨大な数の漫画の原画を収蔵している。2年がかりの改修工事を経て、2019年5月にリニューアルオープンした美術館は現在、矢口氏のほか、国内およびアジア諸国の漫画作家も含め181名の原画を40万点以上収蔵している。

美術館の1階から2階へと延びる緩やかなスロープの壁と2階の展示室では、こうした収蔵品の中から定期的に入れ替えを行いながら、常時74名の作家の原画が各3~4点ずつ展示されている。

釣りキチ三平

「かつて、マンガの原画というのは本や雑誌に印刷する時の版下であり、印刷が終われば用済みとなってしまうものです。ただし、間近で見ると誰もが、そのリアルな筆致や迫力から芸術作品と同じように感動します。これらをかつての浮世絵やその版木のように散逸させることなく、後世に伝えていくのが我々の重要な役割なのです」と柴田さんは言う。

美術館では収蔵しているマンガの原画のデジタルアーカイブ化にも力を入れていて、館内の大型タッチパネルを利用すれば誰もが自由に閲覧できる。また、ガラス張りの収蔵庫で行う保存作業も見学可能である。

「釣りキチ三平の里」体験学習館

矢口氏はマンガだけでなく、横手の美しい自然風景の絵を描いており、ファンにとってはそうした作品を実際に眺められるのも、楽しみの一つである。美術館から車で10分ほどの場所にある、矢口氏の作品をもとにしたレクリエーション施設「釣りキチ三平の里」では、昔と変わらない美しい自然の中で、夏には釣りはもとより、自然散策、バーベキュー、冬にはスキーなどのアクティビティを行える。

横手市は農業が盛んな地で、米を始めとして、リンゴ、ブドウ 、サクランボ、スイカなどの様々な果物が栽培されている。そして、豚肉やキャベツを絡めたやきそばの上に目玉焼きが乗っていて、付け合わせが福神漬なのが特徴の横手やきそばが有名で、地元の人々に愛されている食べ物として全国的に知られる。横手の旅では、マンガと自然、そして地元ならではの食が外せない。