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  • 7つの蔵元が造る壱岐焼酎
  • 壱岐焼酎のこうじ室
  • 壱岐焼酎用の大麦畑
  • 壱岐市が定めた7月1日の「壱岐焼酎の日」に開催されたイベントで乾杯する人々
  • 壱岐の鍋料理「ひきとおし」
  • 壱岐島の天然の良港「勝本港」

February 2021

麦焼酎が名物の島

7つの蔵元が造る壱岐焼酎

長崎県の壱岐島(いきのしま)では、約500年前から焼酎が造られている。ミネラルが豊富で清廉な壱岐の地下水を用いて、米こうじと大麦から造られる。

壱岐焼酎のこうじ室

九州北部沿岸の日本海に浮かぶ壱岐島は、南北約17キロメートル、東西約15キロメートルの大きさの、豊かな自然に恵まれた島である。また、弥生時代(概ね紀元前10世紀頃〜紀元後3世紀の間)に海上交易の拠点であった。壱岐島は長崎県の一部であるが、隣県の福岡県の博多港から高速船で1時間程かけて行くのが早い。

この壱岐島の特産の一つが壱岐焼酎である。壱岐島は平坦な地形で、長崎県で2番目に広い肥沃な平野があり、古くから米と大麦などの穀物が盛んに栽培されていた。焼酎造りは、その米と大麦を原料に、16世紀に始まった。当時、島民は大麦を主食としており、その余った大麦を使って造った自家製の焼酎が現在の壱岐焼酎の原型となった。

壱岐焼酎用の大麦畑

壱岐焼酎は、記録が残るものとしては、日本で麦を原料として造られた最初の焼酎と推定されており、壱岐は「麦焼酎発祥の地」とされている。蒸溜酒として、熊本県の「球磨(くま)」、鹿児島県の「薩摩」などとともに、地理的表示(GI)「壱岐」の指定を日本政府(国税庁)から受けている。

現在、島内では7つの蔵元が伝統の製法を受け継ぎ、壱岐焼酎を生産している。他の地域の麦焼酎は、大麦こうじと大麦が原料であるが、壱岐焼酎は、米こうじと大麦を原料としているのが大きな特徴となっている。また、島で汲(く)み上げられるミネラル豊富な地下水も欠かせない原料である。

壱岐市が定めた7月1日の「壱岐焼酎の日」に開催されたイベントで乾杯する人々

壱岐酒造協同組合の山内昭人さんは「壱岐焼酎は伝統的に、原料の比率が米こうじ3分の1、大麦3分の2となっています。この比率で熟成させると、大麦由来のさわやかな香りと米こうじの甘く厚みのある味わいとともに、原料の水に由来するキレの良い飲み口が特徴の壱岐焼酎が生まれます」と話す。

各蔵元で基本的な製造方法は同じであるが、蒸溜機を改良したり、焼酎を熟成させる貯蔵容器や熟成期間が、それぞれで異なるため、蔵元によって独自の味や香りを持った焼酎ができ上がる。例えば、貯蔵容器は素焼きの甕(かめ)、樫(かし)の樽、あるいは、金属製のタンクといった種類があって、蔵元ごとに使い分けている。また、熟成期間も、1年程のものから20年以上のものまであるので、7つの蔵元の熟成期間が同じ年数の焼酎を飲み比べるといった楽しみもある。

壱岐の鍋料理「ひきとおし」

地元の人は壱岐焼酎の麦の香りと米こうじの甘みをそのまま堪能できるストレートで飲むのを好むが、ロック、水割り、お湯割り、ジュースで割ったカクテルなどもお勧めである。

そして、こうした壱岐焼酎の味わいを更に引き立てるのが、地元・壱岐島の食べ物である。壱岐島の名産は、ウニ、アワビ、イカといった海産物、そして壱岐牛である。島で生まれ、育てられる壱岐牛は、その柔らなか肉質が高く評価されているが、年間の出荷頭数が900頭ほどと非常に少ないため、島外ではあまり食べることが出来ない牛である。島内の飲食店や宿泊施設では、こうした地元産の食材を使ったおいしい料理を楽しむことができる。

壱岐島の天然の良港「勝本港」

山内さんは「鶏肉、豆腐、そうめん、野菜などの具材を甘辛く煮込んだ鍋料理『ひきとおし』という郷土料理を始め、新鮮な海の幸、壱岐牛、通常の豆腐に比べ、やや固めの『壱州(いしゅう)豆腐』などの食べ物は、壱岐焼酎にピッタリです」と話す。

豊かな自然に育まれ、500年にわたって島の人々に愛されてきた壱岐焼酎は、壱岐島の魅力をより味わい深いものにしている。