Skip to Content

April 2022

Language

メルヘンチックな花畑

  • カタクリとエゾエンゴサクの中に姿をあらわしたエゾリス
  • 浦臼神社の境内で咲くカタクリとエゾエンゴサク
  • カタクリ
  • 主に北海道に生育しているエゾエンゴサク
  • アカゲラとエゾエンゴサク
カタクリとエゾエンゴサクの中に姿をあらわしたエゾリス

4月下旬、日本でも最北の地、北海道で春を告げるカタクリとエゾエンゴサクが花を咲かせる。その群生地がある浦臼町(うらうすちょう)は、花に誘われて野鳥や野生動物が姿を現し、メルヘンチックな世界が出現する。

浦臼神社の境内で咲くカタクリとエゾエンゴサク

毎年4月下旬から5月にかけて、北海道浦臼町の浦臼神社の境内に、ユリ科のカタクリの薄紫の可憐な花が咲き乱れる。そして、愛らしい青い花をつけるケシ科のエゾエンゴサクの花もカタクリと一緒に開き、広い境内は一面、メルヘンチックな色合いの花畑となる。

浦臼町(人口約1.700人。2022年2月現在)は、北海道中西部に位置し、日本一のワイン用ブドウ作付面積を誇るワイナリーがあることでも知られる。浦臼町役場の担当者は春の花について、「浦臼町は北海道でも雪が多い地域で、雪が解け始めると姿を見せる花々は、春の訪れを告げ、地域の人たちも心待ちにしています」という。

カタクリ

カタクリは広く北東アジアから日本のほぼ全域に見られるが、一方のエゾエンゴサクは主に北海道に群生する。いずれも多年草で、地上に芽を出し、開花し葉が枯れた後は、地中で茎として次の春を待つ。地上に姿を見せるのがごく短い期間であることから「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」とも呼ばれる。

薄紫、青の花々に、様々な草の芽吹きの新鮮な緑色で包まれる浦臼神社の春は、白一色の雪景色の冬とうって変わってにぎやかになる。花たちに誘われるように、アカゲラやヤマガラ、シジュウカラなどの野鳥がさえずり、リスやキツネなどの野生動物が姿を現し、短い春を満喫する。ここにしかない、メルヘンチックな春を写真に収めようと、全国から多くの写真愛好家が訪れる。

主に北海道に生育しているエゾエンゴサク

「運が良ければエゾリスの姿も見られますよ」と町の担当者はいう。

エゾリスは、朝の早い時間帯に出会えることが多く、数分程度で森へ帰ることもあるが、一時間ほど花畑で餌を探しては食べることもあるという。15センチメートルほどのカタクリの花の間を、体長25センチメートル余りのエゾリスが歩き回る姿が愛くるしい。

アカゲラとエゾエンゴサク

エゾエンゴサクはカタクリより少し早く見頃を迎えるため、二つの花々が咲き誇る情景を見られるのは、ほんの1週間ほど。二つの「春の妖精」がともに出会える稀有な機会である。