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April 2022

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樹齢推定1200年と伝えられるヤマフジ

  • 上空から眺めた才ノ神の藤
  • 幹や枝が絡み合う才ノ神の藤
  • 藤棚から垂れ下がる紫色の藤の花房
  • 藤の古樹とその下に建てられた祠(ほこら)
上空から眺めた才ノ神の藤

京都府福知山市(ふくちやまし)に自生する「才ノ神(さいのかみ)の藤」と呼ばれるヤマフジは、樹齢推定1200年余と伝えられる。4月下旬から5月上旬、藤棚一面に紫色の花が垂れ下がる様子は、優雅さと気品がある。

幹や枝が絡み合う才ノ神の藤

たくさんの紫色の花房が大きな棚から垂れ下がり甘い香りがただよう。その花の天井の下に人々が集い、古代から日本人が「藤波」と表現してきた、かすかな風が吹いて、優雅な紫色の花房がゆらぐ様を堪能する。京都府の福知山市に自生する「才ノ神の藤」と呼ばれるヤマフジの下の春の光景だ。

「才ノ神の藤」は推定樹齢1200年。京都府の天然記念物に指定されている。高さ3メートルほど、幹周り180センチメートルの株を始めとする大小6株の幹が絡み合い、約30メートル四方の藤棚に枝を伸ばしている。

藤棚から垂れ下がる紫色の藤の花房

ヤマフジは日本の固有種で、日本のほぼ西側半分の山野に自生するマメ科の蔓性の花木でフジの一種だ。ヤマフジの蔓は左巻きで花房の一般的な長さは10〜20センチメートルほどだが、才ノ神の藤の花房は、30〜40センチメートルにもなるという。その花房は、例年4月下旬から5月上旬に見頃を迎える。

このヤマフジを管理する福知山市役所大江支所の担当者は「藤棚の高さが低く作られているので、手を伸ばせば、花房に触れることもできます。大きな藤棚一面に花が垂れ下がる様はとても見事で、癒されます」と話す。

藤の古樹とその下に建てられた祠(ほこら)

京都で王朝文化が栄えた平安時代(8世紀末~12世紀末)の中頃に著された随想「枕草子」*には、「あてなるもの(高貴なるもの)」の一つとしてフジが例示され、貴族たちに愛でられた。また、「枕草子」では「フジの花は、花の房が長くしなやかに垂れ下がり、濃い色で咲いているものが、とても素晴らしい」とあり、才ノ神の藤の花房は、そんな当時の人々が理想とした姿が想起されるという。

「以前、小学生が作文に『才ノ神の藤は、私たちの心の花です』と書いたと聞いています。才ノ神の藤は、1200年余りの長い歴史とともに、日本人の花に寄せる心を次世代にも受け継いでいく役割を担っていると思います」と担当者は言う。

才ノ神の藤は、1200年余の樹齢を保ちつつ、高貴な花として、日本人の花に寄せる心も育んでいる。

* 宮廷女官、作家として活躍した清少納言(10世紀後半に生まれ、11世紀前半半ばに没)が記した随筆