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April 2022

海を臨むツツジの絨毯

  • 長崎県佐世保市の長串山公園のツツジ
  • 山頂の展望所から北九十九島を眺む夕時
  • 夜空と長串山のツツジ
  • 石岳山頂に位置する展望台からの佐世保市の九十九島方面の風景(ハリウッド映画「ラスト サムライ」の冒頭シーンの撮影場所)
長崎県佐世保市の長串山公園のツツジ

日本列島の主要四島のうち、もっとも南にある九州の北西部の長串山(なぐしやま)公園は、海を臨むツツジの花の絨毯(じゅうたん)によって春は絶景スポットとなる。

山頂の展望所から北九十九島を眺む夕時

4月から6月にかけて赤やピンク、白の花をつけるツツジは、日本では古くから庭木など園芸用に品種改良が行われてきた。また、街路や公園にも植栽されるなど、日本では、もっとも身近な植物の一つである。全国各地にツツジの名所が存在するが、中でも、咲き誇る花の絨毯の先に海が見える雄大な景色で知られるのが、長崎県佐世保市(させぼし)の長串山公園だ。

長串山公園は、長崎県佐世保市の標高234メートルの長串山の山頂付近に位置する。1969年から、地域の人たちによってツツジの植栽が始まった。その数は、実に約10万本におよび、海を臨む公園の南斜面には、4月中旬から5月初旬にかけて、日本原産種のクルメツツジやヒラドツツジが赤やピンクの花をつけ、あたかも絨毯を敷き詰めたかのような景観となる。

「中腹の展望所から山側を見上げると一面のツツジに圧倒され、反対方向に向くと海とそこに点在する島の風景が広がり、そのコントラストがとてもダイナミックです」と、長串山ビジターセンターの担当者は言う。

夜空と長串山のツツジ

長串山公園を含む周辺の海岸線は、「島々の王国」とも呼ばれる西海国立公園に指定されている。公園から東を臨めば、眼下にはリアス式海岸(複雑に入り組んだ形の海岸)と多くの島々からなる九十九島(くじゅうくしま)が広がり、対岸にはひときわ大きい平戸島(ヒラドツツジの名前の由来となった島)が見える。九十九島は大小208の島々からなり、そのほぼ北半分にあたる110の島々「北九十九島*」が一望できる。

「ツツジと海に浮かぶ北九十九島の眺めを一緒に楽しむなら、山頂にもある展望所がオススメです。とくに平戸島に夕日が落ちていく光景は息をのむほど美しく、写真に撮る人も多いですね」と担当者は言う。赤いツツジの花言葉は「恋の喜び」、恋人たちに人気のスポットにもなっているようだ。

佐世保市は、ハリウッド映画「ラスト サムライ」の冒頭シーンの撮影が行われた石岳山(いしだけやま。標高191メートル)がある。また、佐世保バーガーやレモンステーキなどの名物料理、近海の豊富な種類の魚介類を堪能できるなど、魅力にあふれた港町だ。春の佐世保は、そんな魅力に、ツツジの花が一層いろどりを添える季節となる。

石岳山頂に位置する展望台からの佐世保市の九十九島方面の風景(ハリウッド映画「ラスト サムライ」の冒頭シーンの撮影場所)

* 九十九島の中で佐世保市の長串山のある鹿町町と同市小佐々町に至る島々を北九十九島という