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May 2022

日英首脳会談及びワーキング・ランチ

  • 日英首脳会談(テタテ)
日英首脳会談(テタテ)

2022年5月5日、英国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、ボリス・ジョンソン英国首相と20分のテタテ(一対一)の会談を含む首脳会談及びワーキング・ランチを行いました。概要は以下のとおりです。

冒頭、岸田総理大臣から、ジョンソン首相と再会できて嬉しい、エリザベス二世女王陛下の在位70周年に祝意を表する旨述べ、両首脳は、日英関係はかつてなく緊密であり一層協力を深化させていくこと、また、ロシアによるウクライナ侵略に対しG7が結束して国際社会を主導し対露制裁やウクライナ支援に尽力していくことで一致しました。

両首脳は、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められないとの認識で一致し、また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け日英が緊密に連携していくことを改めて確認しました。岸田総理大臣が、昨年の英空母打撃群のインド太平洋への派遣や日英共同演習、英艦艇の同地域への恒常的派遣及び北朝鮮籍船舶による「瀬取り」への対処など、日英安全保障・防衛協力の深化と英国のインド太平洋への関与を評価したのに対し、ジョンソン首相は、英国は引き続き同地域にコミットしていく旨述べました。

両首脳は、昨年10月に交渉を開始した日英円滑化協定が今般大枠合意に至ったことを歓迎し、同協定が自衛隊と英国軍の共同運用・演習の円滑化を通じ日英安全保障・防衛協力を更に深化させ、両国が世界の平和と安定に一層寄与することに資するものであることを確認し、今後、早期署名に向けて作業を加速することで一致しました。

両首脳は、将来の戦闘機プログラムに係る日英の協力に関し、同盟国等とも連携しつつ、2022年末までに協力の全体像について合意することで一致しました。

両首脳は、経済安全保障及びエネルギー安全保障の重要性について意見交換を行い、ウクライナ危機により顕在化したリスクも踏まえ、基本的価値を共有する同志国間の連携、国際機関との協調が不可欠であり、二国間及びG7等を通じて連携を強化していくことで一致しました。この観点から、洋上風力、水素等様々な分野で日英企業間の協力が進んでいることを歓迎しました。

両首脳は、気候変動やデジタル等の分野でも協力を強化していくことを確認しました。また、岸田総理大臣から、今朝シティのギルドホールで実施した講演に触れつつ、「新しい資本主義」について説明し、ジョンソン首相から理解を得ました。

両首脳は、英国のTPP11加入手続についても意見交換したほか、日英包括的経済連携協定の着実な履行や日英産業政策対話を通じ、引き続き両国の貿易・投資促進に努めていくことで一致しました。また、岸田総理大臣から、英国の対日投資も歓迎したいと述べたほか、英国やEUで展開する日系企業に不利益が及ばぬよう、北アイルランド議定書に関する英EU間の協議の早期決着を期待する旨述べました。

岸田総理大臣から、英国による日本産食品への放射性物質輸入規制の早期撤廃につき改めて求め、ジョンソン首相から、議会手続きによるが、6月末までに規制は撤廃されるだろうとの説明があり、岸田総理大臣から歓迎の意を示しました。また、会談に際し、岸田総理大臣は持参した福島県産のポップコーンをジョンソン首相に贈呈し、両首脳が2人でポップコーンをほおばる場面もありました。

両首脳は、ロシアのウクライナ侵略は国際秩序全体の根幹を揺るがす事態であるとの認識の下、G7始め国際社会が結束・連携して強力な対露制裁及びウクライナ支援を続けていくことを改めて確認しました。岸田総理大臣から、今般のインドネシア、ベトナム及びタイ訪問などアジア諸国へのアウトリーチに積極的に取り組んでいることを説明し、両首脳は、アジア・アフリカ等への働きかけが重要であることにつき一致しました。

両首脳はアジア情勢についても意見交換し、東シナ海及び南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに加え、急速かつ不透明な形での軍事力の強化及び地域における軍事活動の活発化への強い懸念を共有し、一方的な現状変更の試みや経済的威圧に対し一致して毅然として対応していくことを確認しました。また、4日の弾道ミサイル発射を始めとする核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において引き続き連携していくことを改めて確認しました。

注記: 本記事は、外務省の同意を得て、同省が公表した資料に基づいて作成しています。