Skip to Content

June 2022

日本食のアンバサダー

  • 長野県茅野市で凍み豆腐を持つアンダーソン静香さん(左)とエリー・フォックスさん(右)
  • 二人のEMJアンバサダーであるバニー東京さん(中央)とドニー・キンボールさん(左)とともに東京都内のラーメン店を訪れたアンダーソンさん(右)
長野県茅野市で凍み豆腐を持つアンダーソン静香さん(左)とエリー・フォックスさん(右)

「EAT! MEET! JAPAN アンバサダー」で、カナダ出身のアンダーソン静香(しずか)さんは、動画サイトを中心に、日本食の魅力を海外に発信している。

二人のEMJアンバサダーであるバニー東京さん(中央)とドニー・キンボールさん(左)とともに東京都内のラーメン店を訪れたアンダーソンさん(右)

農林水産省は、海外から日本を訪問する旅行者が、訪日中に様々な食体験を楽しみ、更に帰国後にも日本の食を再体験できるような環境を整備する「食かけるプロジェクト」(EAT! MEET! JAPAN) (https://eatmeetjapan.co) を実施している。プロジェクトの柱の一つが海外向けの情報発信である。ソーシャルメディアを通じて、食べることだけではなく、料理を作る、食材を収穫するといった体験を英語で紹介している。その一翼を担っているのが、4人の「EAT! MEET! JAPAN アンバサダー」(以下、EMJアンバサダー)である。その一人が、カナダのエドモントン出身のアンダーソン静香さんだ。

公式サイト「EAT! MEET! JAPAN」のトップページ
https://eatmeetjapan.co

アンダーソンさんは18歳の時、母の母国である日本で東京の上智大学に入学するために来日。大学在学中、子供向けのテレビ番組のメインキャスターに抜てきされたことをきっかけに芸能活動を開始、それ以来、モデル、俳優、歌手、リポーターとして、テレビ、ラジオ、映画などの様々なメディアで活躍している。特にここ数年は、オンライン動画共有サイトを中心に、2021年に就任したEMJアンバサダーも含め、日本食のレポーターとして活躍の場を広げている。

彼女が紹介するのは、寿司や天ぷらといった典型的な日本料理から、各地の郷土料理まで、実に多種多様である。彼女がレポーターを務める動画チャンネルの一つ「Japan by Food」では、そうした様々な日本料理の特徴や魅力を、的確な表現で、巧みに説明する彼女の真骨頂が発揮されている。そのためか、動画の視聴者からは「早く日本に行って食べたい!」という声が数多く寄せられている。

日本海に面した京都府舞鶴市で特産の岩ガキを見入るアンダーソンさん(左)と玲奈バンビーノさん(右)

「食べた時に何を言うかは事前にあまり考えていません。食べた時に感じたことを、素直に、分かり易く話すことを心掛けています」とアンダーソンさんは話す。「海外の視聴者には、日本食を食べた経験が少ない人も多くいます。そうした人にも馴染みのある食材を例えにして、味や食感を表現したりします」

アンダーソンさんが表現に苦労した食べ物の一つが、「こんにゃく」である。コンニャクという植物の球根を原料とするこんにゃくは、それ自体にあまり味はないが、食感が独特の食べ物である。日本ではおでんや味噌汁などの料理の具材として一般的だが、海外ではほとんど知られていない。そこで、彼女は「ゼリーのようなプルプルとした食感だが、ゼリーより歯応えがある」と表現した。

こんにゃく

特に日本の地方は、そうしたユニークな食材や料理の宝庫である。アンダーソンさんが最近、印象的だったのが「凍(し)み豆腐」である。凍み豆腐は「フリーズドライ」の豆腐のことで、伝統的な凍み豆腐は、厳しい冷え込みが続く冬に野外で冷凍・乾燥させて作る。アンダーソンさんは2022年2月、EMJアンバサダーとして訪れた長野県茅野市(ちのし)で、凍み豆腐作りと凍み豆腐を使った郷土料理を堪能したが、農産物の収穫が少ない冬の間、寒く、乾燥した茅野の気候を生かして作るという人々の知恵に感銘を受けたという。

動画チャンネル「Japan by Food」のトップページ
https://www.youtube.com/c/JapanbyFood

「日本の地方には、長い間受け継がれてきた、野菜、果物、魚介類など、その土地の特産物を使った加工食品や料理が数多くあるので、食に対しての深い愛情を感じます。原材料の一つ一つへのこだわりや昔ながらの丁寧な作り方をしているからこそ、本当に美味しいものがたくさんあります」とアンダーソンさんは話す。

アンダーソンさんが今持っている目標の一つは、ビールのソムリエである「ビアソムリエ」の資格を取ることだ。日本には大手ビール会社が販売するビールの種類も多いが、近年は多くの地方でクラフトビールが作られている。

「私は日本のビールが大好きなので、各地のクラフトビールがどのような日本食と相性が良いかといったことを探求していきたいです」とアンダーソンさんは話す。「これからも、様々な日本食の魅力をもっと海外に発信していきます」

「EMJアンバサダー」が日本と世界とを食でつないでいく。