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August 2022

仙台七夕まつり

  • 七夕祭りの時の仙台市のアーケード街
  • 至近距離から見た仙台七夕まつりの吹き流し
  • 折り紙で作られた飾りの下にいる浴衣を着た見物人
七夕祭りの時の仙台市のアーケード街

華やかな飾りを付けた笹竹に約3千本が揺れる仙台七夕まつりは、400年余りの歴史を持つ日本の夏を彩る祭りである。

至近距離から見た仙台七夕まつりの吹き流し

七夕祭りは、日本で地域や一般家庭で古くから行われている行事である。七夕祭りは最初、宮廷行事として行われていたが、17世紀までに一般に広がった。現在、全国では7月7日、あるいは8月7日頃に祭りが行われる*。

七夕祭りでは、人々は色のついた短冊に個々人の願いことを書いてタケの枝に飾り、星にその願いをする。この習慣は、天の川の両側にある、男星とされる牽牛星(けんぎゅうせい。わし座の首星アルタイル)と、女星とされる織女星(しゅくじょせい)。琴座のα(アルファ)星ベガが、年に一度会うという古代中国の伝説を起源としている。七夕祭り(8月)は、祖先の霊を迎える盆祭りと同じ時期なので、両者はしばしば一緒に行われる。

日本各地では地域ぐるみで七夕祭りが行われているが、その代表の一つが宮城県仙台市の「仙台七夕まつり」だ。毎年8月6日から8日、仙台駅前から周辺商店街にかけて、飾りつけた長さ10メートル以上の竹が設置される。仙台市内で3千本余りの七夕飾りが地元の人々や観光客の目を楽しませる。多くのアーケード街が、色とりどりの和紙を束ねた吹き流し、短冊や折り紙の鶴などといった華やかな七夕飾りが吊るされた竹飾りで包まれる。仙台藩の初代藩主・伊達政宗(だて まさむね。1567~1636年)公が、領内の婦女子の芸術への関心を高めるために始めたことに由来するとされ、400年余りの歴史がある。

仙台七夕まつりを主催する仙台七夕まつり協賛会笹飾り・行事部長の山口哲男(やまぐち てつお)さんは、祭りの由来について、「17世紀、仙台に城と町を築いた伊達政宗公は芸術に深い関心を持つ武将でした。仙台七夕まつりは、彼の美意識が色濃く反映されたものだと考えられます」と語る。

「まっすぐ天へと伸びる青竹は、日本人にとって神聖なものというイメージがあります。とくに仙台の人は、仙台笹 (せんだいざさ)と呼ばれる伊達家の家紋に竹があしらわれていることもあり、竹に特別な思いを持っていると感じます」と山口さんは言う。

使用される竹は、仙台市郊外の竹林から切り出す孟宗竹が主で、この祭りのために、切り出されるという。

仙台七夕まつりには主に7種類の飾りがある。願い事を書いた「短冊」、健康長寿を願う折り紙の“鶴”、節約や貯蓄、商売繁盛を願う“巾着(きんちゃく)”、豊漁祈願の“投網(とあみ)”、そして機織り(はたおり)や技芸の上達を祈願する“吹き流し”などだ。吹き流しは七夕飾りの上部の飾り物から垂れ下がる約3メートルもの細長い色とりどりの和紙で文様も様々である。魔よけの意味を持ち、1本のタケに5本セットで吊るされるのが習わしで、静かに風に揺れる様が美しい。

折り紙で作られた飾りの下にいる浴衣を着た見物人

「仙台七夕の魅力は、竹と和紙という自然素材による手作りの飾りです。これからも仙台の伝統行事として守っていきます」と山口さんは言う。

8月8日、祭りが終わると、商店街では多くの人が撤収作業に取り掛かる。

役目を終えたタケは、2012年に始まった「仙台七夕竹紙プロジェクト」の下、名刺や葉書に再生利用されたり、竹炭などに生まれ変わる。

* 日本の旧暦では、7月7日は今の8月に当たる。