July 2023
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青森が誇る夏の風物詩「ねぶた祭り」
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2022年度大賞を受賞したのは、青森市浅虫地区に祀られている八大龍王(仏法を守護する八種の神)をモチーフとした龍王ねぶた photo:(公社)青森観光コンベンション協会 -
ねぶたとともに、日本の伝統的な横笛などの楽器を演奏するお囃子(はやし)が町を練り歩く photo:(公社)青森観光コンベンション協会
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魔除け効果があると言われる鍾 馗(しょうき。道教系の神)をモチーフにしたねぶた photo:(公社)青森観光コンベンション協会 -
沖縄に伝わる伝説をモチーフにしたねぶた photo:(公社)青森観光コンベンション協会 -
衣装を着ていれば誰でも参加できるという跳人(はねと) photo:(公社)青森観光コンベンション協会

青森県で毎年8月2日から7日までの6日間に開催される「ねぶた祭り」。全国から見物客が訪れる日本を代表する夏祭りの見どころを紹介する。
「ねぶた祭り」は、日本の本州の北端である青森県で、夏が盛りの毎年8月2日から7日まで開催される祭りだ。青森市を中心に周辺の地域でも行われ、日本の夏祭りの中でも特に有名で、期間中、累計で105万人(2022年)もの観光客でにぎわう。
祭りの最大の特徴は「ねぶた」と呼ばれる巨大な山車(だし)。
青森ねぶた祭実行委員会事務局の方によると「ねぶたの大きさは幅が9メートル、奥行7メートル、高さは台車の部分を含め5メートルの規制内で製作され、実物もほぼそれくらいの大きさになります。重さは、台車も含めて4トンあります。1980年には国の重要無形民俗文化財に指定されました」
壮大なねぶたが夜の街を練り歩く様子は見どころの一つだ。また、ねぶた行列には跳人(はねと)とよばれる踊り子が参加し、太鼓演奏に合わせて大乱舞を繰り広げる。その熱狂的な雰囲気は非常に魅力的だ。


もともと、ねぶた祭は、灯籠(とうろう)流し*の変形であろうと言われているが、実はその起源は定かではない。また、現在のような歌舞伎などを題材にしたねぶたが登場したのは、1800年代と考えられている。さらに、大型化が進んだのは先の大戦の終結した1945年以降。祭り自体の活性化や、観光化という大きな流れに乗り巨大化してきた。
ねぶたは毎年新たに作られており、例年5月頃から制作が始まる。

「ねぶたのモチーフは、「ねぶた師」とよばれるねぶた制作者が、国内の民俗神話や海外の歴史的な物語などを題材に構想を練ります。しっかりとした考証を重ねる必要があり、ねぶた師は文献などさまざまな資料を調べます。題材が決まると構想を練って、下絵をつくります」
下絵が完成すると、実際に制作するための小屋が海岸に建てられる。巨大なテントのようなもので間口約12メートル、奥行き約12メートル、高さ約8,9メートルの大きな小屋が参加団体ごとに建て並ぶ。
「テントで木材や針金を組み合わせた骨組を作り、和紙を貼ってねぶたの形を作っていきます。作られたねぶたを40人から50人がかりで台車にのせる様子はかなり壮観です」
完成したねぶたを数十人がかりで曳き、街中を練り歩く。夜になると内側に仕込まれた1000個にものぼる照明器具でライトアップされる。幻想的なその景色は日本の伝統的な祭りの中でも、特に迫力や華やかさがあり、見ている人々も、に大きな感動を与えてくれる。

また、昨年はコロナ対策で事前申込制(抽選)となっていた跳人が、今年は従来の自由参加となった。ねぶたを見て楽しむのはもちろん、跳人として自由に参加できることも大きな魅力。
「自由参加の方は、白地の浴衣に装飾を施した衣装をご用意いただければ、どのチームにも参加できます。現地で販売もしていますし、事前にレンタルも可能です」
見てもよし、参加してもよしの青森ねぶた祭を、機会があれば現地で楽しんでほしい。
* 日本で夏に行われる祖先の霊を供養する一連の行事「盆」(お盆)の終わりの夜に、魂(たま)送りのため、小さい灯籠に火をともして川や海に流す行事。