裁判員制度〜初めての名簿記載通知を目前に控えて
裁判員制度のスタートがいよいよ来年5月21日に迫ってきました。裁判員候補者名簿にお名前が登録された方には、今年の12月までに、名簿記載通知が送付されます。ただし、この通知が送付されてきたとしても、すぐに裁判所に行かなければならないというわけではありません。
国民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加
裁判員制度は、国民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度です。6人の裁判員が3人の裁判官とともに刑事裁判の審理に立ち会い、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合、どのような刑にするかを判断します。
初めての名簿記載通知が今年の12月までに送付されます
裁判員制度のスタートに先立ち、裁判員を選任するための手続が今年からはじまります。第一段階の手続として、全国の地方裁判所で、今年の10月下旬から11月上旬ころまでの間に、来年分の裁判員候補者名簿が作成されます。
裁判員候補者名簿に登録され方には、今年の11月下旬から12月上旬ころまでの間に、名簿に登録されたことの通知(名簿記載通知)が送付されます。この段階では、まだ具体的な事件の裁判員候補者に選ばれたわけではありませんので、すぐに裁判所へ行かなければならないということはありません。この通知は、来年、裁判員になる可能性があることを事前にお伝えし、あらかじめ心づもりをしていただくために送付されるものです。
裁判員候補者名簿に登録された方には、この名簿記載通知のほか、調査票が送付されます。 調査票では…
(1)裁判員になることができない職業(例:自衛官、警察職員など)に就いているかどうか(就職禁止事由への該当の有無)
(2)1年を通じての裁判員の辞退希望の有無・理由(例:70歳以上の方、学生または生徒など)
(3) 月の大半にわたって裁判員となることが特に困難な月がある場合、2か月を上限として、その特定の月における辞退希望の有無・理由(例:株主総会の開催月、農作物の収穫、出荷時期など) などが聞かれます。
このうち、(1)の職業に就いている方、(2)の70歳以上の方や学生などで来年1年間辞退を希望する方には、裁判所から選任手続期日のお知らせ(呼出状)が送付されることはありません。
また、(3)の辞退事由に当たると認められた場合にも、その月に行われる事件について、選任手続期日のお知らせ(呼出状)が裁判所から送付されることはありません。
調査票が送付されるのは、できるだけ早期にこのような事情を裁判所が把握することにより、裁判員に選ばれることのない方が、裁判員候補者として裁判所に行かなくてもいいようにして、裁判員候補者の方々の負担を軽減するためです。
裁判員候補者名簿はどうやって作られるの?
市町村の選挙管理委員会が、選挙人名簿からくじで無作為抽出して名簿を作成し、全国の地方裁判所本庁50か所(都道府県所在地のほか、函館、旭川、釧路)と地方裁判所支部10か所(八王子※、小田原、沼津、浜松、松本、堺、姫路、岡崎、小倉、郡山)に、これを提出します。この名簿を基に、これらの裁判所で裁判員候補者名簿が作成されます。
※東京地方裁判所八王子支部は、裁判員制度の実施までに立川市に移転される予定です。
ご注意下さい!
裁判員候補者名簿に登録され、裁判員候補者になったことを、公にすることは法律で禁止されていますので、ご注意下さい。ここでいう「公にする」とは、インターネットで公表するような場合など、裁判員候補者になったことを不特定多数の人が知ることができるような状態にすることをいいます。
裁判員が選任されるまでの手続の流れ

資料提供:最高裁判所
くじで選ばれた裁判員候補者の中から6人を選任
これまで、裁判員候補者名簿に登録され、その通知が届くところまで説明しましたが、その後、裁判員6人が選ばれるまで、どのような手続が行われるかを見てみましょう。
実際の事件について裁判員による裁判が行われることになった場合、まず、裁判員候補者名簿に登録された方の中から、事件ごとに裁判員候補者がくじで選ばれます。
くじで選ばれた方には、選任手続期日のお知らせ(呼出状)を、裁判当日の6週間前までに送付されます。このお知らせには、質問票が同封されており、この質問票であらためて辞退の希望の有無が確認されます。辞退が認められる場合には、呼出しが取り消されます。呼出しが取り消された方は裁判所に行く必要はありません。
呼出しが取り消されなかった裁判員候補者の方は、裁判員等選任手続の行われる当日、裁判所へ行くことになります。選任手続は通常、裁判の当日、審理の直前に行います。この手続で裁判員候補者は、裁判長から、不公平な裁判をするおそれの有無、辞退希望の有無・理由などが確認されます。
その結果、不公平な裁判をするおそれがあるとして裁判員に選任されない旨の決定がなされたり、辞退が認められるなどした方を除き、残った裁判員候補者の中から、最終的に6人の裁判員を選ぶために、最後のくじが行われます(なお、裁判の途中で裁判員の人数が不足した場合に備え、補充裁判員が選任されることもあります)。このくじで選ばれた6人が、裁判員として実際の審理に立ち会います。
以上のように、名簿記載通知を受け取った方が、裁判員として選任されるまでには、くじや辞退希望の確認が複数回行われます。そのたびに候補者が絞られていき、最終的に6人の裁判員が決定されることになります。
平成19年に全国の地方裁判所で受理した裁判員裁判の対象事件数を前提とし、補充裁判員が1件につき2人選任されると仮定して試算すると、1年間で約5000人に一人が裁判員又は補充裁判員に選任される計算になります。
裁判員制度では、司法の世界に国民の皆さんが参加することにより、一人ひとりの感覚や経験に根ざした新鮮で多様な視点が裁判にもたらされ、より深みのある裁判の実現が期待されます。特別な法律の知識は必要ではなく、むしろ皆さんの今までの経験に基づいた判断が求められています。
専門的な知識は分かりやすく説明されますので、裁判員になったとしても慌てることなく、安心して裁判所まで足を運んでください。また、そのことにより、裁判全体に対する国民の皆さんの理解が深まり、裁判をより身近に感じていただけると思います。
約7割の裁判は3日以内に終わる
裁判員制度では、裁判員の負担を軽減するため、裁判にかかる日数ができるだけ短くなるように工夫されます。
裁判における争点や証拠の整理が事前に十分に行われ、ポイントを分かりやすく整理して効率的で無駄のない審理の実現が図られます。また、裁判の期日も、3日以内の事件は連続して開廷するなど、審理をなるべく集中的に連続して行うように配慮されます。その結果、約7割の事件は3日以内で終わると想定されています。
裁判にかかる日数

資料提供:最高裁判所
国民が刑事裁判に参加する主な国の制度
国民が刑事裁判に参加する制度は、欧米を中心に古くから世界各国にあります。映画やドラマでおなじみの、アメリカの陪審制もその一つです。裁判員制度と陪審制とではいくつかの点で大きく異なります。陪審制は、被告人が有罪か無罪かを審議する評議は陪審員のみで行われますが、裁判員制度では評議に裁判官も加わります。また、陪審制では、陪審員は有罪か無罪かのみを決めますが、裁判員制度は有罪か無罪かに加え、有罪の場合どのような刑にするか、すなわち量刑まで決めます。
国民が刑事裁判に参加する主な国の制度
資料提供:最高裁判所
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