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Highlighting JAPAN

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日本の夏を楽しむ

京都の夏の過ごし方(仮訳)

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カナダ人のランディー・チャネル氏が日本にやって来たのは 1980年代はじめのこと。日本の武術である武道を学ぶためであった。来日後まもなく、彼は茶の湯(茶道)を習い始めた。1993年、裏千家学園茶道専門学校への入学を許され、1996年に卒業。現在は、京都御所のすぐ東にある神社で茶道を教えており、二条城の近くで自分の小さなギャラリー茶房も開いている。チャネル氏は最近、日本茶と、着物/帯(日本の伝統衣装)のコンビネーションを考案したという。京都在住のチャネル氏に、ジャパンジャーナルのエームズ・パムロイが、京都の暑い夏の過ごし方について聞いた。

──京都は年間を通じて、観光客に人気の観光地ですが、夏は特にすばらしいですね。さて、ここ京都で、私たちは今、京都の夏の風物詩である川床——川岸の高いところに設えられた、レストランの特別の張り出し床——の上にいます。ここ京都での、こうした夏の楽しみ方について教えてください。

ランディー・チャネル氏:正直言って、私も毎年川床に来るわけではありません。けれども今年は、この川床が川沿いに100軒近く出るので、来たい人にとっては選択肢が広がると聞いています。それに、川床では伝統的な料理ばかりでなく、いろんな食事が楽しめるんですよ。フレンチからイタリアン、韓国料理からタイ料理まで何でもあって、誰でも何かしら好みのものが見つけられます。けれども、美味しい料理が食べられるだけではないんです。この川床の魅力の1つは、京都の夏の厳しい暑さを逃れて、友人や同僚と飲んだり食べたり、楽しい時間をともに過ごせることなんです。鴨川のほとりでは、たいてい、今日のような涼しい風が吹いています。ですから、いつのまにか暑さのことなんて忘れてますよ!

──京都は盆地にあるため、夏は特に暑いですね。だから、日本人は、夏の暑さに対応するための、たくさんの工夫に富んだ方法(その多くがとても自然な方法)を知っていますね。

日本ではここ数年、政府が「クールビズ」というキャンペーンを行っています。電力消費量を抑えて、CO2排出量を減らすためです。茶道では、何世紀も前からこれをやっているのです! 利休(茶道の創始者)七則にこんな教えがあります。シンプルですが、「夏は涼しく冬は暖かに」というものです。この教えを受けて、私たちは季節に合わせた道具と衣類を用います。日本のカジュアルな衣類である浴衣は、厳密に言うとお茶席には適しませんが、夏には非常に一般的に着用され、最近では、若い男性も浴衣を着て彼女とデートしている姿が多く見受けられるようになりました。これはいい傾向だと私は思っています。

茶を点てるときには、私たちは涼しさを演出するため、お客様が涼しいと感じるようなお道具を使います。ガラスやクリスタル製のお道具などが、そのいい例ですね。もっと控えめな例で言うと、山の涼風を感じられる掛け軸などもそうです。和菓子や平茶碗(熱がより速く逃げるように口を広く取った浅い茶碗)も、お客様に夏のお茶席を楽しんでいただくのに、相応しい雰囲気を作ります。

──広い川のほとりということで、冷たい水面を風が吹き抜けてくるのですね。

そうです。流れる川のイメージもまた、茶道では、夏の涼しさ演出に一役買うのですよ。茶道具や、着物、帯(着物用のサッシュベルト)には、さまざまな流水のデザインが見られます。ここ京都では、非常に暑い夏の数カ月のあいだ、金属やガラスの風鈴の音を耳にすることができます。この音で、涼しいイメージを膨らませる人も多いのです。ですから、五感を使えば、エアコンをフルにつけなくても、人は涼しい気分になれることがわかるでしょう。そうすれば、京都の夏だって、ずいぶん過ごしやすくなるはずです。

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