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Highlighting JAPAN

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やまとなでしこ

ようこそ仙台へ!(仮訳)

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「大和撫子」は日本人女性の清楚な美しさを褒めていう言葉だ。これまで、大和撫子と言えば、非常に大人しく、控えめな女性がイメージされていた。しかし今、様々な分野のパイオニアとして国内外でアクティブに活躍する新たな「大和撫子」が登場している。
そうした新しい時代の大和撫子を紹介するシリーズの第一回目では、東日本大震災の復興の最前線に立つ宮城県仙台市の奥山恵美子仙台市長を紹介する。ジャパンジャーナルの澤地治がインタビューを行った。

──仙台市の復興状況はいかがでしょうか。

奥山恵美子市長:3月中は水道、電気、鉄道といったインフラが機能せず、また、燃料不足によりガソリンスタンドには長蛇の列が出来るような状態でした。しかし、4月に入るとそうしたインフラの機能はほぼ回復して、津波被害を受けた海岸部や一部の山間部を除く地域では、住民は普段通りに生活できるようになりました。

ピーク時には10万5千人の被災者が避難所にいらっしゃいましたが、6月末現在では、家を失った被災者のためのプレハブや民間アパートの仮設住宅が確保できる目処が立ちました。

8月の仙台七夕まつりまでには、国内外の旅行者が仙台を訪れても、何も不自由無く旅行が出来るようにするという目標を掲げていましたが、現在までにほぼその目標は達成できましたので、国内外の方に是非、旅行にいらして頂きたいです。

──東北では8月に、七夕まつりを始め、様々な祭りが開催されますね。

東北の夏は短いです。祭りを通して、その短い夏を迎える喜びを8月初旬から中旬にかけて、一気に爆発させるのです。それが、数百年にわたる、東北の風土なのです。

仙台を拠点にして頂ければ、鉄道を使って、夏祭りの開催される山形、盛岡、青森といった都市に行くことも簡単です。

東北にはたくさん楽しめるものがあります。食で言えば、新鮮な魚介類はもちろん、山菜やキノコなども非常に美味しいです。また、世界文化遺産に登録された平泉がある岩手県南部と宮城県北部は、餅料理が有名です。餅に、ごま、くるみ、ダイコンおろしなどの食材を絡めた様々な餅料理を楽しめます。

また、仙台市は冷やし中華の発祥の地でもあります。冷やし中華は夏しか食べられませんので、夏に仙台にいらっしゃった時は、是非、食べて頂きたいですね。

──仙台で市長が好きな場所はどこでしょうか。

仙台市内を流れる広瀬川沿いの散策路から眺める景色は大好きです。東北大学や青葉城を見ながら川辺を散策すると、仙台ならではの雰囲気を味わうことができます。晴れでも雨でも一年を通して、楽しめます。私も大学生の頃は良く歩きました。お金もかかりませんしね。

夏には花火大会が開催されますが、彼女あるいは彼氏と広瀬川沿いを歩いて花火を見たという思い出を持っている人も少なくないと思います。

──市長は仙台市を「永遠の青春の街」と表現していますが、これはどのような意味でしょうか。

仙台都市圏には20を超える高等教育機関があり、約7万人の学生が生活しています。つまり、若者が多くいるのです。しかも、学生ですので、常時、入れ替わります。だから、「永遠の青春の街」なのです。

若者が多いということは仙台の文化に大きな影響を与えています。9月に開催される「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」、10月の「みちのくYOSAKOIまつり」、12月の「光のページェント」といったイベントには、多くの若者がボランティアとして関わっているのです。学生が街のシンボリックな存在になっているのが、仙台の特徴と言えます。

──仙台市は2015年に開催される「国連世界防災会議」の誘致を表明していますが、その理由をお聞かせ下さい。

仙台の人口は105万人です。これだけの人口を抱えた都市の近くで、マグニチュード9.0という地震と大津波が発生したことは、世界の歴史の中で、これまでにないことかと思います。地震により、水道、電気、鉄道などのインフラが、いったん、ほとんど機能停止しました。しかし、非常に短期間で、それらを復旧させることができました。また、時速300キロで走っていた新幹線も、地震の初期微動を感知して停止し、脱線することはありませんでした。世界の都市に対して、私たちが体験したこと、技術的な知見、そして、今後の教訓を示すことは、仙台市の義務だと思います。

大きな被害を受けた沿岸部でも、今年中には瓦礫の撤去を終えたいと考えています。そして、来年には、農地の復旧、排水機能の回復、土壌の塩抜き、塩に強い作物の開発に取り組んでいきたいと思います。2015年の会議開催時には、沿岸部において、新しい農業が始まっている姿を、世界中の人に見て頂きたいです。

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