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文化庁メディア芸術祭(仮訳)

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第15回文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が東京の国立新美術館で開催された。ジャパンジャーナルの澤地治が報告する。

2月22日から3月4日まで、東京の国立新美術館で、第15回文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が開催された。文化庁が毎年主催するメディア芸術祭は、アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門において、優れた作品を顕著するとともに、受賞作品の発表・鑑賞機会の機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルだ。

今年度は57の国と地域から2,714作品という過去最大の応募があった。メイン会場の国立新美術館受賞作品展では、各部門の受賞作を含む約150点を展示・上映した。併せて、受賞者と審査員らによるシンポジウムや、プレゼンテーション、ワークショップも開催されている。

アート部門で大賞を受賞したのは、山本良浩氏による「Que voz feio (醜い声)」という映像作品だ。作品では、日本に住む日系ブラジル人の双子の女性が、自分の醜い声の原因になった幼少期の事件について語る様子が、二つに並べられた画面に、それぞれ同時に映し出される。鑑賞者は、二人が同じ事件を語っていながら、内容に微妙な違いがあることに次第に気付いていく。贈賞理由で作品は「記憶とは現実を映すものではなく、時間の経過の中で曖昧さを増していくものだ。双子の告白は、さらに音声と文字、母国語と翻訳、幾重にも違いを内在する。私たちは過去の認識を共有できるのか、その可能性と不可能性さえも静かにあぶり出す、知的で繊細な視点が際立つ」と評された。

エンターテイメント部門の大賞には、スマートフォンを特殊なバルーンに載せ、上空30,000メートルの成層圏へとフライトさせるというプロジェクトが受賞した。これは、スマートフォン「GALAXY SII」のキャンペーン用に行われたイベントで、約90分にわたるスマートフォンのフライトの模様は、バルーンに搭載されたビデオによって撮影され、USTREAMを通じて配信された。飛行中のスマートフォンには、Twitterによって募集された「宇宙に届けたいメッセージ」が次々と表示される様子も映し出され、まさに宇宙に自分のメッセージが届けられているような感覚を味わえる。このイベントの総視聴者は国内外で38万人を突破した。

「多くの人にとって宇宙は子どもの頃からの憧れです。その宇宙に、人と人とをつなげるというスマートフォンを飛ばすことで、より多くの人をつなげ、感動を共有するというアイデアから、このプロジェクトが生まれました」と制作メンバーの一人、博報堂の野添剛士氏は言う。「実際、飛行中、高度計に不具合が起きたとき、『がんばれ!』という応援メッセージがたくさん寄せられました」

その他、アニメーション部門の大賞には、魔法使いの少女と中学生の少女の過酷な運命を描いたテレビアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」が、マンガ部門では、地球全体が自然保護区となり、人類が地上35,000メートル上空の建造物に暮らす近未来を描いた、岩岡ヒサエ氏の「土星マンション」が、それぞれ受賞した。

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