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Highlighting JAPAN

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水と生きる

北九州市

アジアにおける水道技術支援(仮訳) 



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福岡県北九州市では、これまで培ってきた水道事業の技術と経験を生かし、安全な水を世界に供給するための海外支援を行っている。

北九州市はJICA(国際協力機構)と連携し、発展途上国における上水道の水準向上のため、さまざまな国に技術協力を実施し、上下水道局職員を派遣してきた。

「水道サービスの質の向上によって安心安全な水が供給できるようになることで、これまでの水汲みといった労働もなくなり、感染病の可能性も低くなります」と北九州市上下水道局・海外事業担当の石井秀雄氏は述べる。高水準の水道サービスは健康・衛生を守るだけではなく、地元地域や産業が安定的に発展するために不可欠である。

北九州市上下水道局はインドネシア・ベトナム・中国のプロジェクトに貢献し、カンボジアの首都プノンペンでは特に顕著な功績を挙げた。

1993年、内戦や軍部独裁の影響で荒れたプノンペンにおける水道普及率はわずか25%だった。水道などの重要なパイプラインや道路の整備といったカンボジアへの復興支援がその年から始まり、まず浄水場、管路が日本やフランスなどの世界的な協力のもと新たに整備された。

日本国内ではプノンペンの水道事業支援に参画する自治体を求める動きがあったが、当時のカンボジアは政府も治安も安定しておらず、この国へ職員派遣する自治体はなかなか見つからなかった。このような状況の中、誰かがやらなければならないという使命感に突き動かされ、北九州市はこれまで培った技術の提供や職員を現地に派遣することに同意した。

1999年に最初の職員派遣が行われ、半年間プノンペン水道公社へ派遣された。当時内戦や戦争で荒れたカンボジアにはまだ危険が常に伴った。派遣された職員が滞在していたホテルがある日突然焼き討ちに合い、逃げ出したこともあったという。

管路を新しくしても、きちんと維持管理しなければ漏水率は上がってしまう。それを阻止するため、北九州市は継続的な指導を続け、漏水率の改善に寄与した。

その結果、2006年には水道普及率を90%まで引き上げ、給水時間を10時間から24時間飲用可能に、72%という高さだった「無収水量(漏水+盗水)率」の数値を先進国並みの8%にまで引き下げた。北九州市の多大な貢献に対し、カンボジア政府から勲章が授与された。

そして、支援はまだ続いている。現在では長期専門家1名と、多くの短期専門家が派遣されている。

今後、北九州市はミャンマーへの技術協力も2013年度中に開始するなど、ASEAN地域に対し、国際機関等と連携し、安全な水の供給に寄与していく計画だ。

「私は水道に携わる者として、水道事業そのもの、また同時に、文化的、衛生的な生活全体の質の向上にも貢献していきたい」と石井氏は語る。その情熱は、プノンペン市民がよく理解しているだろう。



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