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Highlighting JAPAN

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日本の夏

いざ、新しい東北へ(仮訳)

勢いづく「東北六魂祭」

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日本では古来より夏に祭りを行う習慣がある。農村では秋からの豊作を祈願するため、あるいは都市部では季節の変化に起因する伝染病などの天災を鎮めるために、夏に祭りが行われるようになったと言われている。

青森、岩手、宮城、秋田、山形そして福島の東北六県は、それぞれ力強く大がかりな夏祭りが開かれることで知られている。各県の県庁所在地の祭りである、青森の「ねぶた祭」、盛岡の「さんさ踊り」、仙台の「七夕まつり」、秋田の「竿燈まつり」、山形の「花笠まつり」、福島の「わらじまつり」を一度に楽しむことができる一大イベント「東北六魂祭」は、今年で4回目をむかえ、ますます盛り上がりを見せている。

山形市商工観光部観光物産課の青木哲志氏は、2014年の開催県である山形県で東北六魂祭を担当した。「東北六県で何かしたいという構想は長い間あったのです。実現のきっかけとなったのは、皮肉にも東日本大震災。たくさんの企業が早期復興のための支援を申し出てくれ、祭り、つまり心の復興を合同で催す東北六魂祭が2011年に仙台で第1回開催の運びとなりました」と青木氏は説明する。

東北六魂祭には、毎年テーマとなる漢字がある。第1回の「祈」に始まり「希」「福」、そして今年は「起」。副題の「いざ、新しい東北へ。」にも込められている、被災から立ち上がり、力強く未来へ歩もうとする人々の心意気があふれる一文字だ。

青木氏によると、「山形は東北六魂祭の第1回から第3回までの開催県とは異なり、被災県ではありませんでした」という。「しかし避難者の受け入れ数は全国一で、現在も三千人近い避難者が県内で生活しています。初の被災県以外での開催でしたが、二日間の動員数はパレード会場に入れた人だけで26万人。タオルなどのグッズは即日完売。大勢の人々が沿道を埋め尽くし、会場に入れなかった人が会場外の大型ビジョンでも東北の祭りを楽しむ光景は圧巻でした。」

前年に引き続き、自衛隊松島基地からブルーインパルスがアクロバット飛行を披露。被災者救援は自衛隊の尽力なくてはあり得なかったことを、人々が改めて思い出すイベントにもなった。

「六県が一緒に祭りをすることで数多くの良い影響を実感します。東北人としての絆がうまれ、日本全国、海外からもたくさんの観光客が来てくれるくらい東北は魅力ある場所なんだと、プライドを持てるようになる。それぞれの県での8月の本祭の良いPRにもなっていますね 」と青木氏は笑顔を見せる。

今年は外国人観光客のために会場及び周辺に地元ボランティアの英語通訳も配置した。彼らは迫力ある踊りや山車を間近で堪能できたという。この東北六魂祭で見せた東北の人たちの団結力や活気には、訪れる人も元気付けられたはずだ。

今後東北六魂祭のために日本を訪れる外国人観光客は増加しそうだ。
「東北六魂祭の開催県は持ち回りで毎年変わる予定ですが、震災の記憶を風化させないためにも、これからますます官民商の連携を深めて祭を成功させてゆけたらいいと思います」と青木氏は語ってくれた。

 

 

 



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