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Highlighting JAPAN

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未来を支えるインフラシステム

スムーズな流れを実現

日本の交通管制システムが東南アジア諸国の

渋滞を緩和(仮訳)




東南アジア諸国は急激な発展を遂げる一方、現地のインフラ、特に一般道路や高速道路は大きなプレッシャーにさらされている。バンコク、ヤンゴン、ハノイなどの都市部では、車両の急速な流入によって交通事故死者数が増加し、交通渋滞や公害などの社会問題が深刻になっているのだ。

1960年代の高度経済成長期に日本の交通管制の整備、交通渋滞の緩和に貢献した住友電工は、これらの都市への支援に尽力している。住友電工のシステム事業部グローバルITS推進部部長の多本惠俊氏は、「東南アジア諸国の都市化は続きますので、弊社のシステムが貢献できると考えています」と語る。

この企業は交通管制システムの分野において日本で輝かしい業績を残している。同社のシステムは交通渋滞の緩和だけではなく、1970年に日本全国で過去最高の1万6千人を記録した交通事故死者数を、70年代の終わりにはほぼ半分にまで減少させることにも貢献した。これは警察庁・警視庁の指導のもとで交通状況に応じて信号を制御する初のコンピューター化されたシステムを導入したことからだ。

この分野における革新は続き、同社は最近のIT技術の発展を利用し、道路沿いに設置された車両感知器から膨大な量の交通データを収集するとともに、解析を繰り返している。最新システムでは、単に現在の交通状況に信号を合わせるのではなく、交通状況を予測して最適な信号制御を選択している。

海外の都市の交通システムを改善する作業は、単に日本の技術を輸出することではない。多本氏は「日本のシステムをただ導入するだけではうまくはいかないことはわかっています」と語る。現地の当局者と市民にシステムがどういうものか理解していただき、同じ認識を持つことが必要だという。

住友電工は2001年、国際協力機構(JICA)を通してタイ北部にあるチェンマイ市の交差点改良社会実験に参画し、渋滞を緩和するために交差点や車線を設計するとともに交通信号制御機を導入した。この経験を基に、翌2003年から04年にかけて同国プーケットの中心部に信号制御システムを納入し、交通渋滞の解消に大きく寄与した。

2006年にはタイ警察とともに、バンコクにおける最大の懸案であった交通渋滞と交通事故の問題に取り組んだ。45カ所の交差点に画像式車両感知器を152器設置し、道路からのデータを交通管制センターに送るネットワークを導入することにより、交通管制官は車両の流れを事実上「見る」ことが可能となった。                                         

しかし、バンコクのプロジェクトは簡単に進んでいるわけではない。交通データの収集は可能となったが、そのデータを用いた交通管制システムの導入まで至っていないためだ。それでも地元の大学や企業と連携して交通管制システムの必要性を説き、さらにデータを解析して交通事象を確認、理解したうえでより良い対応を取ることになっている。

中国や東南アジアの新興国では、高度な交通管制システムの需要が高まっているが、住友電工は各国で事情が異なり、独自の導入条件があることを理解している。多本氏は「技術は急速に進歩していますが、システムをカスタマイズして現地の交通事情に合った対応をしたい」と語る。日本の交通環境に大きな貢献を残してきた住友電工は、今後は海外へと舞台を広げ、交通事故や渋滞のない快適で安心安全な社会の実現を目指して取り組みを深めていく。

注)ITS:Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム



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